社会人になると、上司や先輩のような立場が上の人とお酒を飲むことも多いのではないでしょうか。
目上の人とお酒を飲む場合は、座る席についてのマナーにまで気をつける必要があります。
本記事では、社会人として覚えておいておきたい「席次」に関するマナーをご紹介します。
- 上座・下座って何?まず知ってほしい「席次」のマナー
- もし目上の人から上座を勧められた場合はどうしたらいいの?
- タクシーでも上座・下座があることに気をつけよう
上座・下座って何?まず知ってほしい「席次」のマナー
居酒屋に着いて席を決めるときに意識するべき「上座・下座」を知らない人もいるのではないでしょうか。
「間違って上座に座ってしまって先輩に怒られてしまった……」「会食なのに、クライアントを下座に座らせてしまって、気を悪くさせてしまった……」という人もいるでしょう。
普段は意識しないからこそ、忘れてしまいがちな席次のマナー。
まずは、「上座・下座」についてご紹介します。基本的な知識を身につけていきましょう。
扉から最も遠い席が「上座」/ 扉から最も近い席が「下座」
「上座・下座」をどう読むのかわからない人や意味がわからない人もいるでしょう。基本から詳しくご紹介するので安心してくださいね。
まずは、「上座」について詳しくご紹介します。
上座とは、「じょうざ」または「かみざ」とよみます。一般的には「かみざ」と読むので「かみざ」と覚えておきましょう。
上座とは、基本的に入口から遠い席のことをいいます。
和室であれば、襖を開けて一番奥の席が上座です。洋室についても和室と同様で、扉から一番奥の席が上座です。
席の中でも最も「位の高い席」という扱いになる上座には、目上の人を座ってもらうようにしましょう。
お客様や先輩、役職が上の人には、率先して「奥のお席へどうぞ」と自然に促すことをおすすめします。
次に、「下座」について詳しく説明します。
下座とは、「げざ」または「しもざ」とよみます。一般的には「しもざ」と読むことが多いので、上座と合わせて「かみざ」「しもざ」とセットで覚えることをおすすめします。
下座は、上座とは逆に入口に最も近い席のことをいいます。
和室でも洋室でも入ってすぐの席が下座です。
目上の人を上座に通す理由
「入ってすぐに座れる席のほうが好き」という人もいるのではないでしょうか。確かに、上座には、部屋に入ってから奥に進む煩わしさがあります。
しかし、入口から近い下座の席は、料理が届いたり、店員が注文を伺いに来たりと、とにかく出入りが激しくて落ち着かない場所です。
そんな慌ただしい下座に目上の人を座らせるのは失礼にあたるといえます。
目上の人に料理の注文や受け渡しをさせないためにも、上座に通す必要があることを覚えておきましょう。
目上の人をスムーズに上座に通すには?
下座に座る若手社会人は、目上の人がスムーズに上座につけるように配慮する必要があります。
目上の人をスムーズに上座に通すためには、目上の人よりも先を歩かないようにすることを意識してみましょう。
居酒屋までの道案内では先を歩いても大丈夫ですが、居酒屋に着いたら必ず目上の人の後ろをついて行くことを意識しましょう。
目上の人が奥の上座から順番に部屋へ入られるように気遣えば、きっとスムーズに上座に通せるはずです。
もしも、目上の人がゆっくり歩いてきた場合や、後から到着した場合には「奥にどうぞ」「奥に座ってください」のように声をかけることをおすすめします。
上座ができた歴史
「上座とか下座とか席に優劣がついてるのはなんでだろう」と思う人もいるのではないでしょうか。
上座とは本来、床の間や床脇棚に最も近い場所の席を指す言葉でした。
ではなぜ、「床の間の近く」が上座となったのでしょうか。以下で詳しくご紹介します。
そもそも「床の間」はどんな場所だった?
「床の間」って何と思った人もいるのではないでしょうか。
床の間を説明するには、室町時代まで遡る必要があります。
室町時代では、寝殿造りから床の間がある書院造りに変わりました。そんな書院造りの特徴ともいえるのが「床の間」です。
床よりも一段高くなっている床の間は、実は僧侶が経典を勉強するための部屋がモデルとなっています。
寺社仏閣の厳かさを意識させる床の間は、三具足(みつぐそく)といった仏壇に供える香炉や花瓶と燭台を置いて、仏画を飾るという神聖な場所とされたようです。
「床の間の近く」が上座になった理由とは?
上記のことから、室町時代の人には「床の間=神聖な場所」という考えがあったと考えられます。
そんな神聖な場所に一番近い場所が「上座」となり、身分の高い人が座るようになりました。現代の大人のマナーである「上座」には、室町時代の人々の考え方が影響していたのは知らなかった人も多いのではないでしょうか。
現代では床の間のない和室もあるが、床の間がなくなっても「上座と下座」という文化は色褪せません。しっかりと上座のマナーについては頭に入れておきましょう。
もし目上の人から上座を勧められた場合は?
「目上の人は上座に通さなければならない」というマナーをご紹介しました。
しかし、時には「目上の人から上座を勧められる」ようなこともあるのではないでしょうか。その場合はどのように対処すればいいのかについてご紹介します。
上座を勧められたら「私はこちら(下座)に座ります」と一言添える
目上の人に「奥の席に行きなよ」のように上座を勧められたときには、下座に座ることにこだわりすぎないことをおすすめします。
目上の人の気遣いを何度も断ることはよくないことです。
そのため、目上の人が「奥にいって」とお願いしてきた場合は、まずは、「私はこちら(下座)に座らせていただきます」と一言添えましょう。
それでも上座を勧められた場合は、何度も断るほうが失礼になるので、おとなしく上座に座ることをおすすめします。
目上の人にすすめられて上座に座ることになったとしてもマナー違反にはならないので安心してください。
上座・下座についてあまり気にしない人も増えているので、臨機応変に対応する
最近では、「上座・下座」について気にしない人が増えてきました。
そのため、絶対に下座に座らないといけないというルールではなくなってきています。
相手が気にしていないのであれば、気を使いすぎなくてもOKです。
しかし、上座・下座のマナーを気にする人もいるので、臨機応変に対応するようにしてください。
居酒屋だけではなく帰りのタクシーでも上座・下座があることに気をつけよう
居酒屋だけではなく、タクシーにも上座や下座があることを知っている人は少ないのではないでしょうか。
タクシーで最も位が高い席はどこでしょうか。
助手席は、1人で座れるから上座だと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、タクシーの場合は、助手席が1番位(くらい)の低い席です。
タクシーの中の上座は、運転手の後ろの席です。扉から最も遠い席で、1番安全な位置が上座だとおぼえておきましょう。
また、タクシーに四人乗る場合は、少し変則的になります。運転手の後ろの席が1番位の高い席で、助手席が1番位の低い席であることは変わりません。
扉から最も遠い席が上座の法則を使うと、運転席のななめ後ろの席が2番目に位が高い席だと思う人もいるでしょう。
しかし、2番目に位が高い席は、助手席の後ろになります。運転席のななめ後ろの席(真ん中の席)は、足元が一段高くなっているので座りにくいからです。
もちろん、素早くのることを求められるタクシーで完璧に席次を守れないかもしれません。しかし、意識をしてみると「気が使える人」と思われるでしょう。
また、居酒屋の席次と同様に席次を守ることにこだわりすぎることはおすすめできません。早く乗らなければいけない場合で席次にこだわることがないようにしましょう。
上座 ・下座の基本的なマナーは知っておこう
- 上座は扉から最も遠い席
- 下座は扉から最も近い席
- 上座 ・下座について気にしない人も増えているので、臨機応変に対応する
席次などの細かなマナーに関心が強いひともいれば、上座や下座を気にする堅苦しい飲み会が嫌いな人もいます。
飲み会の雰囲気や目上の人の性格から臨機応変に判断しましょう。
本記事を通して「上座・下座」という席次のマナーを押さえて、目上の人と一緒に楽しくお酒を飲んでみてはいかがでしょうか。
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