
イメージ画像/Adobe Stock
急激に増え、すぐに消えた語句
日々、膨大な情報が交わされる短文投稿型SNS「Twitter」。Twitter JAPANの公表資料によると、日本国内のアクティブ利用者数は4,500万人(2017年10月時点)にものぼります。時に特定の話題について加速度的に非難が集中する、いわゆる「炎上」状態が発生することも珍しくありません。匿名・顕名を問わず、数え切れないほどの意見が利用者から発信されます。このほど開設された「みんなの忘れたニュースBOT」(@wasureta_news)は、Twitterで話題になった言葉を忘れられたころに再び投稿するアカウントです。
みんなの忘れたニュースBOT
世間が [借地権] について話さなくなって35日が経ちました。 https://t.co/X2eOFQyr9Epic.twitter.com/nE99Ep2E2t
— みんなの忘れたニュースBOT (@wasureta_news) 2019年5月6日
世間が [ジュゴン] について話さなくなって42日が経ちました。 https://t.co/m2K45uls2V pic.twitter.com/6pkeEJN5yi
— みんなの忘れたニュースBOT (@wasureta_news) 2019年5月6日
炎上に加わる前に一呼吸を置いてほしい
つくったのは、ソフトウェアエンジニアの河本健さん。システムは、ゴールデンウィーク中に数日ほどで組み上げたといいます。制作の経緯について、次のように語ります。SNSで炎上ネタに突入する前に、一呼吸置く人間が少しでも増えてほしいと思って作りました。最近、特にTwitterで炎上のサイクルが短くなっているように感じています。話題の中身を深く知ろうとせずに(場合によっては事実が確定するのも待たずに)、叩きやすい相手を叩いて気持ちよくなって忘れ、また別の炎上ネタに飛びつく様が目につくようになりました。このサイクルの速さを可視化し、定期的に目につくようにすれば、新たな炎上ネタを見たときに本当に自分が一言を言うべき話題なのかどうか、少し考えるクセが生まれるのではないかと思って作りました。炎上ネタを単に再浮上させて再発火する、ということが起きにくいように、全体(文章など)を構成することに苦心しました。(河本さん)
最近のTwitterの色んなことに怒って忘れてを繰り返す空気が好きじゃないので、「忘れられて一ヶ月ぐらい経った話題」を自動で集めるBOTを作った。定期的に流れる「忘れた話題」を眺めると、新たな炎上ネタを見た時「俺これ一ヶ月後も覚えてるかな?」と冷静になれる気がする。 https://t.co/3gKU5QMnC6— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) 2019年5月6日
河本さんは「建設的に怒るためのきっかけ」になってほしいとも話します。FAQ: このbotで思い出しながら未来永劫怒れってこと?A: 振り返ってみると風化させちゃ駄目だったものもあるでしょうし、どうでも良かったものもあると思います。世間の怒りが収まって少し経った後に考え直す機会を与えるのが趣旨なので、その後どうしたいかは自分で決めればいいんじゃないすかね。
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) 2019年5月6日
FAQ: 怒るなってこと?A: 丁寧な怒りは発想の源になるので悪いことじゃないと思います。(例えばこのbotを思いついたのも怒ってばかりのtwitterに僕が怒ったからです。)ただ、怒りを消費して満足するのは不毛だと思うので、建設的に怒るためのきっかけ作りのためにこのbotを開発しました。
— Ken Kawamoto(ガリのほう) (@kenkawakenkenke) 2019年5月6日
“炎上”の消費に疑問
アカウントは5月5日に投稿を始めてから、わずか5日間ほどで約3万4,000フォロワーを集めており、注目度の高さがうかがえます。今フォローしている方は、炎上がコンテンツとして消費される現状に問題意識を抱えている方が多いと思います。実際に炎上に加担している方々とどれぐらい今のフォロワーが被っているかは不明ですが、そういった方々にもデータをもっと見てもらいたいです。(河本さん)自分が怒りに任せて炎上に油を注ぐだけの投稿をしていないか、今一度、見直したいものです。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう