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製品ライフサイクルの「問題児」に入った製品が実行すべきマーケティング戦略

Shingo Hirono

2014/04/10(最終更新日:2014/04/10)


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製品ライフサイクルの「問題児」に入った製品が実行すべきマーケティング戦略 1番目の画像
by David Blackwell.
 マーケティングで使われる用語の一つに、「問題児」と呼ばれるものがあります。これはPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)と呼ばれるフレームワークで使われる用語です。

 PPMとは、製品を市場の成長性と占有率(シェア)から分類された4つのマトリックス上に製品を置き、今後の方向性を考えるというもの。では、一体「問題児」とは何でしょうか。また、問題児のマーケティング戦略とはどのようなものでしょうか。

1. 「問題児」とは

 PPMでは、縦軸に市場成長性を、横軸に市場占有率を取り、その高低によって製品をそれぞれ「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」と位置付けます。この中での問題児は、「市場の成長性が高いが、市場占有率が低い」ものを指します。市場には今後の成長性を見込んで競合が進出しており、現段階ではまだ自社のシェアが低い製品ということです。製品ライフサイクルでは、導入期や成長期にあたります。

 現在の市場では、例えば高齢者向けの宅配サービスなどを挙げることができるでしょう。高齢者向けの宅配サービスは成長性が見込まれるために業種を超えて参入者が相次いでおり、シェアを獲得するのが非常に難しい市場です。この場合、新たな宅配サービスを始めると、まずは問題児としてスタートするということになるということになります。

2. 問題児のマーケティング戦略

 問題児のマーケティングには鉄則が2つあります。それは、

1. 「金のなる木」の利益を投資し、花形にする
2. 撤退の見極めを慎重に行う

 ということです。まず「1」についてです。「金のなる木」とは、成長性が低いが高いシェアを獲得しているという製品です。例えばエアコンや冷蔵庫など、市場が成熟していて成長性が低いものの、ある程度のシェアがあれば需要は必ずあり、一定の利益が見込めるというような製品が挙げられます。

 このような「金のなる木」は安定した利益が見込まれるため、ここで得た利益を問題児のシェアを高めるための投資に使い、市場成長性も高く、シェアも高い「花形」と呼ばれる製品にしようという考えです。

 そして「2」です。問題児は競争が激しい市場にいます。よって、そのマーケティング戦略の効果を見極め、撤退を常に視野に入れておかなければなりません。マーケティング戦略が成功した場合に限り次のステップに進みます。

 うまくいかない場合は、競争に勝てないまま市場の成長も止まってしまう可能性があるためです。市場の成長率が低く、シェアの低い製品は、「負け犬」と呼ばれます。ですから、負け犬になる前に早期撤退を視野に入れたほうが良いでしょう。


 「問題児」のマーケティングには、ある一定額以上の投資が必須となります。それが故に、花形になるか負け犬になるかで、企業へのインパクトは大きく異なってくるのです。上記のことを常に検討しながら、マーケティング戦略を立案する必要があると言えるでしょう。

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