どれほど仕事の経験を積んだ人でも熟練の腕を持つ人でも、ヒューマンエラーを防ぐことは難しいものです。人間の注意力には限界があり、また積み重なった疲労や錯覚などにより引き起こされるとみなされているために、防止策を立てるのも難しいと思われています。その結果、不本意な事故や災害を引き起こす原因となってしまうわけです。その原因をもっと深く掘り下げると、どのようなものがわかるのでしょうか。そしてその対策を立てることはできるのでしょうか。
ヒューマンエラーを引き起こす原理
ヒューマンエラーは単に注意力が足りないために引き起こされるわけではありません。積み重なった経験と効率化の追求による確認作業の短縮や、問題は起きないという思い込みが生じることによって、思いも寄らない形で事故が発生したり災害を引き起こしたりすることになるのです。慣れがもたらす弊害とも言えるかもしれません。つまり、仕事に慣れたベテランほどヒューマンエラーの罠にはまりやすいということがわかります。
対策は立てられるのか
あらゆる作業は突き詰めていけば結局、注意力の上に成り立っていると考えることができます。絶対確実に進められる仕事は無いと言ってもよいかもしれません。そこでここは、ヒューマンエラーは避けられないという前提のもとに対策を立てるしかありません。
そのヒントのひとつは、新幹線のメンテナンスに見られます。これまで日本の新幹線は、死亡者が出るような事故は発生していないと言われます。それはひとえに、徹底的に行われるメンテナンス整備のおかげでしょう。
たとえばボルトを締める作業の場合、なんと4人のチェックを経て確認作業が行われるそうです。何度も何度も、確認をするわけです。これはまさに、人間は見落とすことを避けることができないという前提のもとのシステムです。確実に作業を完了できるようなシステムをどのように作り出すか、それがヒューマンエラーを防ぐ唯一の対策であると考えられます。
もちろん、スピードを要求される日常業務においては、そこまでの余裕がないと言われたらそれまでです。けれども事故を起こしてしまっては、その挽回には多くの犠牲を払うことになります。そのための保険と考えて、チェック体制を厳しくするなどの必要があるのではないでしょうか。
まとめ
人間どうしても、安いものやサービスには弱いものです。けれども安いのにはそれなりの理由があります。何かしらの経費を削減するわけですし、それが人件費であったり安全性の確認作業の短縮であったりします。目先のことにこだわるのではなく、目には見えない安全に対する対価を払うという感覚を持つことも、ヒューマンエラーを減らすためには必要な対策ではないでしょうか。
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