プレゼンとは、予め決められた結論に到達するまでの課程を、聴講している者に対して視覚的に呼びかける行為と言えます。結論は決まっているのですから、説得力を補強するための資料やデータを分かりやすく可視化し、プレゼンターの意図を聴講者たちに的確に伝えることが重要です。
視覚的要素にはさまざまなものがありますが、その中でも、プレゼンにおける色は、印象を通じ、プレゼンの方向性を決定づける上で非常に重要な要素となります。
人間の本能に働きかける「色」
人間が視覚を通じて色を認識する際に、漫然と眺めているのではなく、本能的に分類を行っています。
例えば「赤」という色は、生物の血の色や火の色です。自然界において「赤」を目にする状況というのは、非常事態と言えます。怪我をして出血するときに目にする色であり、火災によって物が炎上しているときに目にする色だからです。赤い色を目にした脳は危険を察知し、アドレナリンの分泌を促し、血圧を高めるなどの作用を起こしています。プレゼンにおいて「赤」を用いるということは、危機的状況を印象づけたいとき、ということになります。マイナス決算を示す数値が「赤字」と呼ばれるのも、赤い文字で売り上げ数値が記載されるのも、そうした一例になります。収益における危機的状況を周知するため、現状を誰の目にも「危険」と映る赤い字で記述することで、危機であると訴えかけるのです。
反対に順調さや将来性、平和な状況を表すためには、「青」や「緑」という色を用います。「青」は晴天を表す色であり、人間に落ち着きをもらたす色です。「緑」は木々の色であり、旧人類が寄辺としていたオアシスや森などの色であり、心に安心感をもたらします。プレゼンにおける「青」や「緑」は、順調な状況を印象づけるために有効な色です。聴講している者に順調であるとの印象を与え、安心感をもたらします。
色の濃淡や彩度で強弱を表す
プレゼンにおいて、色の種類には方向性を決める力があると述べましたが、色には、濃淡によって物事の強弱を印象付ける作用もあります。
薄い色は状況の不安定さや不透明さを示します。弱い経済指標が強さを取り戻していく課程を示したい場合は、薄い色から濃い色へ変化を付けることによって、力強い印象を聴講者に与えます。
彩度を用いても似たような効果が得られます。彩度の低い色は、帰属性の弱さや中立性を表しますが、色味を増していくにつれ、どのような方向へ状況が変化していくのかを明確に示す効果があります。
上手な色の使い方で、プレゼンの説得力を何倍にも補強できるのです。
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