日本の社会は契約行為であふれています。最も簡単な、身近なところで言えば日々の買い物です。契約文書こそ取り交わしませんが、ある品物に対してどのくらいの価値がある、という事を店側が表示し、消費者側はそれを納得の上でお金を払い購入します。10円のチロルチョコも同様です。だからこそ、買った商品に欠陥があると「返品」や「交換」という義務が生じるのですね。
仕事においても同様で、大きなプロジェクトから小さな仕事まで、契約書を締結する事が基本です。この時、契約書には記されていない様な軽微な事柄や変更が生じる事が予測される事柄については、「覚書」というもので取り交わすと便利です。
【1】契約書に載せない軽微な事項とは
前述した様に、覚書には契約書に載せる程でもない軽微な事項を覚書にて取り交わす訳ですが、当然覚書にも公的な拘束力が生じます。つまり、覚書に書かれている事は約束事として守らなければならない訳です。
契約書の中で「価格については別紙覚書にて取り交わす事とする」という様な文言が載せられていたとしたら、契約書とは別途価格を記載した覚書を作成するのです。
なぜ覚書での記載かというと、たとえば小売業で言う仕入れ価格等は市場の動向により変更する可能性があります。この場合、毎回契約書を取り交わし直す事は手間以外の何物でもないのです。こういった場合、覚書を上手く利用する事により余計な手間を省く事ができます。ただしもちろん、契約書に価格を入れる事も出来ます。工事請負金額などは、途中で変更があっては困るものですからね。
【2】覚書を使用する他の理由
契約書を締結する前に双方で合意してある事柄や、契約書を締結している過程の中で合意した意見、また、契約書の変更があった場合にその効力がいつからなのか、などを記載する場合もあります。
【2】具体的な書き方
絶対にこれ、という様な決まった書き方はありませんので、一般的な書き方をみていきましょう。
まず、覚書を取り交わす理由を記します。ただしこれは省略する事も出来ますので、その場合は表題を記しましょう。「○○○○についての覚書」という様な感じです。
次に、誰と誰が覚書を取り交わすのかを記します。個人の場合であれば宛名を記す事も出来ますが、会社や法人単位になると、「○○会社と△△会社は○○○○に関して以下の事柄の覚書を締結する」という感じですね。
そして双方が合意する内容を記載します。ここでは、出来るだけ細かく載せておいた方があとで問題が発生した時にその問題が大きくならないので、双方にとってメリットがあります。支払いが生じるのであれば、その支払期限などを記します。
文言は「以上、相違ない事を確認しこの覚書を締結し、双方一部ずつ保管するものとする」という様に締めましょう。もっと複雑にしても良いのですが、細かな形式は会社の方針に従いましょう。最後に、取り交わす双方が署名・捺印を行います。
覚書は、このような書き方をしておけば内容的には網羅されているでしょう。印鑑は、日本独特のしきたりです。国際的にみれば、多くの場合は当事者のサインで済ませていきます。一応今のところ、日本では署名と捺印の両方が習慣となっていますので、双方が行い、さらには2通に割り印を押して保管し合うとベストです。
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