解雇は労働者の生活に大きな影響を与えることです。このために使用者は、労働者から請求があれば「解雇が使用者の勝手な都合によって行われたものではない」ということを証明する必要があります。ここでは、解雇理由の証明書となり得るものについて紹介していきます。
解雇理由証明書
解雇理由証明書とは、使用者が労働者を解雇する際、労働者から請求があった場合に発行しなければならない証明書です。解雇理由証明書は、その名の通り解雇理由が正当なものであるという証明となるものです。労働者が解雇を不服とした場合には、使用者は解雇理由証明書をもってそれが正当な解雇であることを証明します。
そして逆に労働者がその証明は社会通念上認められないと判断すれば、その無効を訴えることが出来ます。また、解雇理由証明書は労働者が退職する前でも請求があれば遅延なく発行しなければならないとされています。一般に解雇理由の証明書とは、この解雇理由証明書のことを指します。
退職証明書
上記の解雇理由証明書が退職前に請求可能なものであるのに対し、退職証明書は退職後に労働者から請求された場合に発行する証明書です。退職証明書は解雇理由証明書を含んだ形になっているため、労働者が退職後に解雇理由の請求を行った場合は、この証明書が発行されることになります。解雇理由に対する記載内容は、解雇理由証明書と同じものです。
また、退職証明書には「使用期間・業務の種類・地位・賃金・退職事由(解雇理由を含む)」が記載されます。しかしこの中で労働者が記載を拒否するものについては、記載できないことになっています。
解雇通知書
解雇通知書は、解雇を行う際に使用者が労働者に対して書面で通知を行う場合の通知書です。一般的にはこの解雇通知書には解雇理由は記載されませんが、もし解雇理由が明示されている場合は、解雇通知書も解雇理由の証明書となり得ると考えられます。
ただし解雇通知書で解雇を通知しかつ通知書に解雇理由が明示されていても、労働者から解雇理由の請求があった場合は、使用者は解雇理由証明書を発行する義務があります。通常は解雇通知書が、解雇理由証明書に記載される内容と同一である場合は解雇通知書の内容でその正当性が判断されます。
解雇理由を証明書によって証明することは、使用者にとっても労働者にとっても重要です。上記のことを参考に、どのような証明書があるのか、どのような内容のものであるかを頭に入れておきましょう。
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