営業マンにとって顧客を引き継ぐというのは、なかなか難しい仕事です。というのも顧客は必ず、あなたと前任者を比較するからです。第一印象と、その後の対応の仕方によって、かなり早い時期に「前任者より良い、良くない」という評価を決めてしまいがちです。顧客と上手く関係を築くためには。円滑に引き継ぎを行うことが肝心です。そこで、営業用資料の作成方法と引継ぎのポイントを紹介します。
「人間くさい資料」を作成
顧客に関する基本的なデータは、前任者から渡してもらえるでしょう。しかし、それはあくまでも基本データです。それまでの実績や取引の経過を知っただけでは、十分な資料とは言えません。大切なのは、そういったデータにはない個性やクセ、あるいは先方の社内事情といった「血の通った」データです。
その資料を作るためには、前任者からの徹底したヒアリングが大切になります。前任者が退職してしまう影響で引き継ぎをしなければいけない場合、退職後は完全に縁が切れてしまいますし、社内の異動のケースの場合でも後から話を聞く機会はなかなか無いでしょう。
ですから、前任者がそのセクションにいるうちに、最低でも1度、できれば数度にわたって顧客に関することを、直接ヒアリングすると良いでしょう。どんなに些細なことであっても漏らさずメモし、それを資料の形にするのです。小さな話の中にこそ、顧客との付き合いのヒントが隠されているものです。
実際の引き継ぎ方
顧客を実際に引き継ぐ際のほとんどは、前任者と一緒に訪問し、挨拶をすることになります。その場で具体的な商談になるようなら、その流れの中で、自然に引き継げば良いでしょうが、そうではなくただの「顔つなぎ」だけで、初回の訪問が終わるというケースも意外と多いと思います。「どうぞよろしく」と自己紹介し、「では、また改めて伺います」ということで初回の訪問を終わった場合、その後の対応が大変重要になってきます。再訪のチャンスがなかなかないまま、いたずらに時間が過ぎていく、ということも少なくないはずです。けれど、それでは上手な引継ぎとは言えません。
具体的な営業テーマが特になくとも、半月から1ヶ月以内には1人で再訪したほうが良いでしょう。「近くまで来たものですから、お顔をちょっと拝見したいと思いまして」と手土産を渡すだけでも大丈夫です。雑談の中で、前任者といっしょの時には話せなかったことを、顧客から聞き出すことができるかもしれませんし、「フットワークのいい営業マンだ」という印象を与えられるかもしれません。人間同士の付き合いである以上「顔を見せる」のが営業の第一歩なのです。「改めて伺います」の「改めて」は少しでも早いほうがいい、と覚えておいてください。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう