企業の財務状況を判断する目安として、経営指標の値を見るという方法があります。経営指標は業種や規模などによって異なりますが、同業種、総規模の会社であれば他社と比べた自社の財務状況の良し悪しなどを、ある程度把握することができるのです。
また、企業が新しく取引の開始を考えている、あるいは個人でも転職などを考えている場合には、その判断材料の1つにもなります。ここでは代表的な経営指標を使って、その目安となる平均値などを見ていこうと思います。なお、平均値は財務省の法人企業統計の平成24年度の数値(金融・保険業を除く)です。
1. 収益性
売上高経常利益率(経常利益÷売上高×100)
売上高経常利益率は、経常利益の売上高に対する割合を見る目安となる経営指標。この率が高いほど収益が出ていると言えます。全産業で見ると、平均は3.5%程度。比較的高いのは情報・通信業です。特に設備投資が少なく、ソフトウェア販売などを行っているIT企業などは、10%以上になることもあります。
2. 効率性
売掛債権回転率(売上高÷(受取手形+売掛金))
売掛債権回転率は、売上のうち、売掛債権がどの程度残っているかの目安となる経営指標です。売上債権とは、売上があってもまだ現金化できていない債権のこと。この回転率が高いほどすぐに売上を回収できていることになり、資金繰りが楽になります。全産業で見ると、平均は6.5回程度です。
比較的高いのは飲食や宿泊業などのBtoCの業種。店舗販売などはその場で料金を支払ってもらえるためです。これに対して、BtoBの業種で、掛けによる販売が多い業種は低くなる傾向にあります。
棚卸資産回転率(売上高÷棚卸資産)
棚卸資産回転率は、売上のうち、棚卸資産がどの程度残っているか目安となる経営指標です。棚卸資産とは、いわゆる在庫のこと。この回転率が高いほど在庫がすぐに売れているということになり、効率よく生産・販売できているということになります。全産業で見ると、平均は13回程度。不動産業などは、工事開始から引き渡しまでの期間が長いため、低くなる傾向にあります。
3. 安全性
流動比率(流動資産÷流動負債)
流動比率は、流動資産の流動負債に対する割合を見る目安となる経営指標。流動資産とは、1年以内に現金化可能な資産で、流動負債は1年以内に返済しなければならない負債です。よって、原則としては100%以下の場合は資金繰りが厳しいと言えます。全産業で見ると、平均は130%程度。飲食や宿泊業などのBtoCの業種は売上がすぐに現金化されるので、低くても比較的問題ないとされています。
自己資本比率(純資産÷総資本)
自己資本比率は、純資産の総資本に対する割合をみる目安となる経営指標。この率が高いほど、借入に頼らない経営ができていると言えます。全産業で見ると、平均は37%程度です。一般に、資本が充実している大企業のほうが高く、中小企業は低くなっています。
以上、企業の財務状況を判断する目安となる経営指標の平均値と算出方法を紹介してきました。企業の財務状況の良し悪しを判断する平均値の目安と算出方法を紹介してきました。企業の財務状況を分析したいという人は、ここで紹介した知識を上手く活用すると良いかもしれません。
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