ファッションブランドは、数ある業種の中でも最もマーケティングにおけるイメージ戦略が重要な業種です。そして、そのイメージ戦略をデジタルマーケティングで行ってきたブランドは、常に消費者を引きつけることに成功しています。ここではデジタルマーケティングを実践してきた代表的なファッションブランドを挙げてみたいと思います。
1. BURBERRY
BURBERRYのデジタルマーケティングは、その明確さと一貫性から他のファッションブランドにも大きな影響を与えています。BURBERRYのデジタルマーケティングの始まりは、2006年にアンジェラ・アーレンツがCEOに就任してからのことです。アーレンツが行ったデジタルマーケティング戦略の大きな特徴は、以下の2点です。
1. ブランドアイデンティティの確立と若者への情報発信
アーレンツはまず、「BURBERRYはイギリスのコート作りから始まったブランド」であるということを前面に打ち出し、このブランドアイデンティティを全世界で統一しました。そして、他のブランドがターゲットとなる年齢層の絞り込みを行わない中、あえて「1990年以降に生まれた若者」にターゲットを絞り、そのターゲットに向けたデジタルマーケティングを展開したのです。
「ART OF THE TRENCH」「BURBERRY ACOUSTIC」「Vine」を使った広告」などは、その象徴的なデジタルマーケティング手法です。
2. リアルタイム性の追求
また、アーレンツが行ったもう一つの特徴的な戦略は、マーケティング戦略への消費者参加をリアルタイムで認めたことです。それまではファッションブランド、特に高級ブランドはリアルタイム性とは無縁な存在でした。
しかし、アーレンツはここにあえてリアルタイム性を持ち込み、「ファッションショーと販売の同時並行化」「ファッションショーとツイッターの融合」などのこれまでの常識では考えられなかった試みを行ったのです。このことが、BURBERRYがターゲットとした若者の興味を引き、今までなかった高級ブランドとしての地位を築くことに成功したと言えます。
2. RALPH LAUREN
RALPH LAURENもBURBERRYと並び、デジタルマーケティングをいち早く取り入れてきたブランドです。2006年には旗艦店の店頭のフロントウインドウをタッチパネル式とし、閉店後もそのタッチパネルから購入可能とするなど、画期的とも言えるデジタルマーケティングを展開してきました。
中でも、「RALPH LAUREN 4D」と呼ばれるホログラフィーと香りを使った「4D」のバーチャルショーは非常に有名です。これら以外でも「RL MAGAZINE」では「世界各国への冒険」を楽しめ、「RL Style Guide」では「各ライフスタイルに合ったRALPH LAURENを着こなすためのヒント」が掲載されるなど、その戦略は多彩です。
また、「RL Vintage」ではビンテージ品を取り扱うなど、常にデジタルマーケティングを追求してきた代表的なファッションブランドらしい戦略も各シーンで見られます。
以上、デジタルマーケティングを実践してきた代表的なファッションブランドを紹介してきました。現実(リアル)での体験がマーケティングの中心となっていたアパレル業界も、少しずつネットを取り入れたマーケティングも活発になってきています。ファッションブランドのデジタルマーケティング化は、今後も注目に値すると言えるのではないでしょうか。
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