企業が人事異動を行う際には、注意しなければならないポイントがあります。人事異動は、同じ事務所やオフィス内であってもトラブルが起こりがちですが、転勤を伴う人事異動の場合には、社員の家庭の事情の意向がより強く反映されるため、トラブルのもとになりやすいのです。
人事異動の意味は個人の能力の開発、マンネリ化防止、組織強化、後継者の育成など、会社の成長や運営には必要不可欠なものです。企業が、従業員の人事異動を行う際に注意すべきポイントはどこにあるのでしょうか。
就業規則への同意
企業が社員に対して人事異動の命令を有効にするためには、「契約上、配転命令権の根拠があり、その範囲内で配転命令が出されること」「法令違反等がないこと」「権利濫用でないこと」の3つの要件が満たされていなければなりません。
企業が行う、人事異動に対して何らかのトラブルが生じるときは、就業規則に人事異動の範囲がはっきりと示されていないことが原因になっています。特に転勤を伴う人事異動は、社員本人だけではなく家族の事情もあrので、負担や影響も大きくなります。
ですから、社員を雇用した際に就業規則や誓約書などで人事異動の範囲についてはっきりと明記し、社員本人の同意を得ておくことが必要になるでしょう。逆に同意を得ていれば業務命令を出すことができるのです。
人事異動に関して、内示の時点で拒否や取り消しがあるなどの特例を認めてしまうと、社内体制の再構築に時間がかかってしまう場合もあります。会社運営のためには「社員間における業務の公平」と「公正な運営」を守ることが大切ですので、人事異動に関してはルールを徹底するようにしましょう。
組織活性化のために
人事異動の際、社内での人材の配置を変えてスキルアップや組織の活性化を図ることはとても重要なことです。しかし社員にも自分の生活があり、育児や介護といった家庭の事情があるので、「この会社のルールだから」と考慮なしに、転勤を伴うような人事異動をしてしまうことはよくありません。
人事異動の効果が最大に発揮されるように、社員一人一人の個性や業務能力、仕事に対する希望等をしっかり把握しておき、会社の事情に照らし合わせた上で、どのように配置すれば効果が最大になるかを考えて配置先を決めるべきです。また、職場の実態や社員の適性を軽視した形式的なローテーション人事に陥らないようにすることが大切になります。
異動させることによりモチベーションが下がったり、また社員が退社してしまうようですと、組織の活性化どころか会社の運営や業務にも支障が生じてしまうでしょう。
以上、会社が従業員の人事異動を行う際の注意点について説明してきました。良かれと思って行った人事異動が思わぬ結果を生み出してしまうこともあります。ですから、人事異動を行う際は、事前の準備や従業員への配慮が大切になるでしょう。
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