名刺交換はクライアントの第一印象を左右する、重要なポイント。ビジネスパーソンは必ず押さえておきたいビジネスマナーです。
大事な商談の場で失敗しないよう、「名刺を渡すとき」「名刺を受け取るとき」のマナーはしっかりと理解しておきましょう。
本記事で、自分の名刺の渡し方がマナー違反ではないか、今一度チェックしてください。
- 名刺交換前に確認しておきたい2つのポイント
- デキるビジネスパーソンが実践している名刺の渡し方
- 名刺の受け取り方で気をつけること
名刺交換前に確認しておきたい2つのポイント
出典:zozo.jp
スムーズな名刺交換を行なうためには、知識だけではなく「事前の準備」も重要です。
以下では、名刺を渡す前に確認しておきたい2つのポイントをご紹介します。
名刺交換前の確認ポイント1:名刺は汚れていないか
名刺交換前の確認するべきポイントの1つ目は、名刺が汚れていないかチェックすることです。
商談に向かう前に、自分の名刺に折り目や汚れがついていないかを必ず確認するようにしましょう。清潔感に欠ける名刺は、先方に「だらしなさ」や「信用できない印象」を与えてしまいます。
お互いに気持ちよく挨拶をすませるためにも、商談前に必ず名刺の状態を確認する習慣をつけておくことをおすすめします。
名刺交換前の確認ポイント2:名刺入れはビジネスシーンに適しているか
名刺交換前の確認するべきポイントの2つ目は、名刺入れはビジネスシーンに適しているかどうかです。
名刺交換の際、名刺の状態以外で気をつけたいのが「名刺入れ」です。第一印象が重要とされるビジネスシーンでは、落ち着いた色の名刺入れを使うことがおすすめです。
名刺交換の場面に好ましい名刺入れの特徴を以下でご紹介します。
どのような名刺入れを使うべきか悩んでいる人は、これらの要素を考慮して名刺入れを選んでください。
- 自分の名刺と相手の名刺を分けて収納できる
- しっかりマチがある
- ブラック、ネイビー、ブラウンなどのベーシックカラー
- 装飾の少ないフォーマルな形
ポケットや財布から直接名刺を取り出すといったことがないように、必ず名刺入れを用意しましょう。
デキるビジネスパーソンが実践している名刺の渡し方
名刺交換には一連の流れやマナーがあります。
スムーズな名刺交換を行なうためには、事前に最低限の知識を身に着けてく必要があります。
名刺交換前の注意点を押さえた後は、名刺交換の流れや注意点についてチェックしてみましょう。
名刺を渡すまでの流れ
取り出した名刺は胸の位置に差し出し、「株式会社○○、○○部の○○(自分の名前)と申します。本日は、どうぞよろしくお願いします」とお辞儀をします。
挨拶をしたら、しっかりと両手で名刺を渡しましょう。
片手で名刺を渡してしまうようなマナー違反な行動はぞんざいな印象を与える原因となってしまうため注意が必要です。
また、名刺を渡すときは、名刺の正面を相手に向けて差し出すことと、自分の指で名刺の文字を隠さないことを意識してください。
相手から見て自分の名刺が見えるように渡すのが正しいマナーです。
名刺交換は「立場が低いほう」から先に差し出す
名刺を差し出す順番は立場によって変わります。
一般的には、依頼者もしくは訪問者など「立場が低い人」が先に名刺を差し出すのが基本マナーです。
そのため、営業や依頼をするために会社を訪問した場合は、自分から名刺を差し出さないといけません。
相手が先に名刺を渡してきた場合は、「恐縮でございます、頂戴いたします」と言って名刺を受け取り、「申し遅れました、私〇〇株式会社の〜……」といった言葉を添えて自分の名刺を渡してください。
名刺を渡す際は、謙虚な姿勢を示すために「相手から受け取った名刺の高さ」よりも低い位置から名刺を差し出すことを忘れないようにしましょう。
- 感じのよい挨拶を心がける
- 名刺の正面を相手に向け、両手で渡す
- 自分の指で名刺を隠していないか確認する
- 相手よりも低い位置で名刺を差し出す
名刺の同時交換では「片手」になることも
名刺交換をする場では、しばしば名刺を同時交換することもあります。
名刺を同時交換する際は、名刺入れの上に自分の名刺を置き、名刺の正面が相手に向くようにして両手で持ちましょう。
受け渡しの際は自分の名刺を右手で持ち、そのまま相手の左側に差し出します。
相手も同じ動きをするので、相手の名刺は、名刺入れを持っている左手で受け取るとスムーズにいくでしょう。
上司が名刺交換をしている間に人数分の名刺を出しておく
複数人いる場で名刺交換をする際は、役職が上の人から名刺交換をします。目上の人同士が先に名刺交換を行い、若手は一番最後に名刺を渡すのがマナーです。
名刺入れから相手の人数分の名刺を取り出し、自分の順番が回ってくるのを待ちましょう。
順番に名刺を渡す場合や同時に名刺を渡す場合など、場合分けして名刺交換の練習をしてみましょう。
紹介をするときの名刺交換の場合
取引先を上司と一緒に訪問する場合や、取引先が訪問してきた際に上司も同席する場合は、仲介役となって取引先に上司を紹介し、名刺交換を行ってもらうように働きかける必要があります。
自分が仲介役となって人物紹介をしてから名刺交換する際も、名刺交換マナーの原則を守っていれば問題ありません。
以下では、人物紹介後に名刺交換をする際のマナーについて詳しく紹介します。
敬意を払う相手を後に紹介する
自分が仲介役となって人物紹介を行うときに、「取引先(お客様)」「上司」どちらを先に紹介したらいいのかと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
仲介役となって人物紹介を行う場合、敬意を払う相手を「後」に紹介しましょう。
例えばお客様と上司の仲介役となる場合、 あなたにとって敬意を払う相手はお客様です。
つまり上記のケースでは、自分の上司を先にお客様へ紹介し、その後にお客様を紹介します。 自分の上司が複数いる場合は、役職の高い順に紹介しましょう。
【お客様と上司の仲介役をする場合】上司をお客様に紹介するときの注意点
具体的な人物紹介の流れをご紹介します。
お客様と上司の仲介役となる場合、まずは「●●様(お客様の名前)、こちらが当社総務部長の●●でございます」のように、お客様に上司を紹介します。
上司や同僚などの社内の人間を紹介する際は「敬称」をつけないように気をつけてください。お客様から見ると、上司はあくまでも相手側の身内だからです。
「総務部長の●●さんでいらっしゃいます」はNGです。
【お客様と上司の仲介役をする場合】お客様を上司に紹介するときの注意点
お客様を上司に紹介する際は、「部長、こちらがABC株式会社の●●部長です」と紹介しましょう。
お客様の会社名・役職名は省略せず、名前には欠かさずに敬称をつけてください。
お客様を紹介する時、お客様の仕事内容や自社との関係についてプラスアルファの情報があれば、紹介の後に付け加えると丁寧な印象を与えられるはずです。
「●●様には、いつも備品発注の件でお世話になっています」のように詳しく伝えてみましょう。
仲介役になる際は、上司やお客様の名前を間違えないように、前もって確認しておくことをおすすめします。お客様の名前や情報を整理する機会だと思って取り組みましょう。
紹介するお客様が複数人いる場合も「役職順」に紹介する
お客様が複数人いる場合、名刺交換の原則通りに相手の社内で役職の高い方から紹介しましょう。
身内の人間がいない状況で、他社の人同士の仲介役となる場合は、仲介をお願いしてきた人、もしくは自分と近い立場にいる人を先に紹介しましょう。
- まず、自分側の上司を役職が高い順に紹介する
- お客様側が複数人いる場合は、役職の高い順から紹介する
- 他社の人同士の仲介役をする際は、仲介をお願いした人から紹介する
名刺の受け取り方で気をつけることは?
名刺の受け取り方にもポイントがあります。
以下でご紹介するポイントを気をつけてください。
名刺は両手で受け取り、商談中はしまわない
相手から名刺を差し出されたら、「頂戴いたします」と言いながら、両手で受け取りましょう。
名前の読み方がわからない場合、その場で必ず名前を確認してください。商談中に名前が呼べないと話がスムーズにできないからです。
「失礼ですが、なんとお読みすればよろしいでしょうか」や「お名前の読み方をお聞きしてもよろしいでしょうか」のように、丁寧に聞きましょう。
相手の名字が珍しく、覚えにくいと思っても名刺にメモ書きするのはマナー違反です。相手の名前の読み方を書きたい場合は、相手に見られない紙やメモ帳に書きましょう。
また、受け取った名刺は名刺入れの上に乗せて、自分から見て左側に置いてください。複数人と名刺交換をした場合は、役職が最も上の人の名刺を名刺入れの上に乗せます。
その他の人の名刺は、テーブルの上に座席順に並べて置くようにしましょう。名刺をしまわずに置いておくことで、商談中に相手の名前を忘れてしまってもすぐに確認できます。
テーブルに名刺を置く際は、テーブルにあるコップの水滴やペンなどで汚れないように気をつけてください。
受け取った名刺をしまうタイミングは相手に合わせる
受け取った名刺をしまうタイミングは、目上の人や先方のタイミングに合わせましょう。
受け取った名刺は会社情報や個人情報が詰まっているため、紛失しないようしっかりと管理することを心がけてください。
- 両手で丁寧に受け取る
- 相手の名刺をすぐにしまわず、名刺入れの上に乗せ、自分から見て左側に置く
- 名刺をしまうタイミングは目上の人や先方のタイミングで
名刺を持っていないときは、どう対応する?
商談の場に名刺を忘れることは、ビジネスパーソンとしてあってはならないことです。
しかし、ミスに対して柔軟かつ誠実な対応を行なうことも、ビジネスをする上で求められるスキルの一つです。
以下では、「名刺交換の場に名刺を忘れてしまったときの対処法」を紹介します。
名刺を忘れてしまった・切らしてしまった場合
名刺を忘れた、もしくは名刺を切らせたまま名刺交換の場に伺ってしまった際は、「申し訳ございません。あいにく名刺を切らしておりまして……」と、名刺交換の冒頭で謝罪をしましょう。
相手の名刺を受け取った後は、商談に支障が出ないよう「自身の社名」「部署名」「氏名」を口頭で告げることが重要です。
どうしても相手にメールアドレスや電話番号を伝えなければいけないときもあるでしょう。口頭で言うとわかりにくい情報を伝える際は、メモ用紙に書いて相手に渡すことをおすすめします。
帰社後に名刺を郵送したり、名刺アプリを活用したりと、あらゆる手段を使って自分の情報を相手に伝えてください。
名刺を支給されていない場合
ほとんどの会社は、対外的な仕事をする従業員に対して名刺を支給するでしょう。
しかし、新入社員や派遣社員は、会社から名刺を支給されないまま、社外の人と接触することもあるのではないでしょうか。
名刺を支給されていない場合は、名刺を持っていないことを相手に伝えて謝罪し、自己紹介へと移りましょう。
ただ、名刺を持っていない事態はあまり好ましくありません。
対外的な仕事を与えられたら、その段階で会社に名刺の支給を求めることを忘れないでください。大半の会社は名刺を用意してくれるはずです。
名刺が支給されていない場合、名刺交換の際に「後日、改めましてお持ちいたします」と告げるのが無難な対応です。
次回のアポイント時に「先日は大変失礼いたしました」と名刺を渡せば、前回の印象を多少なりとも払拭できます。
こんなときどうする? 名刺交換に関する悩みQ&A
最後に、若手ビジネスパーソンが疑問を抱きやすいポイントをQ&A形式でまとめてご紹介します。
受付で受け取った名刺はどうするべき? 立席パーティーでの名刺交換の作法は?など、会社の研修では教えてもらえない細かなポイントを押さえていきましょう。
Q1:受付を担当したときに受け取った名刺はどうすればいい?
専属の受付がいない企業の若手ビジネスパーソンであれば、受付を担当する機会もあるのではないでしょうか。
受付を担当する際、対応に困るのが「飛び込み営業」です。担当者の呼び出しや名刺交換を求められることもしばしばあります。
自社が一切の飛び込み営業を断る企業である場合、「担当者はただいま不在でして……」「あいにく名刺を切らしております」などと伝えて、向こうの名刺と資料を渡してもらいましょう。
担当者に「処分してもいいでしょうか」と伺いを立て、不要であれば処分して問題ありません。もらった名刺は、相手の個人情報を守るためにも然るべき処分の仕方をしてください。
名刺の取扱いが決まっている企業であれば、そのルールに従って対処しましょう。
Q2:立食パーティーなどで「立ったまま」名刺交換をするときはどうする?
名刺交換をするのは、打ち合わせや商談のときだけに限りません。社会人ともなれば、交流会や勉強会など、複数人と一斉に知り合う場に行く機会も増えます。
複数人と一斉に知り合うような場で名刺交換をする場合、ほとんどが「立ったまま」行われます。
「立ったまま」の名刺交換であっても、名刺交換の手順は基本的には変わりません。名刺入れの上に相手の名刺を置いたまま歓談し、区切りいいタイミングで名刺をしまえばOKです。
Q3:片手で名刺交換/名刺を同時交換するシーンってどんなとき?
名刺交換のやり方について説明してきた中で「名刺を同時交換する場合」についてご紹介しました。
実際に名刺を同時交換するのはどんなときなのかをご紹介します。
名刺を同時交換するシーンは、上記で紹介した立食パーティーや勉強会などで多く行われます。
名刺を片手で交換/同時交換するのは、かっちりとしたビジネスシーンよりも、カジュアルな交流シーンに多いことを覚えておきましょう。
Q4:人と差をつける「名刺交換のテクニック」は?
名刺交換の基本を押さえたら、次は他のビジネスパーソンと差をつける名刺交換のテクニックをご紹介します。
差をつけるポイントは「名刺交換後の一言」です。
ぜひ以下のようなワンフレーズを使って、担当者との距離感を縮めてください。
- 珍しいお名前ですね!
- どちらのご出身ですか?
- 素敵なお名前ですね
- 何かお名前(もしくは社名)の由来があるのですか?
- 会社のロゴが素敵ですね
- 〇〇(地名)にも支社があるのですね
- 〇〇(勤務地)というと、やはりランチなど充実していますか?
Q5:名刺を複数枚持つとき、どんな持ち方をするのが正しい?
複数人と名刺交換をする場合に困るのが「名刺の持ち方」でしょう。
複数人との名刺交換をする場合、人数分(数える暇がない場合はやや多めに)の名刺を取り出しておいてください。
名刺入れの下で、自分の名前を相手向きにした名刺を指で挟んでおけば準備完了です。
名刺交換後、受け取った名刺は「名刺入れとカバーの間」に挟むといいでしょう。名刺入れとカバーの間に挟むことで、次の人ともスムーズに名刺交換できます。
Q6:名刺交換のタイミングを逃してしまったときはどうする?
大人数での会議や交流会などのイベントなどでは、名刺交換のタイミングを逃してしまうこともあります。
楽しく会話をしている最中に、話の内容を中断させてまで名刺交換をするのはNGです。
会話の途切れたタイミングや別の人が挨拶しに来たタイミングで、「申し遅れましたが」「遅くなりましたが」と切り出して、自分から名刺を渡しましょう。
名刺交換の基本マナーを把握しておこう
- 名刺を渡す前に、名刺が汚れていないかチェックする
- 名刺交換をする際は、立場が低い人から名刺を渡す
- 相手よりも低い位置で名刺を渡す
名刺交換のさまざまなマナーについてご紹介しました。たくさんのマナーがある中で、大切なことは、「失礼のないように対応すること」です。
名刺交換に慣れてない新人ビジネスパーソンは、同僚や上司と名刺交換を練習してみましょう。
名刺交換におけるマナーをしっかりと押さえ、ビジネスパーソンとしての正しい振る舞いを身につけてください。
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