新しい商品を開発するとき、それを「ヒット商品」にしたいと考えるのは、すべての企業や担当者にとって当然のことと言っていいでしょう。ヒット商品には「必ず」とまでは言えないまでも、多くのケースに共通する性格や特徴があります。その傾向について、ここでは話をわかりやすくするために「過去5年間の『食』に関するヒット商品」にスポットを当てて、その共通点を考えてみましょう。
過去5年の「食」に関するヒット商品
順不同で、過去5年間にヒットした「飲食関連商品」を列記します。すでに「懐かしい」と感じるものもあるかもしれませんし、完全に「定番化」している商品もあります。どこに共通点があるのか、ヒットした秘密はどこにあったのかを考えながら、商品名をチェックしてみてください。
ヒット商品例:コンビニコーヒー、マルちゃん正麺、塩麹、東京チカラめし、マッコリ、ポン酢ジュレ、タニタ食堂、レンジでチンするから揚げ粉、角ハイボール缶、午後の紅茶エスプレッソティー、1杯でしじみ70個分のちから、チンしてこんがり魚焼きパック、辛そうで辛くない少し辛いラー油
共通する特徴とは?
共通点は、「ヒット商品の多くは『発明』や『革命』ではなく、ちょっとした工夫やマイナーチェンジ、組み合わせなどによって新しい価値を生み出している」ということ。上記の例の中で「発明」に近いものは「レンジでチンするから揚げ粉」と「チンしてこんがり魚焼きパック」ぐらいなものでしょう。この2つも、「人気の家庭定番料理を手軽に作るためのアイテム」です。つまり、何か新しい「食」を発明したわけではありません。その料理方法が新しくなっただけです。
他の商品はみな、「ちょっとした工夫」で生まれたものか、古くからあるものに新たなスポットを当てただけという商品ばかり。マルちゃん正麺は、ファンにとっては「革命」と感じられるかも知れませんが、要するに「麺の品質をアップさせた商品」ですし、昨年大ヒットし、それ以来、スーパーやドラッグストアまで取り入れるようになった「コンビニコーヒー」も、ただ挽きたてのコーヒーをコンビニで提供しただけです。
また、単なる「組み合わせ」によってヒットした商品も少なくありません。「ポン酢」と「ジュレ」を組み合わせて作られた「ポン酢ジュレ」、ごく普通の食品である「ラー油+オニオン+ガーリック」で出来た「辛そうで辛くない…」など、がその好例です。
もう1つ、多くのヒット商品に共通しているのが「ターゲットの層の幅広さ」。上記の例の中では「角ハイボール缶」だけ、当然、お酒を飲む人にターゲットを絞っていますが、あとはすべて、老若男女が客層になる商品ばかりです。
少し古いヒット商品になりますが、「甘栗むいちゃいました」が典型的な例です。皮を剥く手間を省いただけで大ヒットし、今ではすっかり「当たり前」のようになってしまった大傑作。ここに最大のヒントがあります。ヒット商品の共通点はつまり、「奇をてらわず、革命を狙わず、ちょっとした工夫によって『新しさ』を感じさせ、幅広い客層にとって生活に有用であること」と言っていいでしょう。
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