企業が成長にするにあたって、本業が着実に成長することが最も望ましいものだと思います。しかし、株主は社長だけという企業はそうそうありません。株主や債権者といったステークホルダーからの拙速な利益創出等を求められ、本業以外の多角化を余儀なくされるケースがあるのです。もちろん自社の発展のために前向きな多角化もあるかと思いますが、企業がそうした多角化経営を展開する中でどのように意思決定すべきなのでしょうか。
コア事業を明確にさせる
多角化経営を進める中で、すべての事業がコア事業であるというのは無理があります。全体経営における比重については事業セグメントである程度区切られていると思いますが。コア、サブコア、ノンコア事業といった分類を明確にした上で、それを各事業部ないしは子会社・関連会社に知らせておく必要があります。
企業が創出した剰余金、また間接・直接金融問わず調達した資金も無限にあるわけではありません。投資機会は有限でありすべての事業に等しく与えることは不可能です。そのため、特に投資意思決定を行う際にはその基準をある程度明確にしておくべきです。それぞれの分類における年間の予算配分を決定すること、新たに参入した事業をどの分類に加えるかいうこと、分類のなかで異動はないかということなどを年初に決定する必要があります。
その上で最も高いコア事業(本業)に従って経営方針を打ち出すわけですが、ノンコアと位置づけられる事業部等に属する社員はどうしても後ろ向きの気分になりがちです。経営の意思決定の上では明確にしながらも社員へ共有する際の表現の仕方については細心の注意を払うべきでしょう。
多角化経営を進めるうえでの人選
多角化経営を進める上で、自社の部門が独立してスピンオフするケースだけではなく、第三者からの買収することでグループに参画する企業もあるでしょう。特にそうした企業群には旧経営陣が陣取っており、本体との経営意思の共有が困難な場合があります。
そうした人間を排除した場合、その事業に支障をきたすことがあり、子会社との利害関係が対立するような意思決定をする際には調整に多くの時間が費やされることは稀ではありません。そのため、新規にグループ参入する企業の意思決定をする人間と財務関連の責任者はすべて本部からの派遣することが大切になってきます。一定の強制力を盛った人事のやり方は軋轢を生む可能性がありますが、こうすることで迅速な意思決定はクリアされるでしょう。
多角化経営においてはすればするだけ本社の意思決定における軋轢が生じがちです。そのため最初の入り口でどこまで排除できるように設計するかが経営のポイントでしょう。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう