正しい敬語で話すことを難しく感じる人も多いでしょう。
本記事では、ビジネスシーンで間違いやすい言葉遣いNG集として、間違えやすい敬語や言葉遣いを紹介していきます。
ビジネスシーンで正しい言葉遣いができているかチェックしましょう。
NGな言葉遣い1「〜様でございますね」
電話口で名前や会社名を伺った後に使いがちな「〜でございますね」。
「~でございます」は丁寧な言い方ではありますが、「自分から相手」への敬意を示した尊敬語にはならないため、実は不適切な言葉遣いです。
相手に対してきちんと敬意を払うのであれば、「◯◯様ですね」の尊敬語である「◯◯様でいらっしゃいますね」を使いましょう。
- 「〜でございます」は「自分から相手」への敬意を示さない
- ◯「〜様でいらっしゃいますね」
- ×「〜でございますね」
NGな言葉遣い2「高橋部長でございますね」
会社に入ってから間違えやすいルールのひとつが、社外の人と話すときに「上司に敬称をつけてしまう」ことです。
社外の人と話すときは、自分の上司であっても敬語や敬称は不要です。
上司の名前を復唱するときは「高橋でございますね」と、敬称を省略しましょう。
上司に敬称をつけないことに違和感を感じるかもしれませんが、敬称をつけないことでどちらの会社の人の話をしているのかわかりやすくなるメリットもあります。電話だけではなく、社外の人と話すときには敬称は不要だと覚えておきましょう。
仕事に慣れていないビジネスパーソンにとって、電話対応はかなり緊張してしまうもの。
「高橋部長はいらっしゃいますか?」という電話口の相手の言葉につられ、「高橋部長はいらっしゃいません」と言ってしまわないように気をつけましょう。
- 社外の人に対しては、自分の上司であっても敬語や敬称は不要
- ◯「高橋でございますね」
- ×「高橋部長でございますね」
NGな言葉遣い3「申し上げておきます」
社外の人との電話や会話で、自社の社員に敬称をつけるのが誤った言葉遣いであるのと同じく、社外の人と話すときには、上司に関することでも尊敬語は使いません。
「申し上げておきます」は自分から上司への謙譲語になるためNG。「申し伝えておきます」「伝えておきます」などと返答しましょう。
しかし、社内で上司と話すときには「申し上げます」「申し上げた」などといった言葉遣いをしましょう。
社外の人と話すときは、社内の人間に対しての敬称や敬語を省いた言葉遣いを心がけてください。
- 社内で上司と話すとき:「申し上げます」「申し上げた」を使う
- 社外の人と話すとき:敬称や敬語を省く
- ◯「かしこまりました。山本に申し伝えておきます」
- ×「かしこまりました。山本に申し上げておきます」
NGな言葉遣い4「〜はおられますでしょうか?」「〜はいらっしゃいますでしょうか?」
一見すると正しいように見える「おられますか」「いらっしゃいますでしょうか」といった言い方に注意しましょう。
特に「いらっしゃいますでしょうか」という言葉遣いは電話口のみならず、ビジネスシーンでの受付対応の時に聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
「いらっしゃいますでしょうか」は、「です」と「ます」が重複した二重敬語でNGという意見もあれば、一般的に使われている言葉遣いであるためOKという意見もあります。
ビジネスマナーのさじ加減にもよりますが、確実に正しい言葉遣いをしたいのなら「〇〇様はいらっしゃいますか?」「〇〇様へお取り次ぎ願えますか?」という聞き方をするといいでしょう。
また、「おられますか」の「おる」は謙譲語なので、上司や取引相手に使うのは失礼だという意見もあります。
地方によっては「〇〇様はおられますか?」が使用されている例もあるため、先輩や上司の電話対応を聞いて参考にしてみてください。
先輩や上司の電話対応を盗み聞きして、よく使われる言葉を学んでいくこともおすすめですよ。
- 「です」と「ます」が重複した二重敬語なのでNGという意見もある
- 「おる」は謙譲語なのでNGという場所もある
- 先輩や上司が使っているかで、場所によっては間違いになる表現を使っていいのかをさぐる
NGな言葉遣い5「お休みをいただいております」
電話口で「〇〇さんはいらっしゃいますか?」と尋ねられたとき、指名された人が体調不良や有休で会社を休んでいる場合もあるでしょう。
指名された人が不在のとき、「〇〇は本日お休みをいただいております」と電話口で伝えるのは誤りです。
「お休みをいただいております」では「自分から会社」への謙譲語となるため、「〇〇は本日休みをとっております」と伝えましょう。
「〇〇は本日休みをとっております」という伝え方が素っ気ないように感じる場合は、「申し訳ございません、〇〇は本日休みをとっております」のようなクッション言葉を付け加えて答えましょう。
- 「お休みをいただいております」は「自分から会社」への丁寧語
- 「申し訳ございません」といったクッション言葉を付け加える
- ◯「◯◯は本日休みをとっております」
- ×「◯◯は本日お休みをいただいております」
NGな言葉遣い6「頂戴してもよろしいでしょうか?」
ビジネスシーンでよく聞く「頂戴する」という言葉遣いですが、「頂戴する」は物を受け取る際に使う敬語です。
名前や電話番号は「いただくもの」ではないため、「お名前を(お電話番号を)頂戴してもよろしいでしょうか?」という訊き方はNG。
電話口で名前や会社名を確認したり、電話番号を尋ねたりする際には「お名前を(お電話番号)伺ってもよろしいでしょうか?」「恐れ入ります、もう一度お名前と御社名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」といった伝え方をしましょう。
- 「頂戴する」は「物を受け取る」ときの敬語
- 正しくは聞くの尊敬語「伺う」を使う
- ◯「お名前を(お電話番号を)伺ってもよろしいでしょうか?」
- ◯「恐れ入ります、もう一度お名前と御社名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
- ×「お名前を(お電話番号を)頂戴してもよろしいでしょうか?」
NGな言葉遣い7「部長、私もご一緒します」
「私もご一緒します」という言葉は、主に同格の人に対して使う言葉です。
つまり、上司に対して「部長、私もご一緒します」と発言すると、自分が上司と同じ立場にあると考えているような物言いになってしまいます。
「ご一緒させていただきます」「お供させていただきます」といった伝え方にしましょう。
- 「ご一緒します」は同格の相手に使う言葉
- ◯「ご一緒させていただきます」「お供させていただきます」
- ×「私もご一緒します」
NGな言葉遣い8「さすが部長ですね」
言われたことや事実に感心する様子を表す「さすが」という言葉。
ポジティブな意味があるイメージを持っている人も多いかもしれません。
しかし、「さすが」には、ある事実を認めた上で否定する「そうはいうもののやはり」という意味もあります。
「さすが、おできになりますね」という言葉は、「(大したことのないあなたでも)さすが(この程度のことなら)おできになりますね」のように、人によって捉えてしまいます。
もちろん、ネガティブやいやみな意味に捉えない方が大多数だとは思いますが、重要な場面では念の為避けておくといいでしょう。
- 「さすが」は人によっては不愉快にさせる言葉
- 素直に感謝の気持ちや尊敬の気持ちを表す
- ◯「ありがとうございます」「勉強になります」
- ×「さすが部長ですね」
NGな言葉遣い9「とんでもありません」
「とんでもありません」や「とんでもございません」という言葉は、「とんでもない」の「ない」を否定の助動詞として使っています。
「とんでもない」という言葉は、これ自体が「一つの言葉」です。
つまり、上司や目上の人に対して使う場合は「とんでもない+丁寧な表現」の組み合わせをすることが正しいです。
- 「とんでもない」で一つの言葉
- 「とんでもない」に丁寧語の表現を使う
- ◯「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」
- ×「とんでもありません」「とんでもございません」
NGな言葉遣い10「あの似顔絵、そっくりでいらっしゃいますね」
「会話相手に敬意を表する気持ちが行き過ぎた結果、物にまで敬語を使ってしまう」というありがちな失敗です。
目上の人と話す場合でも、あまり回りくどい言い方はせずにストレートに敬意を示しましょう。
- 上司に関することであっても、物には敬語を使わない
- むやみやたらに敬語を使わない
- ◯「あの似顔絵、そっくりですね」「あの似顔絵、~さんによく似ていますね」
- ×「あの似顔絵、そっくりでいらっしゃいますね」
ビジネスシーンでは正しい言葉遣いを心がけよう
- よく使われる誤用を押さえて、正しい言葉遣いをする
- 何にでも敬語を使えばいいわけではない
- ストレートに自分の言いたいことを言うことも必要
本記事で紹介したビジネス・電話での言葉遣いNG例のように、間違えやすい言葉遣いは多数あります。
社会人デビューしたばかりでは、営業や電話口で誤った言葉遣いをすることは少なからずあるのではないでしょうか。
「丁寧語や謙譲語の使い方を少しでも間違えたら、社会人失格」というわけではありませんが、やはり基本的なビジネスシーンでの言葉遣いは押さえておきましょう。
記事内で紹介したような間違った言葉遣いに心当たりがある人は、今日からきちんとした言葉遣いに直していきましょう。
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