製品には、ライフサイクルという考え方があります。製品は、導入期→成長期→成熟期→衰退期という時期を順番に通過し、最後には市場から消滅するという考え方です。そして、製品がライフサイクルのどこにあるかにより、効果的なマーケティング戦略は異なってきます。ここでは各ライフサイクルの特徴と、その時期に適したマーケティング戦略について考えてみます。
1. 導入期
導入期とは、新製品が開発され、市場に投入された直後に当たる時期です。この時期はまだ商品は認知されておらず、イノベーターと呼ばれる新製品に敏感な消費者が主な購入対象者となります。しかし、イノベーターは消費者の中でもわずか数%しか存在せず、かつイノベーターは「最初に使うこと」に意義を感じるので、品質などには興味がないと言われているのです。よって、この時期のマーケティング戦略は、「企業側から消費者に対し、製品の本質的な機能を可能な限り広く認知させること」となります。
2. 成長期
導入期の認知を広げるためのマーケティングは、「初期採用者」の購入を促します。初期採用者とは品質に興味を持ち、品質の良いものは積極的に使いたいと思っている消費者です。そしてこの初期採用者は、口コミなどで「前期一般購入者」と呼ばれる、口コミなどを見て購入しようとする層を呼び寄せる力を持ちます。
また、この時期は成長性に目をつけた競合企業が参入してくる時期でもあります。初期採用者が製品を認めると、広く前期一般購入者に認知されて競合企業に対する競争力強化にもつながります。よってこの時期のマーケティング戦略は、「初期採用者の反応をくみ取り、それを製品に反映させて、品質の良さをアピールして前期一般購入者を引き付けること」となります。
3. 成熟期
前期一般購入者が購入し始めると、成長期から成熟期に移行します。そしてその製品は、「後期一般購入者」にも広がることとなります。後期一般購入者とは、本格的な普及を見て初めて購入する消費者です。
この時期になると、製品は広く認知され、すでに品質も消費者に理解されています。よってこの時期のマーケティング戦略はこれまでとは異なり、「品質以外の付随機能の追加や価格ダウン、イメージ戦略、競合企業との差別化」などとなります。
4. 衰退期
この時期になると、すでにほとんどの消費者が購入し、競争による優劣もはっきりしています。この時期に購入する消費者は採用遅延者などと呼ばれ、必要に駆られて仕方がなく買う、というような層です。
そして成熟しきった製品は、新たなイノベーションを生み出します。よって、この時期にはマーケティング戦略はほぼ不要となり、必要なことは現在の顧客のケアと撤退時期の模索、新たなイノベーションへの取り組みです。
このように、製品のライフサイクルによりそのマーケティング戦略は異なります。製品の現在のライフサイクルを適切に判断することが、マーケティング戦略を成功に導くと言えるのではないでしょうか。
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