取引先である客先で、自分の上司を紹介する機会というのは、有能な人であればあるほどあまり訪れないかもしれません。というのもその様な人であれば、自分だけで客先との用は足りてしまうからです。ただ、何かのミスをしてしまったり、また特別な仕事を引き受けたり依頼したりと、通常と違う事が生じた場合には、上司を紹介する必要も生じるでしょう。その様な時には、どの様に紹介すればよいのでしょうか。
1. いつも通りの挨拶をする
まず始めに、いつもお世話になっている挨拶をする事は当たり前ですが、この時、普段と違う挨拶をしない様にしましょう。その様な態度を見せれば先方は、上司がいるから猫をかぶっているのだな…と判断することにもなりかねません。ということは、普段の挨拶から、上司が隣にいても良い様な挨拶をする事を心がける必要がある、という事になりますね。また、おそらくその様に上司を伴って訪問する場合には、事前のアポイントの段階でその旨を伝えておいた方が失礼になりません。
客先としては、ミスなどがあれば事情を察するでしょうが、それ以外の場合には「なぜ上司が同席するのだろうか…?」と考えるでしょう。ですから、その理由はあらかじめ簡単で良いので伝えておくとよいでしょう。その方が、変にかしこまって、あるいは警戒心をもって話が進まないと考えられます。事前に伝える時も、先方の性格をよく考慮に入れて言葉を選ぶようにしましょう。
たとえば、自尊心が強い様な客先であれば、「非常にお忙しいところ、誠に恐縮なのですが…」という様にへりくだる言い方は効果的です。ざっくばらんな関係を求めている客先・あるいは結論を先に求める客先であれば、「実は、これこれこういう理由で…」と、余分な挨拶は抜きにして要件だけを伝えた方が良いかもしれません。もちろん、日頃から関係を築いているのは自分ですから、それに沿った内容から大げさにはずれる事は避けましょう。
2. 役職を伝えながら上司を紹介する
最初の挨拶が終わったら、次にいよいよ上司の紹介です。一般的に「わたしの直属(ここは実際の関係をあてはめましょう)の上司である営業課長の(ここも実際の役職をあてはめます)●●●●です。」と紹介出来るでしょう。
役職を伝えるか迷うかもしれませんが、前述したとおりに事前のアポイント連絡にてあらかじめ話をしてあるので大丈夫です。そして次に、伴う理由によって紹介の方法を変えた方が客先に対して失礼ではないかもしれません。たとえば、自分がミスをおかしてしまった時、謝罪を理由に同席する場合には「このたび、○○会社様には多大なるご迷惑をおかけしてしまった事を深くお詫び申し上げます。」と、自らも誠意をもって謝罪する姿勢を見せる事は大切です。その後、上司が先方と話を進めていってくれるでしょう。
3. 感謝の意を伝える
次に、特別な仕事を受注した場合に同席したのなら「このたびは、わが社に格別なご配慮をいただき心から感謝申し上げます。」などの言葉が言えるでしょう。では、相手に特別な仕事を依頼したい場合はどうでしょうか。「このたびは、日頃から大変お世話になっている○○会社様だからこそ、是非お願いしたい仕事がありまして伺いました。」と言えるかもしれませんね。
ただ、いずれの場合においても一番肝心なのは、同席する上司に紹介の方法を聞いておくことです。この場合、「どのようにご紹介すればよいでしょうか?」と聞いてはいけません。「この様にご紹介させていただこうと考えておりますが、いかがでしょうか?」と聞きましょう。そうすることで、上司に全てを任せるのではなく、きちんと自分でも考えているのだという事を伝える事ができます。ただし、もしも上司が自分で全てを決めたい様な性格なのであれば、どのように紹介すればよいのか最初から聞いた方が良いでしょう。
最後に、座るように椅子が用意されている場所に案内されたのなら、先方から「どうぞ」と言われるまでは決して座らない様にする事はご承知の通りです。この様に、紹介する理由、先方または上司の性格、そして日頃から自分が築いている関係性をもとに、ケース・バイ・ケースで対応する様にしましょう。
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