HOME特集 ベビーカーで動きやすい経路へ導く「ママ向け駅案内サービス」誕生の背景

ベビーカーで動きやすい経路へ導く「ママ向け駅案内サービス」誕生の背景

漆舘たくみ

2017/10/26(最終更新日:2020/01/23)


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子供がまだベビーカーだから、なるべく外出したくない……。そんな子連れのお母さんたちの背中を押す駅案内サービス「駅すぱあと for Pigeon.info 」が好評です。共同開発した、駅の経路検索サービス「駅すぱあと」を運営する株式会社ヴァル研究所(東京都杉並区)の豊田博樹さんと相坂麻衣さん、育児用品大手のピジョン株式会社(同中央区)の平田武さんの3人に背景を取材しました。

エレベーターや多目的トイレを基準に

このサービスは幼い子供と公共交通で出掛ける人を対象に、エレベーターや多目的トイレの設置の有無を基準にして目的地までの経路を算出。所要時間を重視する一般的な経路案内に対し、こちらは多少時間が掛かっても「子供の安心・安全」を最優先に余裕を持った道順を組み立てます。乗り換え回数や移動のしやすさなどを「やさしさ度」として表し、経路ごとの比較検討も簡単にできるようにしています。main昨年5月から、ピジョン社の子育て情報サイト「Pigeon.info」の無料会員を対象に開始。今年9月に第11回キッズデザイン賞で審査委員長特別賞に輝きました。

鉄道事業者の工夫を伝えたかった

駅すぱあと for Pigeon.info」は、両社が行う「やさしいおでかけプロジェクト(YOP!)」の一環です。ヴァル研究所では2014年10月から、前身となるサービス「ママすぱあと」を提供していました。社内のアイデアコンテストで、駅でベビーカーを折り畳んだり担いだりして苦労する女性たちを見ていた20代女性社員が提案したそうです。そこに、製造するベビーカーの利用状況の改善を考えていたピジョン社が声を掛ける形で、2016年にプロジェクトが発足しました。
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「やさしいおでかけプロジェクト」で提供する駅構内案内図 出典元:プレスリリース

豊田さんが、サービス設計の意図を明かします。
鉄道事業者の方は、駅にさまざまな工夫を凝らしています。実際、都内の主要駅は、四谷と中野を除いてほとんどエレベーターを設置しています。しかし、多くの人がエレベーターの位置や有無が分からずに歩き回って疲れていました。鉄道会社の工夫をお母さんたちに伝えたいという思いがありました。
ヴァル研究所の豊田さん

ヴァル研究所の豊田さん

もう一つの特長として、相坂さんは「分かりやすさ」に注力したと振り返ります。
お母さんが忙しい時でも一目で分かるように、「トイレ」や「エレベーター」などを色分けしたアイコンで表示しています。極力、目で文字を追わずに済むようにしました。
ヴァル研究所の相坂さん

ヴァル研究所の相坂さん

利用者「外出できるようになった」

平田さんは、利用者を集めた座談会でのお母さんの言葉が印象に残っています。
怖くて外出ができなかったけど、今は外出が楽しくなったという感想はうれしかったですね。
ピジョンの平田さん

ピジョンの平田さん

鉄道各社は引き続き、エレベーターやエスカレーターの設置を進めています。今後は、現地の状況をより詳しく反映していくことを目指します。
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渋谷駅での体験取材 出典元:プレスリリース

子育てがしやすい社会へ、地道な取り組みが続いています。

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