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意外と知らない人が多いかも?就業規則に罰則規定を盛り込む際の注意点

田部貴紀

2014/05/28(最終更新日:2014/05/28)


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 就業規則における罰則規定について、ある社員が毎日遅刻してくるとしましょう。他の社員のこともありますから、このまま放置しておくことはできません。もちろん、就業規則には、始業時間が明記されています。この社員が遅刻したことは明白です。

 ところで、就業規則にはこういった場合の罰則は書かれているのでしょうか?実は、こういった罰則も就業規則の中に盛り込んでいなければ、罰則を与えられないのです。今回は、就業規則を違反した場合の罰則について考えてみましょう。

罰則の種類 

 就業規則における罰則の種類はどれだけあるでしょうか。一番重いものは懲戒解雇にです。ですが、懲戒解雇という重いものだけでは、対応できないことも多々あります。そのため、軽いものから重いものまでを準備する必要があります。以下のものが罰則の主な種類になります。

1. 戒告(厳重注意) 
2. 譴責(厳重注意に始末書を提出させる) 
3. 減給 
4. 出勤停止 
5. 降格 
6. 諭旨解雇(退職勧告) 
7. 懲戒解雇 

 これは、頻繁に同じ違反を繰り返す場合、「戒告→出勤停止→降格→懲戒解雇」といった具合に段階的に処分が出来るようにするためです。特に懲戒解雇の場合には、この段階を踏むことが必要な場合もあります。

 また、罰則を適用するために、就業規則の違反事項も定めましょう。これは、明確な判断基準にもなってきます。規則である以上、ある人は戒告、別の人は減給といった具合に、時々によって罰則が変化するのはおかしなことです。従業員への公平性を保つためにも、違反の種類・その重要度に応じて適用基準を定めておくことが必要です。

減給を伴う場合の限度 

 罰則を受けるのは、もちろん従業員です。そのため、労働基準法では、減給の場合の限度額を定めています。この限度額に記載している労働基準法第91条を確認してみましょう。「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」という内容です。 

 つまり、減給処理も一か月分の10%以内に抑えなければならないことになります。ただし、ノーワークノーペイの原則が働きますので、たとえば出勤停止の場合には給与はその分不支給となります。この場合には第91条は適用されません。 

懲戒解雇の場合

 懲戒解雇の場合にも、就業規則に記載されていなければなりません。また、その懲戒解雇を行う場合の判断となる理由も記載されていなければなりません。ここで、最高裁の判例をみてみましょう。「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。(フジ興産事件最高裁判所平成15年10月10日判決)」

 また、就業規則に記載される懲戒処分(特に懲戒解雇)の場合、その理由は、限定列挙ということです。ということで、懲戒解雇についても細かく記載しておかなければならないのです。


 以上から就業規則には、罰則をもれなく記載しなければならない義務があります。もし就業規則にない罰則を与えてしまったら、問題があります。ビジネスマンの方なら、必ず就業規則に記載されている罰則をチェックしておきたいところです。

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