ヒット商品が企業に与える影響は、非常に大きなものになります。単に売上高や利益が上がるというだけでなく、業務体制や展望、市場との関わりといった企業の根本にまで影響は及びます。
ヒット商品の影響によって、市場のあり方や顧客の考え方までが変わってしまうケースも存在するのです。今回は、ヒット商品が消費者に与える影響について解説します。
業界全体の品質水準の上昇
顧客が望んでいたようなヒット商品が発売された後は、ヒット商品の品質が顧客が期待する品質水準になります。ヒット商品より後に発売される商品は、ヒット商品より優れているかどうか、という判断を顧客にされることになるでしょう。後発商品の品質がヒット商品を上回るものでなければ、顧客の満足度を満たすことはできません。
ヒット商品が基準になっているわけですから、その要求する水準は従来に比べて上がることになります。その結果粗悪な商品や品質の低い商品は市場から淘汰され、業界全体の品質が引き上げられるという影響が確認されるでしょう。
新たな価値観の提案
ヒット商品が今までにはない斬新なものであった場合、その商品は顧客に新たな価値観を提案することになります。今まで顧客自身が気づいていなかった価値観の提案によって新たな市場が開拓され、新しい一分野として認識されることになります。
iPodの誕生により「曲をデータで持ち歩く」という価値観が生まれました。この新たな価値観の提案は、音楽ソフトをCDやカセットテープといったメディアから独立した存在にするという影響をもたらしたのです。
iPodで音楽を聴くために人々は曲をダウンロード販売で購入するようになり、音楽ビジネスそのものの在り方をも大きく変わる結果になりました。長年続いてきた音楽販売の流通形態を転換させるほど多大な影響を与えた大ヒット商品の事例です。
過去商品の衰退
ヒット商品が過去の商品と性能的に重複し、かつ優れた存在であった場合、過去商品の売り上げは徐々に低下していき、最終的には縮小から消滅という結果をたどることになります。
ライターという画期的なヒット商品が開発されたことにより、それまで点火のために使用されていたマッチの生産は減少の一途をたどることになりました。現在でもマッチの生産は続いているものの、全盛期とは比べ物にならないほど生産量は減少しています。
マッチという過去商品がライターというヒット商品により市場を失ったわけですが、画期的な新技術によって、開発されたヒット商品が過去商品に対して多大な影響を及ぼした典型的なケースになります。
ヒット商品が多大な影響を及ぼした時こそ、新たなビジネスチャンスです。ヒット商品の影響を利用して、様々な分野を見直してください。そのことがビジネスににイノベーションを起こすきっかけとなり、更に大きな利益を企業にもたらすでしょう。
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