プロジェクトを始めるにあたって、プロジェクトメンバーの意思疎通や内容理解を深めるために欠かせないキックオフミーティング。
また、キックオフミーティングとは、発注者と受注者が仕事を始める前に初めて顔を合わせて行うミーティングでもある。
今回はプロジェクト成功の鍵でもあるキックオフミーティングの資料作成方法、ミーティングの進め方について解説していきたい。
オリエンとは違う?キックオフミーティングとは
そもそもキックオフミーティングの意味を理解している人はどれだけいるだろうか?
似たような言葉として、「オリエン」と勘違いすることも多いだろう。
キックオフミーティングについて正しく理解するためにも、まずは「キックオフミーティング」と「オリエンテーション」の違いについてチェックしていきたい。
「キックオフミーティング」とは?
キックオフミーティングは、サッカーの試合開始時に使われる「キックオフ」と「ミーティング」を合わせた言葉。
キックオフミーティングとは、プロジェクトを実際に始動していく際、プロジェクトメンバーと内容の共有をするために開かれるミーティングのことである。
また、会社の新年度一発目のミーティングや初回ミーティングもキックオフミーティングにあたる。「初回会議」や「決起集会」という言い方もされるだろう。
「オリエンテーション」とは?
「オリエンテーション」の略で使用されるオリエンは、発注者と受注者がお互いに会社の方針や商品の説明を行う説明会のことを指す。
つまり、キックオフミーティングの前段階で行われるミーティングのことだ。
キックオフとオリエンの違い
- オリエン(オリエンテーション):契約などの前に、受注の件などクライアントから説明を受けるミーティング
- キックオフ(キックオフミーティング):プロジェクト開始時に、内容やメンバーの情報を共有するミーティング
キックオフミーティングの目的
キックオフミーティングの目的は「プロジェクトの目的」などを理解すること
キックオフミーティングの目的は、プロジェクトに関わる全ての人が、プロジェクトの目的や内容理解、進め方、役割分担をこのミーティングで理解することである。
キックオフミーティングでどれだけメンバーがプロジェクトを進行するにあたって内容を理解ができているかで、プロジェクトを円滑に進められるか否かが決まる。
キックオフミーティングで初めて顔を合わせる人もいるため、チームの一体感を生み出す絶好の機会ともいえるわけだ。
【ミーティング前の準備】キックオフミーティングの進め方
キックオフミーティングに欠かせない事前準備。これは主にミーティングのセッティングと資料作成の2つである。
キックオフミーティング事前準備①:ミーティング日時などの案内の送信
キックオフミーティングは、プロジェクトや新年度のスタートに行うミーティングであるため、その他のミーティングに比べて参加人数が多い。
参加者にきちんとミーティング日時を知らせるためにも、キックオフミーティングの案内をしておこう。
ミーティングの案内ではミーティング日時を知らせるだけでなく、「プロジェクトのテーマやミーティングのゴール」も共有しておこう。
事前にプロジェクトのテーマなどを共有しておくことで、キックオフミーティングに対する意識や理解度が高まる。
また、キックオフミーティングに参加するメンバーの検討もしておこう。当日、誰がキックオフミーティングを進行するかなど、ミーティング内での役割も事前に決めておくのがベストだ。
キックオフミーティング事前準備②:資料作成
キックオフミーティングをスムーズに進めるのに必須であるのが、資料作成である。
資料作成を行うことで、ミーティングで共有すべきことや理解を深めるためにどういったトピックが必要か整理することができる。
パワーポイントの資料には、下記の項目を記載しよう。
キックオフミーティングの資料(パワーポイント)に記載する項目
- プロジェクトの目的、キックオフミーティングのゴール
- プロジェクトで達成したいゴール
- 現状のプロジェクトの問題点
- プロジェクトの解決策
- メンバーそれぞれの役割に応じた行動事項
資料にプロジェクトの全体像を文章や図を用いて可視化することで、メンバー各々がミーティング終了後からプロジェクトゴールに向かって走り出すことができる。
キックオフミーティング資料の掲載必須事項8つ
キックオフミーティングで説明をする際、進行役はパワーポイントで進めるのもよい。
しかし、パワーポイントだけでは要点のみの説明になってしまうため、それを補完するためにも詳細を記した紙媒体の資料を作成する必要がある。
キックオフミーティングで配布する紙の資料には、下記の8点を記載しよう。
キックオフミーティング紙資料の記載項目①:アジェンダ
キックオフミーテングの目次禄にあたる「アジェンダ」。
アジェンダには「X社A部長初めの挨拶、Z社B部長初めの挨拶、X社基本計画説明、質疑応答、Z社基本計画説明、質疑応答、C部長の終わりの挨拶」のように主要項目を書いていく。
主要項目に所要時間も書き加えると、参加者全員が時間を意識してキックオフミーティングを進めることができるだろう。
キックオフミーティング紙資料の記載項目②:座席表
キックオフミーティングの出席者が着席する配置図を示す「座席表」。
キックオフでは、役職の高い人が出席して挨拶などを行う場合がある。席次マナーを考慮した上で、座席を組もう。
キックオフミーティング当日になって「誰がどこに座るんだ?」などと慌てないためにも、紙資料に座席表を書くことは必須である。
キックオフミーティング紙資料の記載項目③:ミーティング参加者名簿
プロジェクトに参加するメンバーを紹介するための「ミーティング参加者名簿」。
ミーティング参加者名簿には「所属、氏名、担当役割」などを記載しよう。
キックオフミーティング紙資料の記載項目④:基本概要
「基本概要」には、プロジェクトが目指すものやプロジェクトを行う目的、概要を明示する。
基本概要ではプロジェクトの詳細を示す必要はないため、大事なポイントのみを紹介してほしい。
キックオフミーティング紙資料の記載項目⑤:工程表
仕様設計から運用開始まで、プロジェクトの大まかなスケジュールやコストを表す「工程表」。
ミーティング後にそれぞれの部門ごと詳細のノルマや締め切りを組み立てていくため、工程表には細かな日程よりもプロジェクトを進行させるためのマイルストーンを記載することを意識するとよい。
マイルストーンに併せて、クリティカルとなる事項も書いておくのがベストだ。
フローチャート一枚分を目安に作成してみよう。
キックオフミーティング紙資料の記載項目⑥:プロジェクト体制
「プロジェクトの体制表」では、誰がリーダーで、誰が何を担当し、どのような連絡形態となっているかを示す。
プロジェクトメンバーの体制図には、メンバーへ期待することなどを明示しておくと全体の動きが見えやすくなるため、おすすめだ。
キックオフミーティング紙資料の記載項目⑦:連絡体制
プロジェクトを滞らせないために重要なのが「連絡手段」。
ビジネスの基本「報連相」を徹底するためにも、「連絡体制」の項目で「案件ごとに連絡すべき担当者、連絡手段」をルールづけてほしい。
キックオフミーティング紙資料の記載項目⑧:質疑応答時に役立つ参考資料
キックオフミーティングで出た疑問を消化するための時間である「質疑応答」。
質疑応答の際、ミーティングで用意した資料から派生した質問にも対応できるように、過去の資料や話し合い事項に関する資料を紙に記載しておこう。
「キックオフミーティング紙資料の記載項目①〜⑧」の8つの項目をカバーできていれば、ミーティングで用いる紙資料としては十分である。
キックオフミーティング資料の8つの必要項目
- ①アジェンダ
- ②ミーティング着席位置図
- ③ミーティング参加者名簿
- ④基本概要
- ⑤工程表
- ⑥プロジェクト体制
- ⑦連絡体制
- ⑧質疑応答
【プロジェクト説明編】キックオフミーティングの進め方
プロジェクトの目的・目標は「シンプルな説明」を心がける
プロジェクト説明時に欠かせないのが、プロジェクトの方向性である。
いきなり、プロジェクトの説明を事細かくすると概要がつかみにくいため、目的と目標を完結に述べる必要があるのだ。
説明のポイントは、シンプルであること。
参加者全員に誤解なく理解してもらうためには、誰にでもわかりやすい説明が必要だ。
シンプルにプロジェクトの方向性を示すことで、メンバーの目標設定や目的意識を明確にすることが可能になる。
【参加者の自己紹介編】キックオフミーティング進め方
良いチーム作りは、相手を理解することから始まる。
キックオフミーティングにおける自己紹介は、プロジェクトに関わる全ての人たちの役割を把握する貴重な機会だ。
自己紹介といっても、名前と役職名を言うだけでなく、プロジェクトに期待することや貢献できることなどを簡単にスピーチするとより相互理解が深まるだろう。
また、自己紹介は重要な部分ではあるものの、あまり時間を取るほど優先順位は高くない。
一人30秒など時間を決めて、制限時間を資料に記載しておくといいだろう。
【質疑応答編】キックオフミーティングの進め方
忘れてはいけないのが、質疑応答の時間である。
キックオフミーティングが終わってしまえば、なかなか自分の関わりのある上司以外の取引先の人や違う部署の人に質問する機会をとることができない。
そのため、必ず「質疑応答」の時間を設け、少しでも疑問に残っているポイントはこの時間に疑問解決してしまおう。
質問が出ない場合は、参加メンバーが発言しやすくなるように、進行役が感想などを求めてみるなど工夫してみてほしい。
また、過去のプロジェクトで出た質問や懸念点を整理し、参考資料として用意しておくと質問に対応するときに役立つ。
キックオフミーティングでやってはいけないNGポイント3つ
これまで、キックオフミーティングの進め方やポイントについて紹介してきた。
以下からは、キックオフミーティングを行う上でやってはいけないNGポイントを見ていきたい。
キックオフミーティングのNGポイント①:メンバー全員が揃っていない
キックオフミーティングでは出席者が大人数になることも多いため、メンバー全員の出席を促すことに苦労するかもしれない。
しかし、「来れない人は、あとで共有しておけばいいや」と思っていると危険である。
キックオフミーティングはプロジェクト内容やメンバー理解をする目的で行うとともに、プロジェクト全体の士気をあげる場でもある。
全員が同じ方向を向き、一体感を出すためにも欠席者が出ないようにキックオフミーティングを手配しよう。
キックオフミーティングのNGポイント②:プロジェクトに関わるリーダーの意志が伴っていない
キックオフミーティングの準備段階で、プロジェクトに関わる各部署のリーダーもしくは重役の意志や決断を反映していない状態では、プロジェクトは失敗の一途を辿る。
リーダーや重役たちが、キックオフミーティングで初めてプロジェクトの内容を聞かされる……という事態を避けるためにも、上の立場の上司やリーダーには事前にプロジェクト概要の説明をしておこう。
上司やリーダーが理解なしの状態でミーティングに臨むと、プロジェクトが机上の空論で終わってしまいかねない。
キックオフミーティングのNGポイント③:資料の作成が不十分
キックオフミーティングの資料は、ミーティングを円滑に進め、ミーティングを有意義なものにするためのキーとなる。
キックオフミーティングを終えたあとでも、プロジェクト進行中に迷いなどが生じた際、読めば原点回帰できるような資料である必要があるのだ。
プロジェクトを進めるときに、メンバーが考え込まなくてもゴールに向かって集中して進行できるように、細心の注意を払って資料作成しよう。
たった一日のミーティングのために、資料を作る時間がもったいない……という考えはやめよう。
キックオフミーティングでの初顔合わせがスムーズにいけば、お互いに好印象を抱き、今後の仕事がスムーズに実施できる。
本記事で紹介したトピックを一つひとつ丁寧にクリアをして、キックオフミーティングに臨もう。
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