人材の配置において、適材適所という言葉がありますが、例えば「たたき上げの営業マンを営業部長に配する」ということは適材適所と言えるのでしょうか。
この場合、確かに適材ですが戦略的な事業展開を考えると「適所」であるとは限りません。では、どのように配置すればいいのでしょうか?今回は、そうした組織における人材配置のポイントを紹介していきます。
1.経験のみで「適材」を考えない
わかりやすいように、部長職の人材投与を例に、話を進めていきます。前提として考えておくべきなのは、そのセクションの豊富な経験者がそのリーダーになることが、必ずしも「適材適所」ではないということ。最初に触れたとおり、「たたき上げの営業マン」が必ずしもその部長職に最適な人材といえないケースが、現実には少なくないのです。
また、「社交性があり話し上手だから」という理由でクレーム処理の責任者に人材を登用しても、それがうまく機能するとは限りません。考慮しなければならないのは、特に管理職については、より深い意味の「適材」を配置すること。ここに戦略的な人材配置のポイントがあります。
2.責任者は「俯瞰できる人材」を置く
現場のリーダーとなる部長職に共通する「適材」は、大きな目をもって全体を俯瞰できる人、ということになるでしょう。先ほどの例で話すなら、必ずしも営業畑一筋でたたき上げてきた人ではない、むしろ「畑違い」の人材の方が、より高い成果を上げることが実際には大変多いのです。
つまり、俯瞰力さえあれば、どんなセクションでリーダーになっても、その力を発揮出来るということ。一見、適材適所に見えなくても、その人材の本質を見抜いていれば、イレギュラーで、しかし実際に最大の効果を上げる人材配置ができるものなのです。
3.戦略的な人材配置〜責任者の補佐に2人の正反対の人材〜
俯瞰能力に優れた人を部長職に登用したとして、しかし、それだけでは戦略的な人材配置とはいえません。その下、もしくはその斜め下に、2人の違った人材を配置すると、適切な展開が望めるはずです。それは「攻める人材」と「守る人材」。
先ほどの「たたき上げの営業マン」のような人材は、ここに配置するのです。同じセクションで経験を積んできた人にも、オフェンスに強い人と、ディフェンスに強い人がいるでしょう。その2つのタイプを、ちょうど雛人形の「右大臣、左大臣」のように配置します。おそらく2人の意見がぶつかることは少なくないでしょう。
しかし、その緊張感がセクション内のモチベーションを上げ、それを俯瞰能力に優れた責任者が適切に対応することによってチームもまとまり、結果として業績アップにつながるのです。
以上が、組織において人材を適切に配置するポイントです。単に「彼は部内の人望が厚いから」というだけの理由で配置するのは適材適所とは言えません。
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