キャリアアップのための転職やフリーランスへの独立など、働き方が多様化している今「退職」を選ぶ方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、退職を伝えるときの伝え方や、退職届を出すタイミングについて詳しく解説。会社を辞めるときに気を付けるポイントをご紹介します。
退職を予定している人は、円満退職するためにもぜひ参考にしてみてください。
- 退職を伝えるときの最適なタイミング
- 退職時に注意すべき5つのポイント
- 円満退社のカギとなる退職時の挨拶&スピーチ
退職を決めてから、退職をするまでの流れ3ステップ
退職をしたいと思っているけれど、どうすればいいのだろうと悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
まずは、退職をするまでの流れを3つのステップに分けてご紹介します。
退職の流れをイメージできるようになって、スムーズに退職を行いましょう。
STEP1.退職を希望していることを上司に伝える
退職を決めた後の1つ目のステップは、「退職を希望していることを上司に伝える」ことです。
「退職=退職届」のイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。
実際には、退職届や退職願を出す前に、退職を希望していることを上司に伝える必要があります。
上司に退職することを了承してもらった後に、退職届や退職願を出すのが一般的な流れです。
STEP2.退職日や有給消化について話あって決める
退職を決めた後の2つ目のステップは、「退職日や有給消化について話あって決める」ことです。
もうすでに転職先が決まっている人は、希望の退職日があるのではないでしょうか。希望の退職日を伝えてその時期に退職できるように交渉しましょう。
また、有給休暇が残っている場合は有給休暇を使うことをおすすめします。
「もう会社をやめるのに有給休暇を使ってもいいの?」と思う人もいるでしょう。しかし、有給休暇は社会人に与えられた権利なので存分に活用することをおすすめします。
STEP3.引き継ぎ・社内外への関係者への挨拶を行い、退職する
退職を決めた後の3つ目のステップは、「引き継ぎ・社内外への関係者への挨拶を行い、退職する」ことです。
「もう会社をやめるのだから」といって、引き継ぎや関係者への挨拶を怠らないことをおすすめします。
次に務める予定の会社と今の会社が取引をしたり、今の会社のお客様との取引をしたりする可能性があります。未来の仕事のためにも、社会人として当たり前のことをしっかりこなしてから退職をしましょう。
退職の意思は何日前までに言うべき?
退職を考えたときに「何日前までに伝えるべき?」「誰にどんな方法で伝えれば受理される?」など、さまざまな疑問が浮かんでくるもの。まずは、退職の意思を伝えるタイミングを詳しくご紹介します。
法律上とビジネスマナーの両方から、適切なタイミングをチェックしていきましょう。
退職の意思を会社に伝えるべき時期は1〜2ヵ月前がベスト
「立つ鳥跡を濁さず」ともいうように、去り際こそ誠実な対応が必要です。退職時には次の担当者への引き継ぎやマニュアル作成業務もあるため、できるだけ余裕を持って退職の意思を伝えるように心がけましょう。
会社側や同僚に迷惑をかけないためにも、退職の意思表示は「1~2ヵ月前」がベスト。少し早い様子のように感じる方もいるかもしれませんが、ビジネスマナーの観点からみると早め早めに伝えるべきなのです。
また、有給休暇の残り日数が少ない場合や次の担当者候補が決まっていない場合には、2ヵ月よりも前に伝えるほうがベター。自身と周囲の状況を考慮したうえで、できるだけ早いタイミングで退職を伝えましょう。
退職届の提出は、民法上では「2週間前」でよしとされている
前述したように、ビジネスマナーの観点で考えると「退職の1~2ヵ月前」の報告が必要だと考えられています。しかし、法律上では退職申し出の期間について、下記のとおり規定されています。
【「退職」についての法律上の規定(民法第627条)】
・当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
法律の規定を考えると、雇用期間の定められていない労働契約の場合は退職2週間前の報告で十分なのです。就業規則上で退職のタイミングや退職願の書式について定められている場合もありますが、法律的な拘束力はないのです。
会社を辞める際、契約によっては民法が適用されない?
ご紹介したように、法律上では退職2週間前の申し出で十分とされています。しかし、完全月給制で働いている人の場合は民法上の規定は適用されず、「該当月前半に申し出=月末」「該当月後半に申し出=翌月末」に退職が認められます。
遅刻や欠勤による控除のない完全月給制の場合、月の途中で退職したとしても会社側は1ヵ月分の賃金を支払う必要があります。会社側が不利益を被らないためにも、完全月給制が民法規定の対象外となっているのです。契約期間が定められている契約社員や派遣社員の方は、とくに注意するようにしてくださいね。
- 通常の正社員:民法上では2週間前、ビジネスマナー上は退職1~2ヵ月前
- 完全月給制:月前半に申し出=同月末の退職、月後半に申し出=翌月末の退職
- 後任探しや引継ぎもあるので、退職の意思は早めに伝えよう
退職時に気をつけるべき5つの注意点
退職は自身にとっても、会社側にとっても大きな影響を与える出来事です。会社や同僚に迷惑をかけないためにも、退職の意思表示から退職願の提出まで、誠実に対応していきましょう。
次は、退職時に気を付けるべき5つの注意点をご紹介しましょう。思わぬトラブルを防ぐためにも、退職時に注意すべきポイントをしっかり確認してくださいね。
1.退職の旨を、まずは直属の上司に伝える
退職を決意したあとは、まず直属の上司に相談しましょう。直属の上司を超えて人事部や同僚たちに報告するビジネスパーソンも多いですが、情報が誤って伝達されるのを防ぐためにも直属の上司に報告したうえで周囲に報告するようにしてください。
直属の上司に相談する場合は、「〇月での退職を考えています」と退職の意思を伝えましょう。上司から退職に至った経緯や転職先について聞かれる可能性もありますが、すべてを報告する必要はありません。
- 誠に勝手ではございますが、退職を考えております
- 突然の申し出で恐縮ですが、~~のために退職することを決意致しました
- 退職を考えており、今後についてご相談させていただけませんか
2.上司と相談して退職日を決める
直属の上司に報告したあとは、「退職日」について上司と相談していきましょう。
退職することに引け目を感じてしまい、どうしても退職の希望日を伝えられないケースもしばしば。しかし、会社を辞める日や希望日を曖昧に伝えてしまうと、なかなか退職できない可能性もあります。双方にとって不幸な結果を招かないよう、しっかりと自分の希望を伝えましょう。
もちろん自分の希望だけを伝えるのではなく、会社側からの要望がある場合には聞き入れる気持ちも必要です。話し合いのなかでお互いの折り合えるポイントを見つけてくださいね。
3.有給休暇を取得できるのか確認する
有給休暇が残っている場合、退職前に消化することも可能です。有給休暇の申請があった場合には基本的に会社側は拒否できませんが、トラブルを防ぐためにも「有給休暇を申請してもかまいませんか?」と確認するようにしましょう。
<退職時の有給休暇の消化例>
- 5月1日時点の有給休暇の残り20日間
- 7月末での退職を予定している
→5月1日~7日10日まで通常通り勤務し、7月11日~月末まで有給休暇を取得
4.就業規則の規定に従って、退職届を提出する
退職日が無事に決まったあとは、いよいよ退職願を提出しましょう。退職願や退職届については会社の就業規則でフォーマットが定められている場合もあるので、事前に書き方や記載すべき事項を確認しておきましょう。書式が決まっていない場合には、インターネット上や書籍にあるテンプレートを利用してかまいません。
退職日の記入漏れや誤記入があった場合には、正式な退職願として受理されない可能性もあります。退職願の記載時には不備がないかを十分確認したうえで、手書きで記入するように心がけましょう。
- 退職願や退職届について社内規則がある場合には、所定の書式を守る
- 有効な退職願として受理されるよう、記入漏れや誤記入には注意しよう
- ビジネスマナーの観点からは手書きが望ましい
5.会社の都合も考慮して、できるだけ円満に退職する
退職時には会社や同僚にネガティブな印象を与えないように、会社の都合をできるだけ配慮する必要があります。「退職するからわがままな行動をしよう」「もう会わない相手だから、適当に対応しよう」と考えるのではなく、これまで以上に誠実な対応を意識すべきなのです。
今後もよい関係でいられるよう、円満に退社できるよう意識してくださいね。
立つ鳥跡を濁さず!退社するときには挨拶を忘れずに
退職時には職場の同僚や上司はもちろん、担当しているクライアントや顧客にも挨拶をしなければなりません。
今後も会社のためにも良好な関係を維持していくためにも、去り際こそ真摯な対応を心がけましょう。
もちろん直接お世話になった人に挨拶をしに行くことが好ましいです。しかし、引き継ぎや現在の仕事などで忙しい人も多いのではないでしょうか。
忙しい場合は、電話やメールで退社の挨拶をしたり、気持ちのこもった手紙を書いたりすることをおすすめします。
退職をした後の保険・税金・年金の手続きはどうする?
ビジネスパーソンになると、保険・税金・年金の手続きを気になる人も多いのではないでしょうか。
保険・税金・年金の手続きは、慣れていないと難しいでしょう。以下では、保険・税金・年金の手続き方法をご紹介します。
保険に関する手続きの流れ
まずは会社の雇用保険、健康保険の手続きの流れについてご紹介します。
退職する前に記入する「雇用保険被保険者離職票-2」には、会社の雇用保険の被保険者であった期間や離職理由(退職が会社都合なのか自己都合なのか)を書く必要があります。
「雇用保険被保険者離職票-2」の用紙は会社から渡されます。記載されている内容に間違いが無いかよく確認して、署名捺印をした後会社に提出しましょう。
この際に、雇用保険被保険者離職票の郵送先やいつ頃届くのかなど受け取り方法を確認しておくことをおすすめします。
健康保険に関しては今の健康保険を継続するか、国民健康保険にするか、家族の健康保険に加入するか選択します。今の健康保険を継続する人は、会社が加入している組合に任意継続被保険者資格取得申出書を提出する必要があります。
国民健康保険にする人は会社が加入している組合に健康保険被保険者資格喪失等証明書交付申請書を提出しましょう。申請後に送られてくる健康保険資格証明書は、退職後に国民健康保険に加入する際必要になるからです。
家族の健康保険に加入する人は家族が勤めている会社に加入する旨を相談してください。
税金に関する手続きの流れ
次は住民税と所得税に関する手続きについてご紹介します。
住民税はいつ退職するかによって手続きが違います。6月から12月の間に退職する場合、住民税は、退職した月までは給与から天引きされます。残りの住民税は市区町村より送られてくる納付書を用いて自分で支払いをしましょう。
1月から5月の間に退職する場合、5月までの住民税が退職する月の給与から一括で天引きされるので手続きはありません。
所得税は退職した年と同じ年に就職するかしないかで手続きが違います。就職する場合、退職した会社からもらう源泉徴収票を新しい就職先に提出するだけです。
就職しなかった場合は源泉徴収票を退職した翌年の2月中旬から3月中旬の間に税務署に提出し確定申告を行ってください。所得税の手続きはインターネットでも行えます。
確定申告は前年度の収入が少ない、医療費を沢山支払っている場合など所定の条件を満たしていると税金が戻ってくる場合があります。損をしないためにも確定申告は必ず行いましょう。
確定申告は退職した翌年に手続きするので忘れないようにしてください。
年金に関する手続きの流れ
最後は年金に関する手続きについてご紹介します。
年金は退職後どうするのかによって2つの手続き方法があります。
退職後すぐ(退職した月と同じ月に就職、もしくは退職したのが月末で次の月に就職した場合)に再就職する人は、退職した会社から返却された年金手帳を再就職先に提出します。
すぐには就職しない人は、退職してから14日以内に住んでいる市区町村の国民年金窓口に年金手帳、印鑑を持参して申請してください。
この手続きと一緒に、失業を理由に保険料を免除あるいは猶予してもらう制度の手続きを行うこともできます。
将来年金を受給する為には、20歳から60歳までの間で年金の支払いが25年間ある事が条件になっています。免除・猶予期間中は年金を支払っていると見なされますので、積極的に利用しましょう。
手続きは、年金手帳や印鑑の他に退職した会社から後日送られてくる雇用保険被保険者離職票が必要になります。必要な書類が揃っているかを確認してから手続きをしに行きましょう。
以上が、退職する際の手続きの流れになっています。普段聞きなれない専門用語や手続きの多さに戸惑う人も多いでしょう。しかし、実際の作業自体は、それほど難しいものではありません。
どんな流れで何が必要で、いつ手続きを行うのか知って、気軽にこなしてください。
退職する際には円満退職できるように努めよう
- 退職の流れを把握して、スムーズに退職を行う
- 退職の旨は、まずは上司に直接伝える
- 保険・税金・年金の手続きも忘れない
本記事では、退職の流れについて詳しくご紹介しました。
退職をすると、引き継ぎや退職の挨拶だけではなく、事務的な手続きをする必要があります。
忙しい中ですべての手続きや作業をこなすためにも、本記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。
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