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【例文あり】覚書とは?契約書の内容変更・覚書の内容変更時の書き方と注意点

U-NOTE編集部

2018/11/05(最終更新日:2020/05/14)


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契約書の締結後、納期・追加料金・契約条件などさまざまな要件を変更をすることも多いですよね。契約書の内容を変更するときは「覚書」の作成が必要です。

本記事では、契約書の内容変更時に作成する覚書」について解説。実例をまじえながら覚書の記載内容や注意点をご紹介します。例文を参考に、覚書をスムーズに作成していきましょう。

本記事の内容をざっくり説明
  • 「覚書」の意味や効力
  • 契約内容を変更するときの「覚書」の書き方&テンプレート
  • 「覚書」に変更があった場合の書き方&テンプレート

 

そもそも「覚書(おぼえがき)」とは?

契約書作成の経験がない場合、内容変更時に作成する「覚書」について詳しく知らないビジネスパーソンも多いのではないでしょうか。

まずは、「覚書」の概要から詳しく確認していきましょう。「覚書」の意味や効力、契約書自体との違いについて解説します。

 

覚書の意味と効力

まずは、「覚書」の意味を辞書で調べてみましょう。

【覚書(おぼえがき)】

1.必要な事柄を忘れないように書き留めた書きつけ、メモ
2.思いつくままに書き綴ったもの。自分の評論や論文などを謙遜して、その題名につける
3.外交文書のうち,略式でやりとりされる文書。占領期間中に、日本政府に対して連合国最高司令官が発した指令の一形式

引用:大辞林

一般的覚書とは、必要な事柄について記載したメモのような意味合いで使用されています。ただし、メモであったとしても契約について規定したもの、かつ当事者による合意が明確な場合には実質上契約書と同じ意味や効力をもちます

 

覚書と契約書の違い

「契約書」は文字通り、契約の成立を証明する書面のこと。相手との合意に至った契約についてを書き示したものです。

契約の成立を証明する書面と備忘録のようなメモでは、大きな差があるように感じますよね。しかし、契約書と覚書はどちらも契約の内容を記した文書。契約に関する規定が取り決められ、双方の合意が明確な場合には同等の効力をもっています。

契約書の書き方は、覚書とは異なります。契約書の作成について知りたい方は、下記のページをチェックしてみてくださいね。

ビジネスシーンでの「覚書」と「契約書」
  • 覚書:契約変更点や内容について、書き記した備忘録
  • 契約書:契約成立を証明する書面
  • 覚書も、双方の合意と内容が明記されている場合には効力がある

 

【覚書の書き方】契約書の内容に変更があった場合

予期せぬトラブルを防ぐためにも、契約書の内容に変更や修正があった場合にはすぐに覚書を作成しましょう。

次は、覚書の書き方について詳しくご紹介します。テンプレートもあるので、覚書作成時にはぜひ参考にしてくださいね。

 

STEP1.契約書を確認し、契約変更の合意を得る

契約書に記載された内容に変更を行う場合、まずは契約書の確認から始めましょう。契約書の内容を変更する場合には、当然ですが双方の合意が必要不可欠です。先方に「変更するのは~~で、△△のように変更します」と説明できるように、詳しい契約条件を確認しましょう。

電話や会議中に「△△のように変更しようか」と話題があったとしても、勝手に変更してしまうのは厳禁。相手との考え方に齟齬が生じる可能性も高く、のちのち大きな問題に発展しかねません。契約変更の合意を明確にとったうえで、変更手続きに進んでくださいね。

 

STEP2.覚書を書く

契約書の内容変更について双方の合意が得られた場合には、いよいよ「覚書」の作成に進みます。

ビジネスシーンにおいて覚書を作成する場合には、原則変更される部分や内容のみ簡潔に記載していけば問題ありません。条文の場合も同様に、変更点のみをわかりやすく記載してください。タイトルについても規定はないので「〇〇内容変更契約書」「△△プロジェクトの契約変更書」などでよいでしょう。

「協議の上~~」「書面により~~」といった文言が必要な場合には、記載のうえで契約書の変更を進めてください。

覚書に簡潔に記載すべき事項
  • 料金の変更
  • 契約期間の変更
  • 仕様書の変更
  • 変更後に効力が生じ始める年月日

 

【例文】契約内容に変更があった場合の覚書の書き方

契約書や覚書の作成について、大きな企業であれば法務部が専従で担っていることもしばしば。しかし、中小規模の企業の場合は営業職や事務職の社員自らが契約書を作成するのが一般的です。いつ任されても問題ないように、契約書や覚書の書き方はしっかりマスターしておきましょう。

下記は、契約内容に変更があったときに作成する「覚書」のテンプレートです。例を参考にしながら、覚書の書き方を覚えていきましょう。

 

<「覚書」のテンプレート>

タイトル:○○○契約変更契約書

 

令和○年○月○日付けで、△△(以下「甲」)と□□(以下「乙」)間で締結した○○○○契約書(以下「原契約書」)の一部を次のように変更するよう契約締結する。

(○○料の変更)
第○条 原契約書第○条の○○料に記載されている「金○○,○○○円(うち消費税額及び地方消費税額○,○○○円」を「金○○,○○○円(うち消費税額及び地方消費税額○,○○○円」に改める。

(契約期間の変更)
第○条 原契約書第○条の契約期間「令和○年○月○日まで」を「令和○年○月○日まで」に改める。

(仕様書の変更)
第○条 原契約書第○条の別紙仕様書を別紙仕様書のとおり改める。

(契約の効力発生日)
第○条 この契約の効力は、令和○年○月○日より発生する。

(契約の費用)
第○条 この契約に要する費用は、乙の負担とする。

上記契約の締結を証するため、本変更契約書を作成し、甲乙両者が記名押印の上で各自が一部ずつ保有するものとする。

 

STEP3.署名捺印を必ず行う

先ほどご紹介したテンプレート内にも記載されていますが、契約書や覚書を作成するときに「署名捺印の欄」が必要不可欠です。契約内容について双方で認識に違いはないのかを明確にするためにも、契約内容の確認後には必ず署名捺印しましょう。

契約書や覚書を作成する際には「記名押印の上、各自が覚書を〇通ずつ保有する」旨を記載し、署名捺印する欄を用意しておきましょう。

 

【例】覚書の署名捺印欄

署名捺印欄には決まった書式はありません。下記の例を参考に、覚書の署名捺印欄を作成してみてくださいね。

 

<覚書の署名捺印欄>

令和○年○○月○○日

甲(住所)
株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 【印】

乙(住所)
株式会社□□□□
代表取締役 □□□□ 【印】

 

SETP4.課税文書に該当する覚書には収入印紙を貼る

契約書の変更事項について無事に覚書を作成して署名捺印できた場合は、最後に課税文書に該当する契約書に「収入印紙」を貼付しましょう。変更の内容によっては覚書にも収入印紙を貼るケースがあるので注意してください。

収入印紙を貼付すべきか否かは、変更された内容に重要な事項が含まれているかどうかで判断されます。内容を十分精査したうえで、必要な場合には漏れなく収入印紙を貼付してください。

 

覚書に印紙を貼る場合とは? 課税文書に当てはまる3つの書類

収入印紙を貼付すべき課税文書は、以下の3つに当てはまる書類が対象です。収入印紙を貼るべきか迷った場合には、該当する覚書が対象であるかをチェックしてみましょう。

【収入印紙を貼るべき書類】

1.印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること
2.当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
3.印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと

引用:国税庁
 

作成した覚書が課税文書に該当するのか、変更する契約内容に重要な事項が記載されているか否かで判断しましょう。判断に迷ってしまった場合には国税庁のホームページを見てみるのも一案です。相談窓口に直接問い合わせることも可能なので、ぜひ覚えておいてくださいね。

>>国税庁ホームページ

>>税についての相談窓口

「覚書」作成時のルールや流れ
  • 変更される内容について簡潔に記載する
  • 双方の合意を証明するために、必ず署名捺印を行う
  • タイトルのつけ方には特別な決まりはない
  • 重要な内容が記載されている覚書は課税文書となるため、収入印紙を貼付する

 

【覚書の書き方】覚書の内容に変更があった場合

一度契約内容を変更して「覚書」を作成したにもかかわらず、追加の修正や変更が生じるケースもしばしば。ときに細かな条件面や金額は案件を進めていくなかで明確になることも多く、頻繫な変更が求められるケースも多いのです。

次は、覚書の再変更について解説します。覚書の内容を改めて変更する場合には、下記の手順を参考に進めてください。

 

STEP1.変更に関して双方の合意を得る

契約内容を変更した場合と同様に、覚書の内容を変更する場合にも双方の合意が必要です。一方的な意見で変更してしまうと、大きな損失やトラブルを招く恐れもあるので十分注意してください。

「些細な修正だから個人判断でいいか」「面倒だから双方の担当者同士で話し合って変更しよう」と考えるのは厳禁。社会人の基本となる報(告)・連(絡)・相(談)を意識しながら、双方が納得する変更内容になっているか否か、関係者に確認をとってください。

 

STEP2.変更する覚書を書く

双方の合意が得られた場合は、覚書作成時と同様に変更する覚書を作っていきましょう。

前回締結した覚書については双方が保管しているので、原則変更すべき内容を簡潔に記載するだけで十分です。認識の齟齬を防ぐためにも、念のために「記載している□□の事柄について相違ないことを証明して~~」といったように、双方の同意を明文化しておくようにしましょう。

 

覚書の内容を一部変更する際に記入すべきポイント

下記は、覚書の内容を一部変更する際に記入すべきポイントです。漏れやミスがあった場合には覚書としての効力を失ってしまう可能性もあるので、慎重に書き進めていきましょう。

覚書の内容変更時に記載すべきポイント
  • 変更対象となる覚書
  • 契約を取り交わす双方の会社名
  • 変更する項目と変更後の内容
  • 契約年月日
  • 双方の署名捺印(会社名と代表取締役の氏名)

<覚書の内容変更の記載例>
令和○年○月○日付けで、□□(以下「甲」)と△△(以下「乙」)間で締結した○○○○契約書(以下「原契約書」)の一部を、次のように変更する契約を締結する

 

STEP3.契約内容を変更する期日を記す

契約内容を変更する場合は、必ず効力が発生する日や内容変更があった期日を明記しましょう。なかでも工事請負契約・開発計画・人員の移動を伴うプロジェクトのように、影響が大きい契約や長期間のプロジェクトの場合は、期日の記載が重要な意味をもちます。

「覚書」を変更するときの流れやポイント
  • 些細な変更であっても双方の担当者、上司の合意を得る
  • 双方の合意のうえ、覚書の変更内容を記載した契約書を締結する
  • 変更内容や双方の合意を明文化し、署名捺印を行う
  • 効力が開始する期日や変更された日を記載する

 

口頭での確認だけで終わらせず、覚書を作成しよう

本記事のまとめ
  • 覚書は契約書の変更内容を記載するもので、契約書と似た効力をもつ
  • 覚書作成時、覚書に記載されている内容の変更時には双方の合意が不可欠
  • 覚書に重要な内容が記載されている場合には、収入印紙を貼付する
  • 覚書の変更は口頭やメールで行わず、必ず書面に明記する
  • 覚書の内容を変更する際には、必ず効力が生じる期日を記載する

ビジネスの場では、契約書や覚書の作成が頻繫に行われています。契約内容によっては大きな金額や人員が動くこともあるため、契約内容に変更があった場合にはただちに覚書を作成する必要があることを覚えておきましょう。

また、一度契約を締結したからといって、細かな変更や修正を口頭で行ってしまうのはNG。覚書の内容を変更する際には、双方の合意を得たうえで本記事で、ご紹介した手順を参考に覚書を作成してくださいね。

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