若者の早期退職が止まらない。「新入社員は3年以内で3割辞める」という言葉がもはや一種の定型文のように語られる今、早期退職問題をたまたまだと言い張ることはできないだろう。説明会や面接、それに新人教育などを考えると、新人を採用して3年以内に辞められた場合の損失は、一人当たりおよそ300万円だと言われている人事部もあるようだ。早期退職はそれだけ会社にとって痛手を与える問題なのだ。若者の早期退職はなぜ止まらないのだろうか?
やりたいと思っていたこととちがう
この問題について、よく聞く意見の筆頭として「やりたいと思っていた仕事と違う」という声がよく聞かれる。なぜ若者はやりたい仕事につけないのだろうか。
まず認識しておくべきことは、そんなに簡単にやりたい仕事に就くことはできないということだ。例えば総合職なら、一度は様々な業務を経験させようという会社も多い。また、希望の業務はキャリアを積んでからでないとできない場合も多い。
そのうえで、なぜ「やりたいと思っていた仕事と違う」が発生してしまうのかというと、逆に「やりたいこと」が明確になりすぎているからではないか。
最近の就職活動は、昔より大変なものになっているといってよいだろう。これは、リーマンショック以降求人率が減ったこともあるが、それよりも就活というシステムが肥大化していることが原因と言えるだろう。
在学中の早い時期からの就活開始や、リクナビやマイナビなどに代表される就活サイトの充実など、昔に比べて格段に就活に関するシステムは充実している。
大学生が早い時期から仕事のことを考えられるし、アクセスできる情報量も多い。また、最近の就活では自己分析が非常に重要視されている。
しかし、これは裏を返せば、大学生が働くということを真剣に考えざるを得ない状況が構築されたということだ。
つまり、昔に比べて仕事について真剣に考えるため、学生の中に「やりたい仕事」に関する明確なビジョンが出来上がってしまう。
だが、それでもやはり仕事の実態を把握することは難しいし、先にも書いたように希望通りの仕事をはじめからやれることなどなかなかない。
やりたい仕事像がはっきりしているからこそ、入社してからの実際の仕事のギャップを感じてしまう。新入社員が「自分がやりたかった仕事と違う」と思ってしまうのは、昔より「やりたいこと」を明確にしないといけないからなのではないだろうか。
「とりあえず3年」という考え
この引用を見てもらえばわかるように、若者の中には「とりあえず3年働く」という考え方もある。職場環境が自分に合うかどうかは、実際に働いてみないとわからない。だから、「とりあえず3年は様子を見る」とあらかじめ決めておいて、3年後に仕事、職場が肌に合わないようならすっぱりと退職してしまうというのだ。
ここから分かることは、若者の中に初めから転職も視野に入れたキャリアプランが出来上がっているということだ。昔のように終身雇用が大きな力を持たなくなった現代では、転職という手段も特別ではない。仕事を辞めるということも、選択肢の一つとしてとらえられているのだ。
早期退職の原因は様々に考えられる。若者に根性がないのかもしれないし、職場の中に若者に悪感情を持たせる何かがあるのかもしれない。しかし、もしかしたら就活生と企業の間に意識やイメージのギャップがあって、それがミスマッチを起こしている可能性もある。若者は若者なりに考えて、その結果が高い離職率につながっているかもしれないのだ。
仕事に気持ちが入らないなら「転職」を考えてみる
「色々な対処法をやってみたけど、なかなか仕事に気持ちが入らない……」という人も読者の中にはいるかもしれない。
仕事に気持ちが入らない理由として、会社への不満が挙げられるようであれば“転職”することを考えてみてほしい。
・なぜ仕事に気持ちが入らないのか?・何か仕事に対して不満はあるのか?
・抱えている不満や悩みは異動、転職で解決するものなのか?
以上の3つを考えてみよう。
もしも、キャリアについての不安や転職で解決する悩みを抱いているようなら、転職エージェントに相談するのも解決策の一つだ。
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