業種や職種、会社の理念などによって、自己裁量権の大きい職場とそうでない職場があります。自己裁量権の小さな職場では、上司がそれぞれのスタッフの仕事について、細かい指示を出すのが一般的でしょう。自己裁量権が小さいということは、それだけリーダーのコントロールの持つ意味が大きく、その適切な指示に基づいて、各自が仕事を進めていくことになります。
では、自己裁量権の大きな職場はどうかというと、やはり上司の指示は大変重要な意味を持っているのです。小さな職場とは指示の種類や性格は当然違ってくるでしょうが、それでも、上司の指示なしで、セクションとしての成果はあげられません。それはなぜか、裁量権の大きい職場で上司が出す指示の2つの目的について説明します。
1. 大目標、大目的を見失わせない
自己裁量権の大きい職場では、各スタッフが自己責任に基いて、かなり自由な発想で仕事を進め、自律した行動、判断を行います。各スタッフは「自分の仕事」について、大きな責任を負い、意欲をもって仕事に取り組むわけです。その意欲が大きければ大きいほど、また、責任感が強く発想力の豊かなスタッフほど、仕事に熱中するあまり視野が狭くなってしまう傾向にあります。
それが時として、セクションの大目標や会社・組織としての大目的を見失わせてしまうという、過ちを生んでしまうのです。これは大変危険なことと言っていいでしょう。その本人は意欲に満ちて、積極的に仕事をしているのに、その目標や目的が組織のそれとズレてしまったのでは、努力は水泡に帰してしまい、場合によってはセクションにとってマイナスの結果を生むことにもなりかねません。
そこで必要になるのが、上司からの指示です。各自が進める仕事が大目標や大目的に則したものであるよう、リーダーは仕事の内容や進行状態を随時チェックし、適切なアドバイスをし、その必要があれば軌道修正しなければなりません。これが自己裁量権の大きい職場で上司が仕事の指示をする、1つ目の目的です。
2. 各スタッフが安心して自己裁量権を行使できる
逆にスタッフサイドから見てみると、上司が適時、適切な指示を与えてくれることによって、より自由に仕事を考え、勧めていくことができるわけです。「自分の判断は正しかったのか、自分が進もうとしている方向は間違っていないか」という不安や迷いを解消するための、上司の指示と言っていいでしょう。
上司からの指示があれば、スタッフは安心して自己裁量権を行使できる。そうなれば、より自由で豊かな発想ができ、より大きな成果に結びつけられるでしょう。これが2つ目の目的です。
自己裁量権が大きければ大きいほど、リーダーは大所高所に立って、各スタッフの仕事をチェックし、適切な指示を出さなければなりません。自己裁量権が大きい職場だからこそ、各自の仕事に対する指示が重要な意味を持ち、大きな目的を持っているといっていいでしょう。
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