社会は人間関係がとても複雑です。一つの会社の中でも上司や部下、社外の人間と社内の人間といったさまざまな関係が複雑に絡み合っています。また、人間関係だけでなく問題の緊急性や優先順位を見極めて行動するということまで求められるのです。それを考えた場合、電話対応というものは、その繋ぎ方・伝え方に接客技術を求められる、社会人として身につけておきたいマナーとも言えるのです。
もし担当者が来客に対応しているときに電話がかかってきたら…、そんな状況は良くあることですが「電話先と来客」どちらにも失礼のない対応をする必要があります。ここでは担当者の代理が立てられない、本人に対応を迫られる場合について書いてみます。
「繋ぐ」べきか「繋がない」べきか
電話がかかって来たときに来客中ということは、来客のほうが先客となります。特に例外で繋ぐべき電話がある場合は、前もって伝えられているはずですので、普通は自分の判断で普段どおりに繋ぐことはしません。電話を割り込ませる事は先客にとって気持ちのいいものではないからです。社内の人間からの緊急性のない電話にはその旨を伝え、指示を仰ぎます。
また、同じく急ぎでない社外の電話には、「来客中」とは言わず「席を外している」と伝えるようにしましょう。もし、来客中と素直に伝えた場合、「自分よりも大切な客なのか」と思う人もいるからです。そしてこちらから掛け直せる時間を伝えるなどの対応をします。繋ぐことにより、電話先と来客との重要度の差をどちらにも感じさせないのがマナーです。
緊急を要するとき、どうするか?
来客中にかかってきた電話が緊急であるとき、相手先が何としても繋いで欲しいといわれる場合もあります。このような繋がないわけに行かない場面では一層細やかな対応が必要となります。まず第一に、普段のようにデスクの内線で呼び出すようなことは控えます。たとえばモニターで「○○様から○番にお電話です」などもってのほかです。来客に誰から電話があった等の情報を漏らすことが不適当なだけでなく、来客にも大変失礼な行為であるからです。
この場合、来客に他の来客からの電話だということを、この時点では悟られない事が大切です。すぐ近くに担当者がいる場合は、誰からか、どのような緊急の電話であるかをメモに取ります。そして、まず来客と担当者の話に割り込むことを詫びた上で、担当者にメモを渡します。そうして電話の扱いについての指示を静かに仰ぎます。後は担当者の判断に任せて良いでしょう。よそのフロアなど近くにいない場合は、担当者の近くにいる社員にメモを渡すなどの協力を求める必要もあるかもしれません。電話を取り次ぐ者には、軋轢を生まない潤滑油的な能力も求められるのです。
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