今日中に仕上げなければならない仕事が、思うように進まず、時間ばかりがどんどん過ぎてしまって、なかなか終わらせることができない。そういう時は、誰でも焦りを感じてしまうものです。焦りは人間にとって自然な感情。それ自体をシャットアウトすることは難しいでしょうし、あえてシャットアウトしようとする必要もありません。要は、その焦りがストレスにつながらなけれはいいわけです。
では、どうしたら、それが可能なのでしょうか。カギは「シーシュポスの神話」。仕事がなかなか終わらないという焦りをストレスにしないための方法と、考え方について話していきます。
果てしのない徒労「シーシュポスの神話」
ギリシャ神話に登場するシーシュポスは神に命じられて、大きな岩を山頂まで運ぶ労働を強いられます。大変な思いをして山頂まで運んで「やれやれ」と思ったのもつかの間、神の力によってその大岩は山頂から転げ落ちてしまいます。神に命じられた労働を拒否するわけには行きません。シーシュポスは麓に下りて、再び岩を運び始めます。山頂まで運ぶと再び岩は転がり落ちる。そして、この意味のない労働は永遠に続くのです。
これが、シーシュポスの徒労と呼ばれる神話です。アルベール・カミユは「シーシュポスの神話」というタイトルの作品を残していますので、読まれた人も多いのではないでしょうか。
さて、あなたが今取りくんでいる仕事は、それがなかなか終わらないものであったとしても、シーシュポスの労働とは全く違います。意味のある労働ですし、対価が得られ、そしてゴールがあるのです。シーシュポスの徒労を思い出して、「よかった、自分の仕事には必ず終わりがくる。少しずつでもゴールに近づいている」と考えてみてはどうでしょう。焦りは残ったとしても、ストレスを感じることは避けられるはずです。
「現在地」と「成果」の確認
そうした意識を持った上で、2つの確認をすることをおすすめします。それは「現在地」と「成果」の確認です。全体の仕事量の中で、現在、およそどれくらいの地点まで来ているのか、これまでに完了した仕事量、つまり成果はどれくらいあるのか、随時確かめてみましょう。
「ちょっと小休憩」というようなタイミングで確認するといいでしょう。「これだけの仕事をしてきた。今いる地点はここだ。あとはこれだけだ」ということがわかると、ただ焦りながらやみくもに仕事を続けるよりも、ずっと「視界」が広がります。要するに仕事の閉塞感から解放されるのです。現在地が確認され、成果を認識し、全体が見えることで、焦りがストレスに繋がることを避けられると思います。
自分の仕事はシーシュポスのそれではなく、着実に前進しながら最終的なゴールへ一歩一歩近づいている。そう認識することが大切です。上記の方法を取れば、やがて焦りも薄れていくはず。そうすれば、作業効率も自然にアップし、ゴールへの距離がどんどん縮んでいくことでしょう。
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