「ステークホルダー」という言葉は、まだ日本社会に完全に浸透したとはいえず、日本語に置き換える場合にも直訳が使われています。「ステークホルダー」とはどんな意味で、どんなときに使われる言葉なのでしょうか。
1.「利害関係者」ではなく「影響を与え合う相手」という意味
「ステークホルダー」を直訳すると「利害関係者」という言葉になり、文字だけで見ると、損得勘定だけで相対する相手というような心理が働くかもしれません。しかし、簡単に言えば、影響を与えうる相手と理解すればよいでしょう。企業を中心に考えた場合、そのまわりにはさまざまなステークホルダーがいます。
例えば、顧客や取引先。企業にとっては、取引や扱う製品において、顧客は利益をもたらす相手でもあり、さまざまな声、場合によってはクレームも寄せる相手となります。また、相手は人間だけではありません。台風、震災などの気候変動問題は、企業の操業に大きな影響を与えます。始めから対策を取っていた企業は、操業停止になる期間が短縮できたり、気候変動にも適切な対処を施して経営を守ることができます。
さらに、企業で働く従業員も重要な「ステークホルダー」です。従業員がいきいきと働ける環境を提供することは、企業の責務であり、そのような対応ができる企業は、従業員の満足度も高い傾向があります。このように、「ステークホルダー」と言っても、企業を取り巻く「ステークホルダー」は多種多様になって、そこで期待されること、できることは様々です。
企業はこれらの「ステークホルダー」との対話を重ね、「ステークホルダー」からの期待を理解し、経営に反映できるところを積極的に反映し、企業価値の向上に取り組んでいくことが望まれます。
2.「ステークホルダー」は日本国内だけを対象としていない
事業がグローバル化していくと、当然製品もグローバル市場に供給されるため、世界中の人々や団体が「ステークホルダー」になりうる可能性があります。
大事なのは、誰がどのような期待をなぜその企業に持っているのか、それを企業は改善ができそうかしっかりと判断し、経営に反映できることは反映する。難しい場合であれば、どう難しくて何故、取り入れなれなかったかを説明することが非常に重要です。それも、単に企業側だけの判断だけではなく、「ステークホルダー」を巻き込みながら、一緒に考え、どこまでできるかを相手にも理解してもらうことが非常に重要です。
「ステークホルダー」は企業活動をしていくうえで、「影響を与え合う相手」だという意味を理解し、誠実に向き合い、信頼関係を構築していくための重要なパートナーだといえるでしょう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう