新商品の企画・開発は企業にとって重要なものですが「商品企画」と「商品開発」は似ているようで大きく違う活動です。この2つはよく混同されがちなのですが、果たすべき役割や目的は全く異なり、違いを認識して仕事をしないと大きな失敗をしてしまうことになります。今回は、企業活動としての「商品企画」と「商品開発」の違いとそれぞれの役割について解説します。
商品企画とは望ましい商品のイメージを明確にする作業
商品企画で行われる作業は、顧客調査や市場調査などで集めたデータを分析し、顧客が潜在的に欲している商品の形をイメージとして明確にすること。どのような商品を作るのか、というおおもとのイメージを固めることでより良い商品を生み出すための土台をつくり、プロジェクトの目指すべき方向性を明らかにする作業です。
商品企画では、商品のターゲットの絞り込みが重要な意味を持ちます。どのような年齢のどういった人が使用する商品なのか、どのような場面で使用する商品なのか等、商品そのものではなく商品が使われる場面や使用者を想定することで、商品のイメージを具体的なアプローチから形にしていく作業が行われます。
商品開発とは実現性のある技術でイメージを形にする作業
商品企画で明確化されたイメージを現実の形に起こす作業が商品開発です。商品企画がアイデアやコンセプトといった無形のものであるのに対し、商品開発は実際に販売可能な具体性のある結果が求められます。
商品企画は実現困難なものであっても成立しますが、商品開発では実現可能性のないものは意味がありません。顧客に届ける商品の最終的なアウトプット作業が商品開発で求められる要素です。商品開発に失敗すれば、どんなに優れた商品企画であっても最終的な商品が完成せずにプロジェクトそのものが頓挫してしまいます。商品開発にはイメージを形にする高い技術力が求められます。
商品企画と商品開発の相互作用が新たな可能性を切り開く
新商品を生み出す場合まず最初に商品開発でコンセプトやイメージが明確化され、それを実現するために商品開発が行われます。作業手順では商品企画が商品開発の上に位置していますが、必ずしも商品開発の方が下の立場とは限りません。商品開発側の新たな技術提案により商品企画そのものが変更される場合もありますし、ケースによっては商品開発が先に行われる例も珍しくありません。
商品開発が商品企画の上に位置するケースとして、ポストイットの開発が挙げられます。一度貼っても簡単にはがせるポストイットは、本来は商品企画にはない商品でした。
これは接着剤の研究中にあまりにも接着力が弱い接着剤ができてしまい、その技術を逆に生かすことはできないかという考えの結果「一度貼っても簡単にはがせる付箋」という商品企画が生まれました。接着剤の研究は商品開発に分類される作業ですが、商品開発の結果として新たな商品企画が生まれた例となっています。
商品企画と商品開発は混同されがちな作業ですが、新商品に果たす役割は大きく異なります。両者の違いを知ったうえで、相互作用を利用してより良い結果を生み出すことが、ビジネスの成功に繋がっていくのです。
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