「異動・退職をするために、業務の引き継ぎを行わなければいけないけれど、何をすればいいのかわからない」と思っている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、業務の引き継ぎの流れや、お客様との関係を維持するための引き継ぎのポイントをご紹介します。
これから引き継ぎをしなければいけない人はぜひ参考にしてください。
- 退職・異動時には、業務の引き継ぎは大切な仕事
- 業務の引き継ぎの流れ3ステップ
- お客様との関係を維持するための引き継ぎポイント3つ
退職・異動時には、業務の引き継ぎは大切な仕事
退職・異動をする際は、引っ越しや送別会の挨拶の準備、新しい仕事の準備などで忙しいでしょう。
しかし、退職や異動をする際に、最も大切もののひとつには、「引き継ぎ」があります。
一番大切なのはお客様との関係を維持すること
引き継ぎで大切なのは、「お客様との関係を維持すること」です。
特に、お客様との関わりが深い仕事をしている場合は、会社として関係性を維持することが求められます。
担当者が退職・異動する場合、お客様にとっても「これまでに良い関係を築いてきた信頼できる担当者が変わってしまう」という不安があります。
お客様の不安に気づかずに営業担当同士の引き継ぎをきちんと行わないと、お客様は、不満や不信感を抱くでしょう。
お客様が「以前の担当者は良かったけれど担当者が変わったら関係性が崩れてしまった」「前の担当者に話したことを、また新しい担当者に一から話さなければならなくてやりくい」などと、関係が悪くなり、契約を切られてしまう可能性があります。
営業マンの担当の引き継ぎの際に一番大切なのは「お客様との関係を維持すること」。つまり「お客様との信頼関係ごと引き継ぐ」ということを忘れてはなりません。
業務の引き継ぎは法律上の義務ではないが、トラブル防止のために大切
「どうせ辞めるから、適当に引き継ぎしておけばいいや」と思う人も中にはいらっしゃるかもしれません。
確かに、業務の引き継ぎをしなければならないという法律はありません。
しかし、今までお世話になった会社に不利益を引き起こしてしまいます。意図的に会社に不利益を起こした場合は、損害賠償請求をされてしまう可能性もあります。
業務の引き継ぎが不十分であれば、新しい担当者に迷惑をかけるだけでなく、前任者として義務を果たさなかった自分の責任を問われます。
転職をする場合は、今の会社との縁がある場合もあります。余計なトラブルを避けるためにも、そして社会人として最低限のマナーとして、業務の引き継ぎを行いましょう。
業務の引き継ぎ期間は1〜3ヵ月程度
では、引き継ぎは一体いつから行えばいいのでしょうか。
業務の引き継ぎ期間は、一般に「1〜3ヵ月程度」といわれています。
転職や自分の理由などで退職をする際は、退職希望日の1〜3ヵ月前に伝えなければいけないと定めている会社も多いのではないでしょうか。
つまり、「1〜3ヵ月程度」とは、退職が決まった日からすぐに引き継ぎをやるべきだということを示しています。
仕事を辞める直前まで、引き継ぎで忙しくならないように、早めから始めるようにしましょう。
業務の引き継ぎの流れ3ステップ
引き継ぎを効率よく行うためには、引き継ぎの流れを知る必要があります。
以下では、業務の引き継ぎの流れを3ステップに分けて詳しくご紹介します。
早めに引き継ぎを終わらせておきたいと思っている人はぜひ参考にしてください。
STEP1.引き継ぎが必要な項目・後任者・スケジュールを決める
引き継ぎをする際に、まず考えないといけないことは、引き継ぎが必要な項目何なのか、後任者は誰なのか、どのようなスケジュールで行うかです。
まず、後継者が誰なのかは、立場が上の人が示してくれるのがほとんどでしょう。後継者の思考や性格を考えて資料を作成すると、わかりやすい資料になります。
また、引き継ぎが必要な項目を決める際は、自分の担当業務を紙に書き出してみることをおすすめします。自分の担当業務全てを紙に書き出すと、引き継ぎをしなければいけない項目の目安も立つ上に、自分の成長を感じ取れます。
担当業務を書き出し、引き継ぎが必要な項目を決めると、最後に「スケジュール」を立てましょう。
仕事を辞めるといっても、いつもどおり仕事は回ってくるのではないでしょうか。忙しい中引き継ぎの仕事を完ぺきにこなすためにも、スケジュールを作ることは欠かせません。
また、スケジュールを立てることで、「今日は忙しかったから今度でいいか」と後回ししないようにする効果もあります。
STEP2.資料をまとめ、後任者に引き継ぎ作業を行う
引き継ぎが必要な項目・後任者・スケジュールを決めたら、引き継ぎの資料をまとめて、後任者に引き継ぎ作業を行いましょう。
引き継ぎの資料をまとめる段階が一番時間がかかるのではないでしょうか。大変な資料作りですが、後継者のためにも会社のためにも大切です。
自分の業務の引き継ぎを終えられるか否かで、会社の命運がかかっているかのような気概を持って資料作りを行いましょう。
後継者がいる場合は資料を渡すだけではなく、資料を読んでわからない点を聞いたり、一緒に業務を行ったりするとわかりやすい引き継ぎだったと思われることでしょう。
STEP3.お客様への挨拶に伺う
引き継ぎを行ったら、お客様や取引先に挨拶をすることを忘れないようにしましょう。
退職や異動の挨拶をするだけではなく、後任の紹介も行います。
後任者にバトンタッチして、すぐに退社すると、何かトラブルが起きたり不明点がある場合に迷惑をかけてしまいます。
後任者が実際に仕事を行い、問題なく引き継ぎできたのか確認する程度の時間は欲しいものです。退職する2週間〜1ヵ月前程度には挨拶に伺うようにしましょう。
業務の引き継ぎで伝えておきたい項目
引き継ぎ資料は、以下の内容を意識して行うことをおすすめします。
- 自分の行っていた仕事の優先順位・重要性を詳しく書く
- 業務に関わっていた取引先やお客様の情報
- どのような手順で仕事を行っていたか
- データの保管箇所とパスワード
- 起こりやすいトラブルとその解決方法
初めて業務に関わる人が仕事の優先順位をつけやすくするためにも、自分の行っていた仕事の優先順位・重要性は詳しく書きましょう。
また、自分の仕事で関わっていた相手の好みや雰囲気などを伝えると、後任者は仕事をしやすくなります。取引先やお客様の連絡先やプライベートな内容を書く際は、個人情報を含んでいるので、流出しないように気をつけましょう。万が一流出してしまう可能性を考えて、人に見られても困らない内容にしておくことをおすすめします。
確かに引き継ぎの資料は簡潔でわかりやすいほうがいいですが、人の特徴を簡潔に述べると相手を傷つけてしまったり、誤解を生んでしまったりする可能性があります。お客様や担当者などのエピソードとともに、ポジティブな内容を書くことをおすすめします。
上記の内容を含んだ資料を作った後は、後継者に引き継ぎ作業を行いましょう。
お客様との関係を維持するための引き継ぎポイント3つ
引き継ぎを行う上で最も大切なのは「お客様との関係の維持」です。
以下では、お客様との関係を維持するための引き継ぎポイントを3つご紹介します。
自分がいなくなった後でも、会社とお客様との関係を良好に維持するためにも、引き継ぎを頑張りましょう。
ポイント1.担当者が変わる場合はまずお客様に事前に伝えて、アポを取る
お客様との関係を維持するための1つ目のポイントは、担当者が変わる場合はまずお客様に事前に伝えて、アポを取ることです。
お世話になったお客様には、担当者が変わったことは必ず伝えなければいけません。何も伝えないままある日突然違う担当者がやってきた、というのが一番失礼であり、あってはならないことです。
アポを取った後は、辞める理由を簡単に伝えましょう。
あまり詳しく話す必要はありませんが、「一身上の都合」「定年退職」「田舎に帰るため」など、できる範囲で相手に理由を教えてあげましょう。
会社に対してネガティブな意見や不利益になり得る情報は伝えないことが鉄則です。
ポイント2.営業日報・顧客管理台帳を日頃からしっかりと作成しておく
お客様との関係を維持するための2つ目のポイントは、営業日報・顧客管理台帳を日頃からしっかりと作成しておくことです。
営業日報・顧客管理台帳を日頃からきちんと作成し、顧客管理をしっかりと行っていると、引き継ぎもスムーズに行なえます。
「情報は自分の頭で理解できているから大丈夫」のように言っていると、引き継ぎの際に次の担当者とお客様に迷惑をかけてしまうことになります。
退職を検討し始めた場合は、営業日報や顧客管理台帳はしっかりと作成し、管理しておきましょう。
ポイント3.引き継ぎ時間は十分に確保する
お客様との関係を維持するための3つ目のポイントは、引き継ぎ時間は十分に確保することです。
会社の都合により引き継ぎ時間が十分に確保できなかったり、転勤などで忙しい中引き継ぎを行わなければならなかったりする場合も多くあるのではないでしょうか。
そんな中でも引き継ぎ時間はできるだけ確保するように努力しましょう。引き継ぎ時間が十分に確保できず、引き継ぎが十分にできなかった場合、会社だけでなくお客様にも迷惑をかけてしまいます。
退職を決めたら、まずは引き継ぎを優先して業務を進めるようにしてください。
退職・異動時の業務の引き継ぎをメールで行う時のマナー
「時間がなくて、直接引き継ぎをしに会社にいけない……」「在宅勤務の人に引き継ぎをしないといけない」という人もいるのではないでしょうか。
直接会社に行けなくても、業務の引き継ぎをメールで行えます。
以下では、退職・異動時の業務の引き継ぎをメールで行う時のマナーをご紹介します。
マナー1.業務の全体スケジュールを示す
退職・異動時の業務の引き継ぎをメールで行うときのマナーの1つ目は、業務の全体スケジュールを示すことです。
自分が担当する業務を、1ヵ月単位、半年単位、1年単位など適切な間隔で区切り、その間で行うべきことを時系列に挙げていきましょう。エクセルで表を作るとわかりやすいです。
例えば営業の仕事であれば、1ヵ月単位で、月初にすべきこと、月の中頃にすべきこと、月末にすべきこと、を時系列順に挙げていきます。
人事の仕事であれば、1年単位で、3月は退職処理、4月は入社式の実施と入社処理・新入社員研修、6月は賞与支給処理、10月は内定式、12月は賞与支給処理、といったようにスケジュールを渡すと後継者にとってもわかりやすいです。
マナー2.引き継ぎ項目ごとにファイルを作成し添付する
退職・異動時の業務の引き継ぎをメールで行うときのマナーの2つ目は、引き継ぎ項目ごとにファイルを作成し添付することです。
メールの本文に内容を長々と書いても、相手にとって読みづらいものです。担当業務の全体スケジュール、各業務の詳細内容は、それぞれエクセルやGoogleなどでファイルを作り、それをメールに添付しましょう。そのファイルは、業務引き継ぎ書としても使えます。
各業務の詳細内容を記載していきましょう。業務の分類ごとに、エクセルのシートを分けて記載していくと、相手にわかりやすいです。
例えば人事の仕事の場合、エクセルシート「1枚目:担当業務の全項目リスト」「シート2枚目:退職処理について」「シート3枚目:入社式について」といった形でまとめましょう。
また営業の仕事の場合、顧客に関する情報を、シート毎に作成していきましょう。例えばエクセルシート「1枚目:顧客リスト」「シート2枚目:顧客Aについて」「シート3枚目:顧客Cについて」といった形です。エクセルシート1枚目は、新しい担当者から見た場合、索引となるイメージです。
内容を記載するときのポイントは、5W1H(何を、どこで、誰と、いつ、どのように行うか)を簡潔に書くことです。
営業の場合、顧客に関する情報とは、お客様の部署名・氏名・連絡先、現在の契約内容、フォローすべき内容と時期、現在進行中の商談内容、今後解決すべき課題などが挙げられます。
合わせて、お客様の特徴や性格、接する際に気をつけておくべきことなどもあれば書いておきましょう。
マナー3.引き継ぎメールは上司宛にもCCで送付する
退職・異動時の業務の引き継ぎをメールで行うときのマナーの3つ目は、引き継ぎメールは上司宛にもCCで送付することです。
業務の全体スケジュールと各業務内容のファイルができあがったら、メールに添付して送ります。メール宛先は、メールの宛先は新しい担当者、CCを上司としましょう。
そして、メールの最後には、退職・異動後の自分の連絡先(携帯電話番号)を必ず記載しておきましょう。
万一の場合、退職・異動後に自分に確認しなければならないことが発生するかもしれません。その際の連絡先を示しておくことが、新しい担当者に対するマナーです。
退職時の引き継ぎでトラブルを起こさないための3つのポイント
引き継ぎ業務をする際には、トラブルが起こらないように気をつける必要があります。
退職時の引き継ぎでトラブルを起こさないための3つのポイントを確認しておきましょう。
ポイント1.引き継ぎを行ったことを上司にも共有しておく
引き継ぎでトラブルを起こさないための1つ目のポイントは、引き継ぎを行ったことを上司にも共有しておくことです。
引き継ぎで起こるトラブルのひとつに、「引き継ぎを十分に行えていない」と後任者が思い込んでしまうことがあります。
後任者1人のみに引き継ぎをしておくと、引き継ぎされたファイルの場所を忘れてしまっただけの場合でも、引き継ぎされていないと思い込まれてしまうことも。
そうならないためにも複数人に、引き継ぎした内容をチェックリストにして全て文書で共有することがおすすめです。どんな些細な事でも、思いつく限り残しておきましょう。
そうすれば「聞いていない」「どこに引き継ぎされたのかわからない」といった状態を避けられます。
また、大きな企業になってくると、引き継ぎ書自体を上司が目を通すことが多いのではないでしょうか。上司にも引き継ぎを行ったことを共有しておけば、このようなトラブルを避けられます。
引き継ぎを行ったことを直接上司に伝えたり、作ったチェックリストや文書を後任者に送る際は、上司をメールのCC欄に入れたりしましょう。
ポイント2.業務を引き継ぐ後任者がいない場合でも資料はまとめておこう
引き継ぎでトラブルを起こさないための2つ目のポイントは、業務を引き継ぐ後任者がいない場合でも資料はまとめておくことです。
会社都合で自分の後継者がいない場合もあります。
直接引き継ぎを行えなかったとしても、いつか引き継ぐことになった人が時間が経ったあとで見てもわかりやすい引き継ぎの資料を作るようにしましょう。
もちろん、ファイルの場所などは複数人に共有しておき「どこに資料があるのかわからなくなった」ということを避けましょう。
「後継者がいないなら引き継ぎをしなくていい」と思わずに、自分ができることは最低限やっておくことをおすすめします。
ポイント3.質問がないのは、理解できていない証拠だと認識する
引き継ぎでトラブルを起こさないための3つ目のポイントは、質問がないのは、理解できていない証拠だと認識することです。
仕事内容の説明をした後で「何か質問は?」と尋ねた時、「特にありません」という答えが返ってきたとしたら、引き継ぎはまだできていないと考えるべきです。
質問がないという場合は、話が理解できていないため。つまり「何を質問していいか、それがわからない」という状態だからこそ、質問ができない可能性を考えましょう。
相手が理解できていないと、本質的な引き継ぎができていないことになります。
ひとつの仕事についてレクチャーしたら、後任者にその仕事の内容や進め方を説明してもらう方法を取ることをおすすめします。
後任者が説明をきちんとできるようになったら、2つ目の仕事の説明に移りましょう。時間はかかりますが、確実に引き継ぎができる方法です。
また、実際に手を動かしたからこそ、疑問に思うことも出てくるもの。説明をしただけで終わるのではなく、実際に仕事をしてもらうこともおすすめです。
引き継ぎをして数週間〜1ヵ月程度、相手に仕事を任せられるように、時間に余裕を持って進めましょう。
会社の一員として迷惑をかけないためにも引き継ぎはしっかり行おう
- 引き継ぎは「お客様との関係を維持すること」が大切
- 業務の引き継ぎで伝えておきたい項目を抜けなく書き込む
- 引き継ぎは十分に時間を確保する
本記事では、業務の引き継ぎの流れや、大切なお客様との関係を維持する方法をご紹介しました。
トラブルを避けるためにも、引き継ぎの業務は完璧に行いましょう。また、お客様は会社にとっても大切なので、時間をかけて対応することをおすすめします。
本記事を参考に、引き継ぎ業務を行ってみてはいかがでしょうか。
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