「電話対応が嫌いで仕方がない……」という悩みを抱えている人は少なくないが、ビジネスパーソンである以上、避けては通れない業務の一つである。
そこで、本記事では電話対応が苦手・嫌いという意識を持っている人に向けて、「電話対応のテクニック」をお伝えする。
電話への苦手意識を生み出す「心理的な5つの原因」
総務省が発表した音声通信の利用状況調査によると、国民の総通話時間は毎年減少しているとのこと。
電話をする人が減った原因として考えられるのが、LINEなどのチャットツール。スマホの普及によって、電話に代わる連絡手段が多様化しているのだ。
電話離れによって生じた電話に対する苦手意識は、“電話恐怖症”と呼ばれるほど深刻な悩みへ発展するケースもある。
顔が見えない相手との対話がなぜそれほど怖いのか? 電話嫌いの人が抱える5つの心理を見てみよう。
電話嫌いの心理①:対面でならうまく話せるのに……
「対面なら問題なく話せるのに、電話越しだと緊張してうまく話せない」という電話嫌いな人も多いのではないだろうか。
互いの顔が見えない電話越しでの会話は、「うまくは話せているかな?」と疑心暗鬼に陥りがち。
いつも相手の表情を見ながら会話をする人にとって、顔が見えない電話コミュニケーションは緊張してしまうのだ。
加えて、自分の言葉選びに自信が持てないといった要因も考えられるだろう。
電話嫌いの心理②:電話よりもメールの方が楽
ビジネスシーンの電話応答はシンプルでテンポのよい会話が求めらるため、その場で即レスする必要がある。
「今、返事をしなければ!」という強迫観念から生まれる緊張感から、苦手意識を持ってしまうようだ。
電話に慣れていない人は、相手の言葉を吟味した上で返信できるため「メールのほうが楽」と思うだろう。
「書き言葉であれば言葉選びに時間をかけることができる」「電話口でうっかり失言をしてしまう危険がない」という心理が働いているのだ。
電話嫌いの心理③:自分の時間がとられてしまう
社会人生活が長いビジネスパーソンからも「電話は嫌い」という声を聞くことも多い。
そういった電話嫌いの人たちの心理にあるのは「自分の時間をとられる」という気持ち。
一度電話に出てしまうと相手との会話に集中せざるを得なくなり、自分が対応していた仕事を中断することになる。
「電話を取ることで悪影響が出る」という状況の繰り返しが、電話を嫌いにさせる要因となっているのである。
電話嫌いの心理④:知らない相手からの電話が怖い
LINEなどのツールを使った通話の場合、相手の名前が必ず表示される。
しかし、オフィスでは「知らない相手から電話がかかってくる」ということも数多くあるだろう。
「見ず知らずの人と話すのが苦手」ということに加えて「仕事の電話でミスをするわけにはいかない」という重圧から、知らない相手と仕事の話をするという状況そのものが苦手になってしまっているのである。
電話嫌いの心理⑤:職場の人に会話を聞かれるのが怖い
オフィスで電話に出るときに「周りの視線が怖い」「上司や同僚に会話を聞かれて、後から何か言われるかもしれない」と、怯えてしまう人もいるだろう。
失敗を恐れる人にとって、周りの視線が気になる「職場」という環境での電話対応は恐怖なのだ。
電話嫌いを克服するために知っておきたい「4つのポイント」
電話対応における苦手意識を克服するためには、上記で述べたような「緊張」「不安」「恐怖感」といった心理的な要因を取り除くことが大切。
電話嫌いから脱するためには「基本的な電話対応の知識」を蓄えておき、焦りや緊張といった心理状態に陥らないよう、事前に準備しておくことが必要なのだ。
以下では、「電話対応をする上で知っておきたい知識」を4つのポイントにわけて解説していく。しっかりと確認し、苦手意識を克服してほしい。
電話対応の知識その①:コールは2回目まで
電話がかかってきたら、可能な限り「2回目のコール」までに電話をとるように心がけよう。
コールを2回までに取ったら、「お電話ありがとうございます」と挨拶をしよう。
コールが3回以上鳴ってしまった場合は、「お待たせいたしました」と一言添えるといいだろう。
もしそれ以上待たせてしまった場合は「大変お待たせいたしました」など、相手を気遣うお詫びの言葉を添えよう。電話対応のファーストコンタクトで大事なのは「相手への気遣い」である。
当たり前のことだが、電話に出る際に「もしもし」という言葉を使うのはNG。「もしもし」は日常生活で使われる言葉なので、ビジネスの場においては適さない。
社会人経験の浅い新入社員がうっかり使ってしまうので、ビジネスシーンにおける電話対応に慣れるまではしっかり注意しておこう。
「お電話ありがとうございます」の挨拶の後には、会社名と自身の名前を言おう。
電話対応では、第一声が自社の印象を左右する。
例え仕事が忙しくても、電話に出るときは明るい声で対応しよう。相手がきちんと聞き取れるようにハキハキと喋るのも大切だ。
電話対応の知識その②:電話をとるのと同時にペンもとる
電話を取り挨拶を終えたら、相手の用件をよく聞こう。そのとき必ず手元にメモとペンを用意すること。
電話対応の失敗の元は、相手の言っていることを理解しないまま話を進めることである。
左手で電話を取ったら、右手にペンをとる癖をつけることが克服への第一歩。
電話を取るたびに、メモを書く準備をする癖をつければ、聞き漏れや情報伝達ミスを防ぐことができるはずだ。
電話対応の知識その③:聞き取れなかったことは必ず聞き返そう
電話対応の際、相手の声が聞き取りづらく用件がいまいち掴めないこともある。
聞き取ることができなかったときはそのまま聞き流してしまうのではなく、「申し訳ございません、お電話が少々遠いようでございます」「もう一度言っていただいてもよろしいでしょうか」と正直に伝えよう。
聞き返すのは失礼かも……と躊躇してしまう人もいるが、全く失礼なことではない。
それよりも、社名や氏名を間違えてしまったり、きちんと用件を理解していないまま話を進めることの方が失礼である。
こうした失敗を予防するには、相手の話していることを理解した後、用件を復唱するといいだろう。
電話での用件復唱は、伝達ミスを防ぐためだけでなく、「話を理解していること」を相手に示すこともできるのだ。
電話対応の知識その④:自分一人で抱え込むのをやめよう
入社直後であったり、担当が異なる電話の場合、電話相手の質問内容によっては自分一人で対応できない場合もあるだろう。
分からないことを適当に答えて、相手に間違った情報を与えてしまうことは重大なトラブルに発展しかねない。
相手から自分の知らないことを質問された際は、「只今お調べいたしますので、少々お待ちください」と相手に伝えて、その案件に詳しい社員に電話を取り次ごう。
嫌いが得意に!電話をとるための4つのポイント
- コールは2回までにとろう
- 電話をとるのと同時にペンもとろう
- 聞き取れなかっとことは必ず聞き返そう
- 自分一人で抱え込むのをやめよう
営業電話も怖くない! 電話嫌いが押さえるべき4つのポイント
慣れるまで勇気のいる「営業電話」は、営業マンに必ず求められるスキルの一つである。
電話営業をする機会があるビジネスパーソンは、以下の4つのポイントを頭に入れておこう。
営業電話を成功させるポイント①:雰囲気づくりは電話営業成功の鍵
営業電話では、顔の見えない相手に親近感を持ってもらうことがキーポイント。 親近感を生み出したいときは、ビジネスの話だけでなく雑談も織りまぜることが効果的だ。
電話は相手の様子が掴みにくいが、雑談を織りまぜることで和やかな雰囲気にすれば営業電話の成功へと近づくことができるだろう。
営業電話を成功させるポイント②:マメな連絡は好印象
営業電話の弱点は、対面時よりも印象が残りづらい点にある。
相手に自分の印象を残してアポイントメントにつなげるには、マメに電話をかけることが大切だ。
契約や業務に関わる情報が更新されたら、すぐにその情報を取引先の担当者に伝えよう。
接触する回数を増やすことで印象を残すことができるのだ。
営業電話を成功させるポイント③:声はワントーン高く、ハキハキとした声で
声の高さは、電話で最も気を遣わなければならない要素の一つだ。表情が見えない電話のコミュニケーションでは、唯一違いが出る「声」が相手のテンションを図る要素になるためだ。
電話での営業のときの声は対面時よりワントーン声を高くして、好印象を与えよう。
営業電話を成功させるポイント④:アポイトメントは具体的に
電話をかけてなんとか会話までこぎつけた人は、直接会うためのアポイトメントを取ることになるだろう。
この際に忘れたくないのは、「何日の何時に、お会いしましょう」と、可能な限り具体的なアポイトメントをすることだ。
お互いが効率的なタイムマネージメントができるほか、仕事のできる営業マンという印象を与えることができる。
電話をかける最終目的がわかっていれば、そこに到達するために必要なことを話すのみである。注意点をしっかり押さえつつ、やることを明確にして苦手意識を軽減させよう。
部下が電話対応に失敗したら? トラウマにさせないフォロー術
電話対応などの業務に慣れて仕事をバリバリこなしていけば、あなたにも部下ができるだろう。
ここでは、部下が先方に失礼な電話の対応をしてしまったときの対処法と、部下が電話嫌いにならないようにするための方法を確認していく。
まずは相手側に謝罪の電話
部下が電話対応でミスしてしまった場合、上司が先方に謝罪の電話をすること。
部下の失礼な言葉遣いや、誤った情報を与えてしまったことに対して「電話に不慣れな新入社員が対応し、教育不足だった」ということを伝え、誠意を持ってお詫びしよう。
迅速な訂正や謝罪の連絡が大きなトラブルに発展することを未然に防ぐのだ。
強い口調で怒るのはNG!
上司として部下の間違いを正すことは大切だ。
だが、間違いを指摘するときは電話対応に対する苦手意識をできるだけ部下に植えつけないようにしてあげてほしい。
電話対応での失敗がトラウマになってしまう新入社員もいるからだ。
トラウマレベルで電話嫌いになってしまうと、電話を取ろうとするたびに頭が真っ白になり、声が震えて再び失敗してしまう。
強い口調で責めるほど部下に精神的な負担を与えるので、結果として部下の成長につばがらない。
怒るのではなく、具体的にどうすれば電話対応が上手くいくのかを教えてあげるようにしよう。
時間があれば、「取引先から電話がかかってきた」という設定でロールプレイングをすることをおすすめする。
慣れない言葉遣いに慣れないマナー。さまざまな要因が重なり、電話対応を苦手とする若手ビジネスパーソンは多い。
電話対応は基本的なマナーさえ頭に入れてしまえば、あとは経験によって磨かれていく。根気強く場数を踏んで、できるビジネスパーソンの仲間入りを果たそう。
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