現代では、事業の差別化が難しいとされています。日本も例外ではなく、100メートルごとにコンビニが立ち並ぶように世の中はモノで溢れています。会社単位もさることながら、事業個々のビジネスモデル構築が必要でしょう。
ビジネスモデル・キャンパス
ビジネスモデルの構築が必要と言いましたが、その際に問題があります。それは、問題の複雑化です。事業1つとっても、規模にもよりますが会計や人材、資材など様々な問題が絡んできます。
ビジネスモデルを作ろうと会議を開いても、その問題点の多さから、個人間の認識不足やコミュニケーションの不備が起こりやすいといえます。そこで、こういった会議の中で、同じ認識を持つためのツールとして登場したのが「ビジネスモデル・キャンパス」です。
ビジネスモデル・キャンバスは、アメリカのアレックス・オスターワルダー氏らが中心となって開発され、GE、インテル、カナダ政府など多くの企業や組織で採用されています。ビジネスモデル・キャンパスの大きな利点は「可視化」です。次の9つの観点から、ビジネスモデルを可視化していきます。
1) 顧客セグメント(CS:Customer Segment)
誰が顧客なのか、どこの市場を狙うのか、顧客が求めているニーズは何か
2) 価値提案(VP:Value Proposition)
顧客に提供している価値は何であるかを明らかにする。
3) チャネル(CH:Channel)
販売ルートやマーケティング上のコンタクトポイントなどを記述し、どのように顧客に価値を提供するかを明確にする
4) 顧客との関係(CR:Customer Relation)
インターネットを介して顧客を関わるのか。フェイス・トウ・フェイスにするのかなど
5) 収益の流れ(RS:Revenue Stream)
いかにして顧客から利益を得るのか
6) リソース(KR:Key Resource)
ヒト、モノ、金のことで、知的財産なども含まれる。
7) 重要な活動(KA:Key Activity)
事業においてコアとなる活動
8) パートナー(KP:Key Partner)
自分たちのリソースや活動だけでは足りないものを補ってくれる相手は誰なのか
9) コスト構造(CS:Cost Structure)
計画実行や達成に必要なコスト
以上の9つの観点から、ビジネスモデルを構築していきます。キャンバスに絵を描くようにビジネスモデルを自由にデザインできるので、ビジネスモデル・キャンバスというとされています。
星野リゾートのビジネスモデル
経営不振の旅館を次々に買収して高級リゾートとして再生させ、再建を果たした星野リゾートに、上記のビジネスモデル・キャンパスを当てはめるとどうなるでしょうか。
1)顧客セグメント(CS:Customer Segment)
外国人観光客。ファミリー層
2)価値提案(VP:Value Proposition)
高い接客サービス。外国人観光客への価値提案
3)チャネル(CH:Channel)
リピーターなどの口コミ。経営再建による報道での宣伝効果
4)顧客との関係(CR:Customer Relation)
外国人観光客。ファミリー層
5)収益の流れ(RS:Revenue Stream)
高価格の宿泊費
6)リソース(KR:Key Resource)
人材、資金、経営ノウハウ
7)重要な活動(KA:Key Activity)
経営不振の旅館の買収と再生
8)パートナー(KP:Key Partner)
ゴールドマンサックス
9)コスト構造(CS:Cost Structure)
旅館運営費。買収費用
このようなビジネスモデル・キャンパスになるでしょう。
ビジネスモデル・キャンパスのもう一つの利点は、何度も訂正・修正できることです。そういった意味で、ビジネスモデルを考えていくことに終わりはありません。会議などで考える際も「もっといい方法がないか」「本当にこの方法しかないのか」といったことを注意して考えると、良い結果に結びつきやすいと思います。
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