ソニーは2014年3月期連結決算の見通しが1100億円の赤字に下方修正し、2期ぶりに赤字転落となりました。すでに何度かの不振部門のリストラを敢行していますが、それでも苦境に立たされており、先日も「バイオ(VAIO)」といった製品を販売していたパソコン事業からの撤退、テレビ事業での大規模なリストラ策を発表しています。 一体なぜ、ソニーは今、苦境に立たされているのでしょうか。それまでの経緯を踏まえて今後の経営方針を考えていきたいと思います。
1. 過去の成功体験と維持・転換の失敗
ソニーは家電製品や電子機械で常に新しい製品を生み出して、多くのヒット商品を世の中に輩出してきましたが、近年では主力となっていたテレビ部門において海外の企業によるテレビの低価格路線によって、高値である日本のテレビ製品は売れなくなってしまっています。それが大きな原因となり長年の赤字が続いているのです。また、パソコン部門でもスマートフォンやタブレット端末の普及により縮小してしまったため、大幅な赤字計上をしてしまっています。
これらの部門が赤字になってしまったのは、既存の成功体験にとらわれてしまって、経営の方向性をうまく転換できなかったことに由来することもあるでしょう。特にテレビ部門では長い間の不振を考えると、転換ができたにもかかわらずそうしなかったことが原因とも言えます。 さらに、iPadなどのような高くても買ってもらえるような本当に魅力のある新商品を打ち出せなかったということも失敗としてあげられるでしょう。
2. これからのソニーの方針と参考にすべき点
今後の経営方針としては、すでにテレビ事業の縮小やパソコン事業からの撤退など赤字が続いている事業の縮小にみられるように、できる限り赤字の縮小、黒字化への転換を図ろうとしているのが分かります。それと同時に、金融部門や映画・音楽ビジネスなどといった既存の部門でも展望のある所に積極的に投資を集中させています。ここから、ソニーの強みである技術や商品の開発によって、さらなる発展をさせるという方針転換を図っていると見られます。
他の同種企業に後れを取っている現状でありますから、この方針に沿って事業の選択と集中投資の対象を決めていき、できる限りすばやく企業の経営を立て直すのかが今後のカギとなるでしょう。
現状のソニーの経営状況と現状打破のための経営戦略は、同じ多角化経営を進めている企業や、これから多角化経営を始めようとする企業にとって参考となるのではないだろうと思います。
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