ビジネスシーンで使用するマーケティング用語には様々なものがありますが、その多くは英語表記であったり省略されていたりして、よく意味がわからないという場合は多々あるかと思います。
ここでは、そんな難しそうに見えるマーケティング用語を解説していきたいと思います。今回は「Cognitive Dissonance」です。
Cognitive Dissonanceの意味
難解なマーケティング文章には、この「Cognitive Dissonance」という言葉をたまに見かけます。これを日本語に訳すと「認知的不協和」となります。認知的不協和とは、元々社会心理学の研究者が名づけたもので心理学用語として用いられていましたが、次第にマーケティング用語としても使われるようになってきました。
認知的不協和とは、自分の中に2つの矛盾した感情がある時に感じる心理的ストレスを軽減するために、自分の認知行動を変化させて自分の行為を正当化する時の心の変化プロセスのことを指します。
皆さんは、自分の経験を正当化しようとしたことはありませんか。分かりやすいのが、タバコの喫煙です。タバコは肺がんになる確率を上げるばかりか、副流煙で近くにいる人達にも害を与えており、良くないものだとは誰もが知っています。しかしそれでも喫煙者がいるのは「みんなも吸っているから」「すぐ死ぬわけじゃないから」といったように自分を正当化する理由を自分で作ってからです。この状態のことを、認知的不協和というのです。
Cognitive Dissonanceの活用
では、認知的不協和とはマーケティングの過程でどのように活用されるのでしょうか。それはずばり、消費者に対して自社のサービスや製品を売り込みたい時です。売り込むときには、ます消費者を、認知的不協和の状態に落とし込まなければいけません。
消費者の中にある常識に対して、敢えて非常識と思われるようなことを言うことによって消費者の中には2つの矛盾したものが生まれます。それがまさに認知的不協和の状態です。そうなると、消費者は自分の中にある矛盾ストレスを解消しようとし、非常識をなんとか理解しようとすることを始めます。
そのタイミングで、自らが与えた非常識を解決するような提案をしてあげることによって、消費者の中にある矛盾が紐解けて消費者の中にある非常識が新しい常識へと変わります。そうすることによって、自社の製品やサービスが良いものであるということになるわけなのです。実務レベルに落とすと、主に営業職のテクニックに使えるもので立派なマーケティング戦略と言えます。
また、広告でもこの認知的不協和は活用されています。テレビなどでおなじCMが何度も何度も繰り返されるのはただの宣伝ではなく、その商品を買った人をもう一度納得させる(正当化させる)効果もあるのです。
「Cognitive Dissonance」(認知的不協和)とはなんとも難しい概念ですが、ビジネスを展開していく上ではとても役に立つ考え方です。ぜひ、参考にしてみてください。
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