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コンテンツマーケティングの基礎として知っておきたい「ストーリー」の考え方と作り方

Shingo Hirono

2014/04/09(最終更新日:2014/04/09)


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by jurvetson
 最近注目を集めている新しいマーケティング戦略として「コンテンツマーケティング」と呼ばれる戦略があります。コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のあるコンテンツの提供と商品価値を関連付けることによって新たな価値観の提供を呼び起こすマーケティング戦略。

 従来のマーケティング戦略で見られる分析や調査といった消費者の潜在的な欲求を掘り起こす戦略とは異なり、企業側からの積極的なアプローチによる新しい価値の創造を目指す戦略です。今回は、コンテンツマーケティングの基礎として知っておきたい「ストーリー」の作り方を紹介します。

ストーリーという戦略

 コンテンツマーケティングにおけるストーリーとは、顧客が単なる製品のユーザーとしてではなく主体的意思を持った一個人として製品を取り巻く環境に参加し、体験や価値観の共有を目指す戦略の一種です。

 従来型のマーケティングでは、顧客は製品を選択・購入する消費者として認識されてきましたが、コンテンツマーケティングにおいて顧客は企業とともに製品を育て上げる主体的な参加者として捉えられます。消費者としての受身の存在ではなく、主体的に製品に関わることで製品の持つ機能以上の価値を共有し、企業と顧客の理想的な関係性が実現するのです。

ストーリーとは何か?

 ではストーリーとはいったいどのようなことを指すのでしょうか。一般的にはブランドイメージや世界観といった言葉がストーリーに相当します。あるブランドを思い浮かべたとき、人はそのブランドらしさというものをイメージするでしょう。顧客は製品を購入することによりそのイメージや体験を共有することが可能になり、ブランドとの共通体験を通じて消費活動を行います。

 顧客の消費行動は製品によって得られる効用によって決定されますが、ストーリーはその効用を押し上げる効果を発揮し、価格の上昇に耐えうるだけの価値を製品に付加価値として与えます。同じ機能を持った製品であっても、ブランドから発売されていれば価格が上昇するのは、ブランドというストーリーが存在するからに他なりません。単純なモノとしての価値を超えた体験を与えるものが、コンテンツマーケティングにおけるストーリーになるのです。

ストーリーの具体例

 現実のビジネスにもストーリーを活用している例はたくさんあります。コンテンツマーケティングにおけるストーリー活用の成功例として知られているのがディズニーです。ディズニーのファンはディズニーのコンテンツそのものではなく、ディズニーの提供するストーリーに共感して製品を購入し、サービスを利用します。ディズニーランドには毎年たくさんの人が訪れ、ミッキーマウスとの出会いを楽しんでいますが、その中で何人の人間がミッキーマウスの映画を見たことがあるのでしょうか。

 ディズニーの提供するストーリーは、映画のキャラクターとしての価値を超えたミッキーマウスを創造し、顧客に提供することに成功しています。ディズニーグッズより優れた機能を持った製品は数多くありますが、機能的に優れた商品よりもミッキーマウスが描かれた製品の方が人気があり、しかも高値で売られているのです。高値であっても人気があるのはディズニーのストーリーに顧客が満足しているからに他なりません。

 ストーリーとしてディズニーを捉える場合、その価値観を守るための努力が常になされている事実に気づかされます。ディズニーランドの最寄り駅は当初ディズニーランド駅という名前になる予定でしたが、ディズニーの名前を使うのであれば駅のデザインもディズニーの世界観に沿ったものでなければならない、という声がディズニーランド側からあがったために、舞浜という駅名に変更されました。これもディズニーランド側が自らのストーリーを守るためにとった行動であるといえます。


 ストーリーを提供することで顧客の共感が生まれ、企業に対する信頼や憧れの感情が生まれるのです。その理想的な関係が成立した場合、企業の提供する製品は機能や価格に関わらず高い競争優位性を確保することが可能になります。技術的に成熟した市場ほど、ストーリーの持つ価値は重要になるでしょう。ストーリーによる企業価値の向上は、理論的には無限に高めることが可能です。

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