SWOT分析というマーケティング手法を知っている人は多いだろう。
SWOT分析は自社の戦略を考えるために使われることが多いが、他の企業の分析にも活用することができる。
今回は、世界的に有名なマクドナルドと日本を代表するメーカーであるソニーのSWOT分析について見ていきたい。
SWOT分析とは?
「SWOT分析」の意味・活用シーン
分析を行う前に、まずSWOT分析とは何か?ということを説明しておきたい。
SWOT分析を活用するのは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や、個人のプロジェクトやベンチャービジネスなど多岐に渡る。
外部環境や内部環境を、強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4カテゴリーに分けて、それぞれの要因分析を行っていく。
事業環境変化に対応した、経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法がSWOT分析なのだ。
「SWOT」の意味
- S:強み (Strengths)
- W:弱み (Weaknesses)
- O:機会 (Opportunities)
- T:脅威 (Threats)
【SWOT分析①】マクドナルドのSWOT分析
世界中で店舗を展開させている多国籍企業である「マクドナルド」。
なぜマクドナルドはこれほどの成功を収めることができたのだろうか?
まずはマクドナルドの戦略について、SWOT分析を用いて考察していきたい。
【SWOT分析・例】マクドナルドの「強み」
マクドナルドの強みは、世界に展開するブランドイメージである。
「ファストフードといえばマクドナルド」などのように、ブランドイメージがあることにより、マクドナルドは世界中にネットワークを持つことが可能。
ビジネスにおいて、情報は非常に重要なものである。
とくに飲食店においては、現地の人の好みを知ることが成功の鍵になる。世界規模のネットワークはm情報面においても大きな強みといえるのだ。
【SWOT分析・例】マクドナルドの「弱み」
次に弱みは、企業の巨大さから来る「戦略の脆さ」である。
マクドナルドは過去に商品価格の大幅な値下げを行い、業績向上を目指したことがあった。
しかし、その戦略によって外食産業の価格競争が加速。客単価を大きく下げることに繋がってしまったのだ。
現在はその反省から適切な価格設定を行っているが、世界規模に展開する企業における一つのミスは大規模な利益の減少に繋がってしまうことがわかる。
【SWOT分析・例】マクドナルドの「機会/脅威」
マクドナルドにおける「機会と脅威」は、低価格を売りにした外食企業や小売店が、多く出てきたことであると考えられる。
なぜなら、吉野家などの牛丼チェーンやコンビニでも、気軽に、そして安く食料品を購入できるからだ。
そんな脅威を逆手に、マクドナルドは東京の表参道などの店舗でマックカフェをオープンさせ、ゆっくりした空間で食事や会話を楽しみたい顧客のニーズをつかむ戦略を実行中。
脅威を機会に変えたことで、マックカフェは通常のマクドナルド店舗と比べ、売上が15%上回っているとのこと。
脅威を機会と捉えて成功している企業事例である。
【SWOT分析②】ソニーのSWOT分析
次はソニーの事例を見ていこう。
日本の強みである「モノ作り」。
そんな日本のお家芸ともいえるメーカーを分析して比較することは、戦略を立てる上で非常に参考になる。
日本のモノづくり企業の一つである「ソニー」をSWOT分析してみよう。
【SWOT分析・例】ソニーの「強み」
まず、ソニーの強みは、多角化戦略の成功である。
現在の社会はコモディティ化が進み、どれだけ優れた技術を持っていても、すぐに技術は一般化し、価格競争に巻き込まれてしまう。
そのため、多角的な事業を行えるということは非常に大きな強みであると考えられるのだ。
【SWOT分析・例】ソニーの「弱み」
次にソニーの弱みは、中長期的な戦略が不明瞭さが挙げられる。
戦略が不明瞭であるということは、投資家からの信用を失い、会社の資金調達に支障をきたす可能性が高くなってしまう。
もしあなたが投資家だった場合、事業の撤退や大規模なリストラを行っている企業に投資したいと思うだろうか?
とくにメーカーにおいては、資金がなくなるということは設備投資が難しくなり、技術力の低下を招くという悪循環に繋がる。
メーカーにとって、技術力はライフライン。だからこそ、こういった戦略の不明瞭さは「大きな弱み」として考えられるのだ。
【SWOT分析・例】ソニーの「機会」
また、機会としては、他国におけるテレビ事業の成功が挙げられる。
中でもインドでの成功は非常に大きな出来事だ。
今後2050年まで人口が伸び続けるインドでは、中間所得層の増加から莫大な利益が出ることが予想される。
ソニーにとって必ずモノにすべき「機会」といえるだろう。
【SWOT分析・例】ソニーの「脅威」
上述した機会には、「脅威」となる競合他社の参入ももちろん存在する。
とくにアジアにおける事業展開において、韓国のサムスン、LGなどの会社は競合として意識しなければならない。
サムスンは、韓国が年間に稼ぐ利益の大きな割合を一社で占める資金基盤を持つ企業だ。
サムスンは潤沢な資金を元手に、アジアにおいて大規模な事業展開を行っている。
ソニーがアジアにおいて再び成功を手にするためにはこういった脅威に打ち勝つ必要があると考えられるのだ。
今回は、世界的な多国籍企業と日本を代表するメーカーという2つの事例を分析してきた。
両者はその強みをしっかりと認識し、機会を確実に掴んでいるようであるが、こういった大企業においても、弱みとそれに伴う脅威は必ず存在するのだ。
SWOT分析の良さは、「弱み」「脅威」といった見逃してはならない視点を確実に抑えつつ分析を行えるということにある。
本記事で扱った事例以外にも、自社の競合をきちんと分析し、会社の利益向上を目指そう。
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