内示とは、会社から正式な人事異動の発表がある前に本人に言い渡しておき、異動の最終確認や心の準備や業務の引き継ぎのための準備などをさせることを言います。
内示も人事異動も業務命令ですから、拒否することは基本的にはできませんが、人事異動に関するトラブルを防ぐためにも、事前に社員と企業との間に人事異動に関わる取り決めや就業規則等の承諾を得ておく必要があります。ここでは、企業が人事異動の内示を出す際に気をつけておくべきことを紹介していきます。
人事異動に関するルールを作る
人事異動や配置転換は何かとトラブルを招きます。そこで企業はきちんと社員との間に人事異動に関するルールを就業規則などで決めておき、入社の際に同意してもらうようにしておくことが大切です。
同じオフィス内での配置転換でもトラブルは起こり得ますが、転勤を伴う人事異動の場合だと引っ越しが必要になり、社員にもその家族にも負担がかかりますので、社員の家庭の事情も考慮しなくてはいけません。転勤は仕方ないとしても、転勤に伴う引っ越しを喜ぶ人はあまりいないので、このルールが明確でなければトラブルを招くでしょう。
雇用の際に、その人が全国転勤可なのか勤務地が限定されているのかといった人事異動の範囲について、本人の同意を得ていれば業務命令を出すことができます。社員の都合による特例を認めてしまうと、社内体制の再構築が難しくなる場合もあるので、「社員間における業務の公平」と「公正な運営」を守ることが会社の運営には重要です。無用なトラブルを避けるためにも人事異動のルールは徹底しましょう。
内示を出す時の注意
会社が社員に対して内示を出す時期は会社によりけりですが、基本的に人事異動の辞令が出るまでは口外禁止です。これは社員間での無用な憶測や文句、気まずさの予防などが理由でしょう。
また内示の時点で辞令を拒否する社員が出る可能性もあり、そうなってしまうと人事について考え直さなくてはなりません。内示を拒否するということは業務命令に従わないということですから、その社員は退社を選んだということになります。
内示を受けて拒否がなければ、人事・総務等で異動者の必要書類や手続きをしなければいけません。また異動者は後任に対して、書類作成や関係各所への連絡などの引き継ぎの準備を行う必要があります。遠距離異動者は、引っ越しの必要もありますし、子供がいれば転園や転校に伴う手続きもしなくてはいけません。
人事異動に伴うそれらの業務を辞令交付の日にまで完了、あるいは完了できる見通しをつけておく必要があるので、内示を出す際には辞令交付まで時間的な余裕を持たせておく必要があるでしょう。
以上、企業が人事異動の内示を出す際に気をつけておくべきことを説明してきました。お互いが納得した上で、異動の手続きなどを進めていくためにも、ルールなどを制定し、スムーズに進めていけるようにしましょう。
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