
ものランチ 提供:ものばんく株式会社

よろずカフェ(ものばんく社) 提供:ものばんく株式会社
日替わりランチと本を交換できる
「ものランチ」は来店者が持ち込んだ本(1~3冊)を、通常980円のよろずカフェの日替わりランチ1食分の引換券と交換する仕組み。1人1回まで交換ができ、引換券は当日から使用できる。この体験を通して「不要になった物=処分する」ではなく、売却・交換することで新しい価値を⽣み出すという選択肢の存在を知ってもらう狙いだ。一般書、文庫、新書、絵本が対象。汚れや破損がひどいもの、雑誌やカタログ類は扱わない。顧客登録⼿続きのため、ランチとの交換には身分証明書(運転免許証、保険証、パスポートのいずれか)が必要となる。InstagramやFacebook、Twitter、LINEのタイムラインでハッシュタグ「#ものランチ」と付けて投稿した人には、ランチに加えてドリンクも無料サービスする。※18歳未満は対象外。
ものランチ 提供:ものばんく株式会社
物々交換に近い感覚で体験を
人気を集める企画はどのように設計したのだろうか。詳しい経緯について尋ねた。──「ものを売る」と「ランチ」の組み合わせについて、どのように考えたついたか教えてください。弊社では質と買取を同じ場所で行っている店舗もあります。しかし、買取を利用してみたいと思っている一般のお客様にとって、質屋に入ること自体に抵抗を感じる方が多いのも事実です。そこで、弊社がプロデュースするよろずカフェ内でも査定や買取ができるブースを設置しました。カフェに入店することに抵抗があると感じる方は少ないので、カフェの延長でリラックスして査定や買取ができるようです。カフェに来店されるお客様にアンケートを実施したところ、自宅に不要な物がある人、物を売りたいと思ったことがある人もほぼ100%でした。しかし、実際に売った経験がある人は20%ほどでした。そのほとんどが「何が売れるのかがわからない」や「どこで売ったらいいのか分からない」という理由からでした。

ものランチ 提供:ものばんく株式会社
近年の断捨離ブームもあり「不要な物を処分したい、売りたい」というニーズは高まってきていると感じますが、実際に売るという行動に移すまでのハードルが高いのかもしれないという気付きました。まずは「不要な物が新しい何かに変わり、それによって新しい価値を生み出すことができる」というという体験を、もっと気軽に体験してもらいたいと思いました。そこで本なら所有している人が多いのではないかということ、直接現金をお渡しする「買取」ではなく、現金の代わりにランチ引換券をお渡しすることで「物々交換」に近い感覚で気軽に体験できるのでは、と発案しました。
口コミで広がり、交換に驚きも
──4月のサービス開始以降、どのような方が利用される傾向にありますか。当初は手交チラシをご覧になっての来店が多かったのですが、次第にSNSや口コミでご来店されるお客様も出てきました。山口県でのテレビ放送をご覧になり、ご自身でインターネットで検索されてのご来店も増えています。年齢層としては50代以上の女性が多いですが、後日その方のご家族やお友達を連れて来てくださったりすることが多いため、年齢層は幅広くなってきています。実際に体験した方の口コミで広がっているのを感じます。

ものランチ 提供:ものばんく株式会社
以前からよろずカフェが気になっていたというお客様のご来店のきっかけになったことや、利用した方にとてもいいシステムだとお褒めの言葉をいただいたことなど、うれしかったことはたくさんありました。意外だった反応としては、ランチは通常980円(単品価格は780円)で提供しているのですが、ものランチを利用すると0円で食べられるため「本当にいいんですか?」とよく驚かれます。「この本でも大丈夫ですか?」と遠慮がちに本を持ってこられる方もおられます。汚れ・破れがひどい本や雑誌やカタログは対象外ですが、対象外になるような本を持ってこられた方は今のところいらっしゃいません。気に入ってたくさん読んでいたけど、私はもう読まなくなったから、誰か他の方にまた読んでもらえるなら、という気持ちで持って来られる方が多いからかもしれません。

ものランチ 提供:ものばんく株式会社
不要になった物の可能性を広げていきたい
──今後はどのような展開を予定していますでしょうか。集まった本をよろずカフェ内で自由に読んでいただき、持ち帰って読みたいという方には貸し出しも行っていきたいと思っています。ものランチを通しての物々交換の体験から、次の展開として物を「シェア」する体験をしていただき、不要になった物の可能性を広げていきたいと思っています。──「ものランチ」に込める思いを教えてください。
弊社は二次流通やリユース関係の会社です。普段から不要になった物と向き合う機会が多いのですが、大きな金額にはならずとも、必要としてくれる人の元にたどり着けばまだまだ価値のある物もたくさんあります。「物の価値」は、必ずしも日本銀行券と引き換えにできるとは限らないと考えています。そのため、「お金に換える」以外の方法で不要になった物に新たな価値を生み出し、活かせる方法を考え続け、それをたくさんの方に、より身近に体験していただきたいと思っています。

ものランチ 提供:ものばんく株式会社
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