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音楽業界が活力を再び取り戻すために求められるマーケティング手法

Kazuhiko Tanabe

2014/04/07(最終更新日:2014/04/07)


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by Silvia Viñuales
 音楽業界はマーケティングを駆使して売り上げにつなげる業界の中でも常にトップを走る存在でした。映画やドラマとのタイアップ、カラオケを想定したシングルリリース、イメージ化戦略など単純な曲の魅力以外の部分でもマーケティングが効果的に行われ、一時はCDバブルといわれるほどの絶頂期を築いていました。

 しかし、その絶頂期は遠い昔のことになり、音楽業界は緩やかな縮小傾向に歯止めがかからない状態です。以前とは同じマーケティング手法が通じない現在、いったいどのような方法でマーケティングを行えばよいのでしょうか。今回は、今後の音楽業界に求められるマーケティングの手法について解説していこうと思います。

若年層顧客の掘り起こし

 あまり指摘されることが無いのですが、音楽業界が抱える最大の問題点は顧客の高齢化だと思います。音楽に支出する金額の調査結果によると、音楽にかける金額がもっとも高いのは30代であり、20代と10代の伸び率が低くなっています。

 音楽市場の高齢化のもう一つの例がカラオケランキングです。カラオケでよく歌われる曲の調査結果を見てみると10台ではボーカロイド、20代ではアニメソングが上位を占めており、若年層向けのヒット曲が不在であることが如実に表れています。今後の音楽市場におけるマーケティング戦略では若年層に向けた曲をリリースし、潜在的な顧客の発掘を目指す必要があります。

流通網の改革

 年間CDセールスランキングの結果は嵐とAKB系列によるツートップ体制が如実に表れた結果となっています。この二組に共通するのが「グッズとしてのCDの存在」です。嵐とAKBを購入する顧客は、音楽を聴く手段としてCDを購入するのではなく、握手県や初回限定盤ジャケットといった付加価値に価値を見出して購入する傾向が見られます。

 つまり、現在のCDセールスを支えているのは音楽需要ではなくファン向けのグッズとしての需要である、ということが言えるのです。CDは世界的にも減少傾向にあり、日本だけが唯一CD販売が主流になっているといっても過言ではありません。携帯音楽プレイヤーの使用が当たり前になっている現在、ダウンロード販売にもっと力を入れて流通網を改革していく戦略が求められています。

新人の育成

 CDセールスの減少がもたらしたマイナスの一つが、レコード会社の弱体化です。インディーズレーベルでの流通にデメリットが無くなっている現在、メジャーレーベルから曲をリリースせずにヒット曲をだすアーティストが増加しています。

 アーティストが直接的に曲を管理できるのはいいことなのですが、レコード会社がヒットを出せなければ収益が減少し、新人にかける予算が少なくなってしまいます。リリースする曲も資金の回収を目指した無難な曲ばかりが増え、アーティストの個性を生かした攻めた曲作りが難しくなってきています。

 新人が減れば業界全体の活力が無くなり、市場はどんどん閉じる方向に向かってしまいます。音楽市場の未来を考えた場合、業界の明日を担うような新人の発掘・育成は急務であるといえます。

 音楽市場の衰退の理由は複雑な要因が絡んでおり、一言で説明することは不可能です。市場に再び活力を取り戻すには、新しい顧客の創造が不可欠だと言えるでしょう。音楽業界は熱心なファンをつなぎとめるようなマーケティングだけでなく、新たな顧客を生み出すマーケティングを打ち出していってほしいものです。

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