日本のものづくり技術の象徴のひとつであった家電業界に、今大きな変化が起こりつつあります。日本においても、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電としてハイアールブランドの商品が多くみられるようになりました。
中国のブランドであることを理解して「どうせ粗悪品なんでしょ?」「やっぱり日本の一流メーカーにはかなわないよ」と漠然と高をくくっている人も多いかと思います。しかしハイアールは、緻密なマーケティングによりグローバル規模で成長していった企業の一つとして、今世界中から注目を集めています。
中国=低品質という思いこみ
私たちは、中国の製造業を連想するとコピー商品・海賊版・粗悪品などと、ネガティブな感情を抱いてしまいがちです。ニュースや新聞などで報道されるのは、中国製品などの欠陥や粗悪な労働環境などネガティブな物が多く、確かにそういうイメージを抱いてしまうのも仕方の無いことかもしれません。
日本の家電は高品質で高機能であり、中国製品など単なる廉価商品、安物買いの銭失いに過ぎないと思い込んでいます。しかし、ハイアールは確かなマーケティングにより世界中に顧客のニーズを掴み加速度的に成長している企業なのです。
マーケティングにより市場を分析
ハイアールは1984年に誕生した若いメーカーであるにも関わらず、現在では世界中の主要都市で展開されるほど急速に成長しています。
M&Aなどをセ局的に行なうことを通じて、他の企業のノウハウや知識を吸い上げていることも急成長を支える要因の一つですが、顧客のニーズや需要をくみ上げて製品化するマーケティングの妙がなによりの成功の秘訣です。世界中の国や地域が持つニーズ、風土や慣習に合わせて商品化する戦略が各地で功を奏しています。
ハイアールに学ぶべき点
日本のものづくりは世界的にすごいと言われています。しかし、今日の日本の製造業が直面している低迷感は、なによりもこのマーケティングの不徹底が大きな要因となっている可能性が高いのです。
消費者が本当はなにを求めているか汲み取れていないにも関わらず、とにかく高機能・新機能・付加価値に走ってしまい、消費者の求めていないパッケージの商品を生み出している面も大いにあります。
その反面ハイアールでは、必要な機能だけに絞ってシンプルな機能で質の良いものを提供するという戦略をとっているので、機能性を重視する多くの人々から支持されているのです。廉価感を逆手にとってのパッケージングは、まさにパラダイムシフトと言えるでしょう。
グローバルに成功したハイアールの強みは、この世界のいかなる地域の人たちをも対象として、緻密に徹底したマーケティングリサーチにより消費者や顧客のニーズを的確にくみ取ったことです。ハイアールの猛烈な成長は、この一貫したマーケティングの体制に裏打ちされているので、これからもますます注目を浴びていくことでしょう。特にマーケティングが弱いと言われている日本の製造業は、このハイアールの事例に学ぶべきことは多いはずです。
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