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経営戦略の重要性を垣間見ることができるノキアの戦略事例

Kazuhiko Tanabe

2014/03/25(最終更新日:2014/03/25)


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 ノキアはフィンランドに本社を置く電子機器通信メーカーであり、まだあまり日本ではなじみのないメーカーです。かつて、携帯電話のシェアは世界でNo.1の地位についていました。

 しかし、現在ではiPhoneなどの出現によりその地位から凋落し、株価も低迷して2013年には20年近く経営してきた中で、はじめて配当が無配になってしまいました。何故そうなったのかということと、今後の戦略について考察していこうと思います。

No.1の地位から凋落した理由

 ノキアには10年ほど前から、すでにソフト面での開発が弱いということがわかっており、このことはオリラ前会長がインタビューで明言しています。その部分を補うために、ノキア社は携帯向け基本ソフト(OS)開発をしている英シンビアンなどの買収や米グーグルのOS「Android」を搭載するなど、ソフト面の強化に乗り出しましたが、その他の携帯会社に押される形となりました。

 この一連のソフト強化の中で、独自のOSであった「シンビアン」を切り捨てて、ソフト開発を強化しようとしました。OSのさらなる強化で独自路線を行くべきだったと言い切ることはできませんが、米インテルと共同開発をしていた「ミーゴ」の取りやめなど、弱点であったソフト面の強化戦略に一貫性が無く、開発・対応の遅れがあったのではないかと思われます。結果として、弱点であったソフト開発の失敗がノキアの経営に大きな打撃を与えたのは事実です。

今後の展望

 この状況の打開のためにノキア社は2012年に従業員の5分の1の削減をして、経費の削減を実行したことや、2011年にマイクロソフトと提携してWindows Phoneプラットフォームをモバイル戦略の中心とし、「Lumia」シリーズを販売するなどの経営戦略の転換を図ってはいるのですが、その効果は芳しくはないようです。価格帯やデザイン、技術面どれをみても既存のスマートフォンとは大きな差はなく、その他にも低価格帯の携帯電話を販売の主力とはしていますが、サムスンやAppleを抜くことはできそうにないというのが現状です。

 また、その他にも「LINE」を展開するNHN Japanとの戦略的提携により、Nokia OSなどを搭載するフィーチャーフォンにもLINEを提供するなど様々な事業展開は図っているようです。この現状を打破するためには、ノキア社独自のデザインや品質を持ったスマートフォン戦略を構築し、弱点であったソフト面の強化を他社の協力や買収によって、克服することで状況を打開することをしていくことになるでしょう。独自のノウハウと、他社の力を借りることで、携帯電話の市場シェアを取り戻す戦略が期待されます。

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