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【例文】昇進の挨拶「拝命いたしました」の使い方は? 意味や就任・任命との違いや類語も解説

U-NOTE編集部

2018/10/31(最終更新日:2024/02/23)


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ビジネスパーソンにとっての昇進は、キャリアアップのための重要なポイントです。昇進時には丁寧な挨拶を心掛けて、感謝と意気込みを周囲に伝えていきましょう。

本記事では、昇進の挨拶で使用される「拝命いたしました」について徹底解説。正しい意味や使い方から、昇進の決意表明文の書き方まで幅広くご紹介していきます。

本記事の内容をざっくり説明
  • 「拝命」の意味と使い方
  • 「拝命」と「就任」「任命」の違い
  • 昇進の決意表明文に書くべきポイント

 

昇進の決意表明文で使われる「拝命いたしました」の意味と使い方

拝命(はいめい)いたしました」は、昇進の決意表明文や挨拶状で使用される言葉です。日常的に使う言葉ではないので、詳しい意味をご存じない方も多いのではないでしょうか。

まずは、「拝命」の意味と使い方からご紹介していきます。

 

昇進の決意表明文で使える「拝命いたしました」の意味と読み方

「拝命」は「はいめい」と読み、「任命される」を謙遜表現した言葉です。上司や目上の人から命令もしくは指示された官職や役割について、謹んで引き受けることを指しています。 

「拝命」とは
  • 任される、任命されるの謙遜語
  • 目上の人からの官職や役割の指示を謹んで引き受けること

 

「拝命いたしました」の使い方

前述したように「拝命」は、上司や目上の人からの官職や役割について指示を受けた場合に使用される謙遜表現です。一般的には、昇進や役職への任命を受けた場合に使用されています。

自分をへりくだらせることで相手を敬う謙譲表現は、自分が第三者に任命する場合には使用しません。必ず自分が拝命される側、自分が主語になっている場合に使用しましょう。

拝命」のNG使用例
  • (誤)○○さんを支店長に拝命します
  • (誤)拝命の権限はわたくしにあります
昇進時の「拝命」の使用例
  • 部長職に拝命された
  • このたび、○○ホテルの総支配人を拝命しました

 

「拝命」は謙譲語のため、二重敬語にならないように注意しよう 

「拝命」をさらに丁寧な表現にしようとするあまり、「拝命+承(うけたまわ)る」と使用している人も多いのではないでしょうか。しかし、受ける・聞く・伝え聞く・引き受けるの謙譲語である「承る」を使用してしまった場合は、謙譲語を2度重ねた二重敬語になってしまいます

最近では「二重敬語にそこまで目くじらを立てなくてもいい」と考える人も増えていますが、文法上の誤りであることに変わりはありません。違和感を覚える人もいるので、できる限り避けた方が賢明です。

「拝命」の二重敬語
  • 拝命+承る=拝命承わりました
  • 拝命+いたす=拝命いたしました
    →謙譲語+謙譲語の二重敬語
  • ご(お)+拝命=御拝命
    →謙譲表現でもある接頭語「ご」の使用は、謙譲語+謙譲語の二重敬語
  • 拝命+させていただきます
    →謙譲語+謙譲語の二重敬語

 

知っておきたい「拝命いたしました」の類語・言い換え表現

昇進の挨拶や決意表明文で使用される「拝命いたしました」ですが、類義語としてさまざまなフレーズが挙げられます。次は、「拝命」の類義語や言い換え表現、任命や就任との違いをチェックしていきましょう。

より多くの言葉を知ることは、教養を身に付け、コミュニケーションを深めるきっかけにもなるもの。ぜひ、「拝命」だけでなく類義語についても一緒に確認してくださいね。

 

「拝命」の類語や言い換え表現

昇進時に使用される「拝命」には、同じような意味を持つ類義語があります。シーンに応じて使い分けられるように、類義語の意味や使い方をチェックしていきましょう。

「拝命」の類義語
  • 引き受ける(例:リーダーを引き受ける)
  • 任される(例:書記を任された)
  • 仰せつかる(例:大役を仰せつかる)

 

拝命の類語1.引き受ける

引き受ける」は、相手から要望・命令された事柄について、責任をもって受け持つこと。なにかを依頼された場合に、「お引き受けします」といったように、接頭語をつけて使用します。

使用例
  • 子どもの通う学校でPTA役員を頼まれたので、引き受けることを決めた
  • 可能であれば、お引き受けいただけませんか

 

拝命の類語2.任される

任される」は、「任す」の未然形「任さ」+助動詞「れる」をつなげた言葉です。「任す」には、「自身の権限を第三者に譲って代行してもらう」という意味がありますが、受け身・尊敬・自発・可能の助動詞「れる」をつなげた場合には、上司や目上の人から、任務を依頼された際にも使用できます。

使用例
  • 入社時から憧れていたポジションを、やっと任された
  • いつでも代打を任されるように、補欠でもしっかり準備しておこう

 

拝命の類語3.仰せつかる

仰(おお)せつかる」は、上司や目上の人からの指示や命令をうけることをへりくだって表したフレーズです。謙譲語なので、使用する際には二重敬語にならないように注意しましょう。

使用例
  • 今度のミーテイングで、大役を仰せつかった
  • 大変光栄な役職を仰せつかり、一層気が引き締まる思いです

 

「拝命」と「任命」との違い

「任命」は、「ある官職や職務につくように命令すること」を意味する言葉です。

拝命と似た意味を持つ言葉に思えますが、「任命=する側が用いるべきフレーズ」「拝命=される側が用いるべきフレーズ」と明確な違いがあります。どちらを使用すべきかわからない場合には、文章の主語は誰なのかを考えるようにしましょう。

「拝命」と「任命」の違い
  • 「任命」は、官職やや職務につくように命令すること
  • 「任命」はする側、「拝命」はされる側
「任命」の使用例
  • インターン生の○○さんに、一部の業務を任命した
  • 今年の高知県観光大使任命式には、タレントの○○が登壇する
「拝命」の使用例
  • はじめてプロジェクトリーダーに拝命された
  • 他薦によって、地区会長に拝命された

 

「拝命」と「就任」の違い

役職や新しいポジションに就くことを意味する「就任」も「拝命」と混同しやすい言葉のひとつです。

「拝命」は謙譲語として使われますが、「就任」にはそのような意味はないことに違いがあるといえるでしょう。

 

昇進の決意表明を行う3つのポイント

ご紹介したように、「拝命いたしました」は昇進時の挨拶や決意表明文で用いられるフレーズです。正しい言葉遣いを意識した挨拶で、昇進の挨拶をさらに印象深いものにしましょう。

次は、昇進の決意表明注意したい「言葉遣い」について解説します。状況によっては、「拝命」を使用することが失礼にあたることもあるので要注意です。

 

ポイント1.昇進の決意表明時は「感謝の気持ち」と「謙虚な態度」を示す

昇進の決意表明時には、「感謝の気持ち」と「謙虚な態度」を盛り込むことが重要です。昇進を自分の能力で勝ち取ったものだと捉えるのではなく、上司や同僚の支えがあったからこその結果であると書き記しましょう。加えて、「至らないところもありますが、精いっぱい頑張るのでよろしくお願いします」謙虚に意気込みを伝えましょう。

伝わりやすくまとめるためにも、「前半は感謝の挨拶+後半に意気込み」とするのが良いでしょう。

 

ポイント2.昇進の挨拶は言葉遣いに注意する

せっかく昇進したにもかかわらず、決意表明文や挨拶時に言葉遣いが正しくないのは非常に残念なものです。ときには「本当に能力のある人なのかな?」と疑問を持たれてしまう可能性もあるので注意してください。

社内の人間はもちろん、社外クライアントや顧客からの信頼を得るためにも、昇進の挨拶ではいつも以上に言葉遣いに気を付けましょう。

謙譲表現である「拝命」を使うように、昇進や就任の挨拶時には、常に自分をへりくだって表現することが必要です。謙虚な姿勢を印象付けるためにも、次の「若輩者」「浅学非才」「不束者」を使いこなしていきましょう。

「拝命」の類義語
  • 若輩者(じゃくはいもの)
  • 浅学非才(せんがくひさい)
  • 不束者(ふつつかもの)

 

謙譲語1.若輩者

若輩者(じゃくはいもの)」は、経験が浅く未熟な者や年齢の若いものを指す言葉です。ビジネスシーンでは前者の意味で使用されるのが一般的で、自分のことを「経験が浅い」「未熟者」と謙遜するときに使用されます。

使用例
  • 若輩者のため、今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします
  • 若輩者のふたりではございますが、協力して幸せな家庭を築きます

 

謙譲語2.浅学非才

浅学非才(せんがくひさい)」は、学問が浅い人や才能の乏しい人を指す言葉です。ビジネスシーンでは「自分は無知で無能である」とへりくだったニュアンスで使用され、相手に指導を乞うときに用いられます。向上心や意欲を伝えたいときにも最適なフレーズです。

使用例
  • 浅学非才ではありますが、○○部長のもと精進してまいります
  • 浅学非才の身ではございますが、精いっぱい尽力いたします

 

謙譲語3.不束者

不束者(ふつつかもの)」は無作法、礼儀の行き届かない者を指す言葉です。「未熟であるために、自分のことに精一杯で周囲への配慮できない」というニュアンスで使用されます。

使用例
  • 不束者ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします
  • 不束者のわたくしですが、末永くよろしくお願いします

 

ポイント3.「拝命」と使わないシーンもあるので注意する 

昇進の挨拶状や決意表明文で使用される「拝命」ですが、社外のクライアントや顧客に使用するのはNGです。任命してもらうこと意味する「拝命」を社外の人に使用してしまうと、自分の役職や務める企業を敬っているように捉えられてしまいます。自社の上司を社外の相手に紹介するとき「この方が田中部長です」ではなく、「部長の田中です」と紹介することと同じ考え方だと思えば、わかりやすいのではないでしょうか。

社外の人に昇進や異動を伝えるときには、「異動となりました」「○○職になりました」と表現しましょう。

使用例
  • (誤)この度、プロジェクトリーダーを拝命しました
  • (正)この度、プロジェクトリーダーをつとめます

 

ポイント4.ネガティブな言葉や自画自賛は避ける

決意表明文は、昇進後の自分のイメージを定着させるもの。ネガティブな言葉や自分を褒める言葉は避けて、熱意・意気込み・感謝の気持ちを伝えましょう。

決意表明文に記載すべきでない、NGフレーズ
  • これまで苦労ばかりでした
  • 不安ばかりですが
  • 人一倍頑張ってきた
  • 辛い日々もありましたが

 

昇進の際の挨拶スピーチや「拝命しました」を使用する例文

昇進時の挨拶状や決意表明文は、自分の意気込みや熱意を伝えるうえで非常に重要なもの。今後、ビジネスパーソンとして成長していくためにも、周囲から信頼を得られるような決意表明を行いましょう。

最後に、昇進時の決意表明の挨拶や、表明文を書くときのポイントをご紹介します。

昇進の決意表明文のポイント
  • 「感謝の気持ち」と「謙虚な態度」を盛り込む
  • 決意表明文の前半に感謝の挨拶、後半に意気込みを書き記す
  • あくまで「周囲のおかげで昇進できたのだ」と意識する

 

【例文1】昇進の決意表明文

人事部 〇〇殿

拝啓

いつもお世話になっております。〇〇でございます。
このたびは一方ならぬお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。

入社して○年目にして、〇〇(職種)という大役をおおせつかり、
誠に恐縮ですがありがたい思いでいっぱいです。

今回〇〇に任命いただき、嬉しい反面、その責任の重大さを痛感しております。
微力ではございますが、〇〇部〇〇(役職)として会社が納得のいく実績を上げるべく、業務に邁進していく所存であります。

まだまだ若輩者ですが、会社の発展のために精一杯尽くしてまいります。
今後とも、より一層のご指導・ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

敬具

 

【例文2】上司へ昇進の挨拶をする場合

東京本社 営業部 〇〇部長

お疲れさまです。
来春4月1日より東京本社営業部○○グループ課長を拝命しました、△△(名前)でございます。

入社して以来、福岡支社営業部で法人営業を3年間担当しておりました。
若輩者ではございますが、今後は〇〇部長のもと、一刻も早く東京本社営業部◆◆プロジェクトの発展に貢献できるよう尽力していく所存でございます。
ご指導いただくことも多いかと存じますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

甚だ略儀ではございますが、
まずはメールにてご挨拶申し上げます。

——————————
福岡支社営業部
氏名
——————————

 

【例文3】異動があった場合、異動先の部署への挨拶をする場合

東京本社 営業部のみなさま

来春4月1日付で東京本社営業部のプロジェクトリーダーを拝命し、着任いたしました、〇〇(名前)と申します。
これまでは、福岡支社営業部にて~~~~~の立ち上げに携わってまいりました。
今後は、これまでの経験を活かし、東京本社営業部において●●事業の発展に尽力していく所存でございます。
ご迷惑をおかけすることも多いかと存じますが、ご指導のほどお願い申し上げます。

甚だ略儀ではございますが、まずはメールをもちましてご挨拶申し上げます。

——————————
福岡支社営業部 
氏名
——————————

昇進をした際には信頼を得られる挨拶を行おう

本記事のまとめ
  • 「拝命」は、目上の人から任命された官職や役割を謹んで引き受けることを指す言葉
  • 「任命」はする側、「拝命」はされる側が用いる
  • 昇進の決意表明文には、謙虚さと感謝を盛り込む
  • 「拝命」は、社外のクライアントや顧客に使用しない

昇進の挨拶や決意表明文で使用される「拝命いたしました」。あまり一般的な言葉ではありませんが、ビジネスシーンでは頻出する言葉なので、正しい意味と使い方をしっかり覚えておいてくださいね。

昇進の決意表明文には、これまで感謝の気持ちと謙虚さを盛り込むのが重要です。周囲からの信頼を得るためにも、丁寧な言葉遣いで意気込みと熱意を伝えましょう。

また、本記事で解説したように「拝命」は、社内の上司や同僚に対して使われる言葉です。自社を敬っている表現になるので、社外のクライアントや顧客には使わないように注意しましょう。

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