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正しさだけでは人は動かない!ロジカルシンキングのみで「プロジェクトマネジメント」を行うことの弊害

Shingo Hirono

2014/04/28(最終更新日:2014/04/28)


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by eldelinux
 ロジカルシンキングは様々な場面に応用できる論理的思考術ですが、プロジェクトマネジメントにも応用可能です。プロジェクトマネジメントにロジカルシンキングを用いることで手順の最適化が可能になり、無駄のないスリムな計画を立案することが可能になります。

 しかし、プロジェクトマネジメントに役立つからといってロジカルシンキングのみを利用してプロジェクトマネジメントを行ってはいけません。プロジェクトマネジメントは複数の要素が絡み合う作業です。ロジカルシンキングのみでプロジェクトマネジメントにあたってしまうと、重大な問題が発生する恐れがあります。今回は、「ロジカルシンキング」のみでプロジェクトマネジメントを行うことの弊害について解説します。

正しさだけでは人は動かせない

 ロジカルシンキングとは、論理的な正しさを導き出すための方法です。ロジカルシンキングで実行されるプロジェクトマネジメントは、論理的な正当性を持って運営されることになります。

 しかし、プロジェクトマネジメントの大部分は人間が行う作業です。人間は必ずしも論理的な正しさだけで動くものではない、ということを頭に入れておかないとプロジェクトマネジメントを成功させることはできません。

 ロジカルシンキングがもたらす論理的な正当性は、人を動かす説得材料の一つにはなりますが、すべての人間が論理的な正当性で動くとは限りません。中には論理的な正当性よりも経験や直感を重視する人もいるでしょうし、論理的な正当性を感情的に嫌悪する人がいることも考えられます。

 「頭では理解していても納得できない」というケースは誰にでもあてはまります。ロジカルシンキングは頭で理解してもらうための論理的な正当性を生み出すことはできますが、人を納得させられるとは限りません。論理的な正当性よりも普段の付き合いや情熱、心意気のようなもので動く人は案外多く、それらの要素を一切排除してしまってはプロジェクトマネジメントが成功することなどあり得ません。

 ロジカルシンキングは、あくまでもプロジェクトマネジメントを効率化するためのツールの一つであり、プロジェクトマネジメントそのものであると考えてしまうのは大きな誤解です。様々な要素の一つとしてロジカルシンキングをプロジェクトマネジメントに活用するのが、ロジカルシンキングの正しい使い方です。

現実は常に不確定である

 ロジカルシンキングによって正しい論理的分析を行うためには、関係する要素すべてを正確に把握できていなければなりません。なにか不確定な要素が混じっている場合、その要素が変動することによって、ロジカルシンキングの論理的な正当性は簡単に揺らいでしまいます。

 思考実験であれば、前提となる条件をそろえてロジカルシンキングを行うことが可能ですが、現実を動かすプロジェクトマネジメントの場合、関わるほとんどの要素が不確実性を備えています。

 ロジカルシンキングは不確実性に対して非常に弱く、ロジカルシンキングだけを用いてプロジェクトマネジメントを行ってしまうと、予定外の事態やトラブルに非常に弱くなってしまうでしょう。ロジカルシンキングを利用して、どんなに完璧な計画を立案したとしても、雨が降っただけで計画が全く役に立たなくなってしまうことも十分に考えられるのです。

 論理構成の弊害としての脆弱性を避けるためには、ロジカルシンキング以外の要素をプロジェクトマネジメントに取り入れる必要があります。


 ロジカルシンキングは論理的な思考には非常に効果的ですが、現実は必ずしも論理的に動くものではありません。唯一の手段としてではなく、複数の要素の一つとしてロジカルシンキングを活用すれば、プロジェクトマネジメントを理想的な形で行うことが可能になるでしょう。

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