
14項目を全部埋めた運転免許証=本人提供
世にも珍しい“フルビット免許”
種類欄をすべて埋めた免許証は「フルビット免許」と呼ばれる。取得難度の高さはもちろんのこと、全種が運転できるようになる「フル免許」を目指すだけなら上位の免許を効率的に取っていく場合が多いため、フルビットは極めて珍しいとされる。2017年に新設された「準中型」も含まれているあたり、“激レア”さんに違いないだろう。達成感にあふれる横浜市の男性会社員(26)に、17歳から約10年に及んだ道のりを振り返ってもらった。
14項目を全部埋めた運転免許証=本人提供
きっかけは「空白がたくさんあったから」
初めて取った運転免許は2009年11月4日、17歳で取った「原付」(原動機付自転車免許)だった。挑戦のきっかけは、原付免許を取った時に免許証に他に空白がたくさんあるのを見て「すべて埋められるのか?」と思ったことです。私はほとんどの免許を試験場の「一発試験」ではなく教習所で取得したので、トラックやバスなど普段運転できない車を運転する楽しさをモチベーションにしていました。15種類のうち、もっとも難しかったのは意外にも「普通自動車第一種免許」と明かす。
みんなが当たり前に取得する免許ですが、ほぼ何も知らない状態からなので難しかったです。 他の免許を取得するときは、ここで習ったことを応用させることで運転できるので、最初がいちばん肝心だったと思いました。どの免許取得にも役に立つ基本をすべてここで習いました。

普通免許のみの免許証の例=資料写真、2017年3月以前に発行のもの
準中型のために免許を返納
2017年3月には、フルビット免許の挑戦者にとって重大な道路交通法の改正があった。それまでの普通免許(5トンまで)と中型免許(5トン以上、11トンまで)の間に、「準中型」(3.5トン以上、7.5トンまで)の種別が新設、そのまま免許を更新を迎えると空欄が生じてしまうのだ。以前から普通免許を持っていた人は、自動的に「準中型5トン限定免許」となる。そのため、空欄を埋めるには一度、免許を返納して再び普通免許を取ったうえで、新たに限定解除の技能講習や試験を受けて「準中型」を取得しなければならない。準中型新設ですが、実は私が普通免許を取得した2015年1月には近々法改正があるという情報があり、想定内の出来事でした。法改正の翌日に「準中型5t限定免許」を返納し、格下げで普通免許を受けてきました。

準中型免許 出典元:国土交通省資料
かかった費用は怖くて正しく計算していないのですが、240万円前後だと思います。
挑戦者へ、小型特殊だけは先に取ろう
これからフルビット免許に挑む人には「小型特殊だけは先に取ろう」とアドバイスを贈る。小型特殊免許は、速度が出ない農耕用トラクターなどを運転できるようになる免許。普通免許には小型特殊免許が含まれるため、普通免許を先に取ると、項目には記載されない。さかのぼって下位の免許を受けることはできず、記載するには普通免許を返納しなければならない。
イメージ写真/Adobe Stock
もし挑戦されるのでしたら、小型特殊免許だけは先に取りましょう。これは普通免許や自動二輪免許を取得すると、もう取ることができません。私の免許の中で一番価値がある免許だと思っています。それと、学生の方は学生のうちに取れるだけ取ったほうがいいと思います。お金はかかりますが社会人になってしまうと時間が中々とれず苦労しました。実は彼、趣味が高じて、現在は自動車学校で指導員を務めている。好きこそ物の上手なれとは、まさにこのことだ。
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