今までの日本企業の人材採用といえば、新卒の人材を一括で採用するのが一般的でした。しかし、最近その新卒使用の形式に変化が起き始めています。新卒で就職できなかった人材を採用する第2新卒や、4月以外の時期にも採用する通年採用など、企業によって様々な形で人材を採用しています。この変化の背景にはどんな理由があるのでしょうか。今回は、企業の新卒採用の形式が変化してきている背景にあるものを探ってみたいと思います。
1. グローバル化の加速
新卒採用の変化を考えるときに、忘れてはいけない重要なポイントがグローバル化の影響です。企業が国際的な枠組みでビジネスを展開するグローバル化の波はとどまるところを知らず、中小企業であってもその影響を避けることは不可能な状態にまでなっています。
グローバル化が進行すれば、求められる人材の種類も質も変化してくるため、今までのような採用形式では対応できなくなってしまいます。企業はそのギャップを解消するために新たな採用形式に移行し始めており、今までのような画一的な新卒採用から徐々に変化してきているのです。
グローバル化の影響を考えるときに大きく関わってくるのが、海外の大学制度。日本とは異なり9月入学が多い海外の大学を卒業した人材は、日本の4月入社との間に採用ギャップが生まれてしまいます。これは留学した優秀な人材を逃がすことに繋がってしまうため、企業は通年採用や2期採用などの形式を選択して、優秀な人材の採用を目指しているのです。
2. 少子化による新卒人口の減少
少子化の波は大きな影響を与えており、新卒の人口もどんどん減少しています。新卒人口が減少すればそれだけ採用者の確保が厳しくなるため、新たな採用の形で人材を救い上げる必要が出てきたのです。
また、長引く不況により学生の大手志向が強まったため、少ない新卒人口が大手の求人に殺到するという現象が起きてしまいました。従来であれば他の企業はそれ以外の学生を採用すればよかったのですが、人口が減少している時代では、そのようにしたくても数が不足してしまいます。結果として大手の採用をこぼれ落ちたり、最終面接で落ちてしまった人材を待つ必要が生まれ、時期をずらして新卒を採用する仕組みが確立されつつあるのです。
3. 就職活動の変化
学生の質の低下を企業側は嘆きますが、新卒人材の質を調査すると必ずしも低下しているという結果は表れておらず、むしろレベルは上昇しているという結果も見られます。これは学生側の就職に対する意識が改善されたために、質の良い学生を採用するためには企業側の質の向上が求められているということです。黙っていても応募者が来る時代は終わり、企業側も積極的な採用活動を行わなければ優秀な人材を確保できない時代に突入したのです。
優秀な人材を獲得するためには、他企業と同じような採用活動をしていてるだけでは努力不足です。大手を落ちてしまった優秀な人材や、様々な理由で周りと異なったスケジュールで活動している学生を確保するためには、企業側にも異なるアプローチが求められます。採用形式の変化はその一つの表れであり、企業側が多様な学生を採用するために一手段なのです。
新卒採用に関しては昔から色々な議論があり、ある意味では日本企業を象徴したものであったと言えます。しかし、時代が変化している以上、いつまでも同じような採用形式にこだわっていてはこれからの時代に対応した人材を確保することはできません。
企業の採用活動で必ずしも優秀な人材が獲得できる保証がない以上、なるべく多様な就職活動に対応できる採用の枠組みを整える必要があります 。採用形式の変化もその一つの表れであるといえるのではないでしょうか。
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