経営を「見える化」させることは、企業にとって非常に有効であり、大事なことであると言えます。現状が漠然としている状態では、次に何を行えばよいのか、そしてそれが正しいかどうかが分からないからです。
しかし、様々な業務が混在する企業経営において、この「見える化」というのは非常に難しい問題であるとも言えます。業務がある個人や組織が単独で行うものとは限らず、個人や部署単位では限界があるということも多いためです。ここでは、KPIという考え方を使って経営を「見える化」させる方法を考えてみたいと思います。
「見える化」とは何かを整理する
そもそも、「見える化」とは何でしょうか。一般的には数値化されること、という認識が強いと思います。もちろん数値化も見える化の一つです。また、規定やマニュアルを作成し、必ずその規定及びマニュアル通りに作業をするということも「見える化」です。要するに、「ある作業を行う際の指標があり、その進捗がわかること」が「見える化」であると言えます。
進捗を図るための指標がKPIである
KPIとは重要業績評価指標と訳され、ある目標に対して、現時点でその目標がどの程度の達成されているかという進捗を図ることのできる指標です。
例えば、現在作っている自動車を軽量化し、かつ燃費も向上させたいと考える企業があったとします。まず自動車を軽量化するためには、設計、部品、製造工程の簡素化など、様々な方法が考えられます。そして燃費の向上に関しても同様です。そしてこれらの要素は、各部門にまたがっており、それぞれが軽量化と燃費向上に向けた努力をしなければ、目標とする車は作ることができません。
この場合、目標を達成するために、設計部門は「設計を一から見直すために、新しい設計案を10通り作成し、それぞれの軽量効果を図る」、部品部門は「部品供給業者を軽量化に適した業者に適した業者に絞り、業者数を50%削減して品質を確保する」といった指標を立てます。これが現場レベルでのKPIです。そして、これらがどの程度進んでいるかをモニターすることにより、目標の達成具合が「見える化」されていくのです。
KPIを管理する
そしてさらに重要なのは、これらの管理です。各部署でKPIを設定し、実行したとしても、その進捗がばらばらであれば部署間での不公平感が生まれ、それらのKPIには何の意味もなくなっていきます。
そして、結局は目標が達成されるかどうかも分からなくなってしまいます。よって、それらのKPIは管理部署や経営層などによって総合的に管理され、進捗を合わせていく必要があります。かつ、それらのKPIが本当に妥当なものかどうかも判断できなくてはいけません。
そのためには、各部門の専門知識を持ち、かつ決定権を持つ管理者層の横断的な組織が必要になってくるでしょう。この横断的な組織によって、初めて経営レベルでの「見える化」に繋がると言えるのです。
KPIという考え方は、有効に活用すれば現場から経営レベルまで、すべての段階で目標に対する進捗を「見える化」することが可能です。また、この概念が全社的に浸透すると、円滑に柔軟な組織作りを行うことも可能となります。
まずは現場レベルでのKPIの設定を恒常化し、その上で経営レベルでの「見える化」に役立てる。これが経営を「見える化」させるためのKPIの使い方と言えるでしょう。
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