スタートアップの経営者をやっていると、起業したい人やスタートアップのビジネスに興味がある人にお会いする機会が多いです。私は経営者としてもビジネスマンとしても駆け出しですので、偉そうに人にアドバイスする立場ではないのですが、日本は起業する人が少なすぎるという意識は持っていますので、聞かれたことには自分なりにきちんと答えたいと思っています。
しかし、ある質問をされると一気にその方と話そうという気持ちが冷めてしまいます。それはマネタイズはどうするの?という質問です。では、なぜこの質問はスタートアップの経営者を冷めさせるのか。少し考えてみましたのでまとめました。
1.マネタイズを考えるフェーズだと思っていない
数年前はインターネットの領域で優れたプロダクトといえば、サービスとビジネスモデルの双方が優れ、かつそれらがうまく噛み合ってお互いを加速させるようなものでした。
しかし、この数年は必ずしもそうでなくても良いと私は思っています。というのはサービスが大きくなったとき、足元の売上を回すのであれば広告で十分だからです。
これまでインターネットサービスのマネタイズ手段としての広告は各サービスの広告のインプレッションがボトルネックでした。
しかし、近年はスマートフォンの普及などにより、ユーザーがインターネットに触れている時間、頻度が爆発的に多くなっています。つまり、より多くのユーザーを獲得することに対するハードルが下がったということでもあります。
例えば日本のソーシャルメディア系サービスでいえば、先駆けとなったmixiはざっくり2000万人、その後のGREEか3000万人、LINEが5000万人ですから、トップサービスの天井も上がっていますし、facebook、twitter、クックパッド、ニコニコ動画などを考えると1000万ユーザークラスのサービスが増えていることからもイメージしやすいのではないでしょうか?
そして、今走り始めた起業家はこのクラスないしもっと上を目指しているわけです。ユーザー30万いればいいやという人は私は会ったことがありません。
クックパッドを例に上げると50億ほどの売上のうち、4分の1が広告の売上ですから、10億強を広告のみで売り上げていることになります。上場の一つの基準が売上10億、利益3億などと言われますので、ほぼ広告のみで上場まで持って行き、上場で調達した資金をもとに裏で走らせていたマネタイズに振り切るという戦略もが成り立たないわけではありません。いいかどうかは置いておいて。
ということで、さもインターネット領域のスタートアップはマネタイズ戦略が重要かのように問われると、感覚のズレを感じてしまうのです。
2.サービスのことしか考えたくない
広告を一旦のマネタイズにするメリットはその性質にあります。広告は一般にインプレッションが多ければ多いほど売上が上がります。広告だらけのページを作ったりしない限り、インプレッションが多いということは、多くのユーザーがたくさんサービスに触れているということです。
これはサービスの成長とベクトルが一致します。つまりサービスをとにかく良くすることに集中できるわけです。
逆にこのサービスからECへつなげますとか、コンテンツをtoB向けに売りますとかそういったマネタイズは、サービスの性質を枠にはめたり変えてしまったりすることがあります。
前者であればユーザー導線のゴールがそこになるわけですから、サービスの構造を変えかねないわけですし、後者であればコンテンツの方向性や生産方法が変わります。そしてそれはユーザーにとっていい変化とは限らないわけです。
インターネットサービスはたくさん使われてナンボ。たくさん使われることは大きなマネタイズにもつながります。中途半端なマネタイズを考えるくらいなら、サービスを伸ばすことを四六時中考えていたいというのが本音です。
3.わからないということが分かっている
これはプロダクトを立ち上げたことのある人なら分かって頂けるのではないかと思いますが、はじめの段階で考えたユーザーへの価値や想定している未来というのはほぼ、役に立たないと言えます。というのはプロダクトを走らせてはじめて発見することが多すぎるからです。そのプロダクトに新規性が高いならなおさら。
ニーズが最も高いと思っていた部分が全く使われなかったり、想定より人が集まらなかったり、全く意識してなかった部分からトラフィックが流入してきたり。毎日が発見と失望の繰り返しです。
サービスのマネタイズというのは、そのサービスが最も価値を生み出している部分を利用してするのが定石です。例えばそもそも誰も利用していない機能を利用するのに課金しても、さらにその昨日の利用者が減るだけです。
ユーザーがどのような価値を提供するのかということはサービスのビジョンに密接に関わる話なのでぶらすべきではありませんが、どういったアプローチでそれを届け、実感してもらうのかということに関しては本当に何が正しいのか読めないということがほとんどだと思います。
ですから、一言でいうと具体的かつ最適なマネタイズポイントなど分からない、というかわかっていたら苦労しないです。
ニーズが最も高いと思っていた部分が全く使われなかったり、想定より人が集まらなかったり、全く意識してなかった部分からトラフィックが流入してきたり。毎日が発見と失望の繰り返しです。
サービスのマネタイズというのは、そのサービスが最も価値を生み出している部分を利用してするのが定石です。例えばそもそも誰も利用していない機能を利用するのに課金しても、さらにその昨日の利用者が減るだけです。
ユーザーがどのような価値を提供するのかということはサービスのビジョンに密接に関わる話なのでぶらすべきではありませんが、どういったアプローチでそれを届け、実感してもらうのかということに関しては本当に何が正しいのか読めないということがほとんどだと思います。
ですから、一言でいうと具体的かつ最適なマネタイズポイントなど分からない、というかわかっていたら苦労しないです。
もちろんスタートアップの経営者がマネタイズを考えていないわけではありません。こういった価値提供に対して、こうした課金モデルは想定できる。ということは常々考えています。
しかし、それを具体的に話してくれと言われてもできないですし、する必要がないと感じてしまいます。
ここまでお話したことはスタートアップがマネタイズを考える必要がないということではありません。マネタイズを全く考えない起業家はそれはそれでどうなの?とは思います。
ここまでお話したことはスタートアップがマネタイズを考える必要がないということではありません。マネタイズを全く考えない起業家はそれはそれでどうなの?とは思います。
しかし、サービスをより良くすることがスタートアップがフォーカスすべきポイントであることは間違いありません。サービスが大きくならなければビジネスは大きくならないのですから。
スタートアップの経営者にマネタイズはどうするのですか?と聞くことは、エンジニアにパソコンの使い方を教えて!と言っているのに近いものがあります。できれば、サービスの伸ばし方とか、大変だったこととか、信念とかその辺りを聞いてくれると嬉しいです。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう