ビジネスシーンにおける予算交渉は、シビアな仕事の一つと言ってよいでしょう。バブル期と違って、どの会社も予算削減に必死になっています。現代は、戦後の好景気時代のように、創意工夫をしなくとも右肩上がりに売上があがる時代ではありません。売上がなかなか増えない状況で、利益を確保するためには、必然的に予算を削減するしかないのです。
そんなシビアな予算交渉ですが、メールで行う場合にはどういった点に注意しなければならないのでしょうか。メールは、直接の面会・電話と違って、相手の言外の雰囲気・表情がわかりません。またこちらがメールを発信して、相手がメールを開いて読むまでにタイムラグが発生するため、緊急性を要する内容の連絡方法としては不適切な場合があります。
今回は、営業部に在籍するA課長が、会社の予算を管理する経理部と、次年度の営業部予算額の交渉をする場面を想定し、メールで予算交渉をする際に注意すべきことについて紹介します。
1. 今年度割り振られた予算をベースに、話を進める
営業部の次年度予算を交渉するにあたって、今年度割り振られた予算額を基準に、交渉を進めましょう。今年度実績というのは、大きな意味を持ちます。大幅に予算が増額されることは難しいと言わざるを得ませんが、一方で、会社の経営状況が悪化していない限りは、予算が大幅に減額されることも考えにくいでしょう。
また、大規模な会社の組織変更がない限り、今年度と次年度の営業部の活動は、ほぼ同じである場合が多いです。次年度に初めて取り組むプロジェクトがあれば、次年度予算は今年度のものよりも増額してほしいと交渉しましょう。一方、今年度実施していた活動を次年度は行わない場合は、次年度予算は削減されてしまいます。この点は、他に新規業務がない限り、了承するしかないでしょう。
2. 希望する予算額は、多めの額を伝える
予算交渉がメールのみで完結することは難しいです。最終調整の段階では、会議で直接面会するか、電話を使うことになるでしょう。そこで、最初の時点で予算交渉をメールで行う場合には、妥協した予算額ではなく、想定よりも多めの金額を伝えておきます。こちらが最初に提示した予算から、額を下げることは簡単でも、額を上げることは不可能だと考えて下さい。
営業における見積提示でも同じことが言えますが、最初に低い額を伝えてしまうと、最終的には、より一層低い額に決着してしまうかもしれません。まずは想定よりも多めの予算額を、希望として提示し、経理部の相手の出方を見てみましょう。相手の出方を見て、予算額を減らすのはいくらでもできます。
いかがでしょうか?メールは送り手・受け手双方の顔が見えませんので、メールでは相手に敬意を払った表現を使いましょう。大切なことは、こちらの希望する予算額を獲得すること。それが無理であっても、極力希望予算額と近い額に決着させたいものです。予算交渉に関する内容以外の点で、相手に不信感を持たせてしまっては、こちらにとっても損です。
最後に、「予算額の数字を一ケタ間違えてしまった」といったことがないよう、特に数字は入念にチェックした上でメール送信しましょう。
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