HOME特集 「青森、魅力ねぇんだよな…」芸人シソンヌ・じろうが考える地元のいいところ【後編】

「青森、魅力ねぇんだよな…」芸人シソンヌ・じろうが考える地元のいいところ【後編】

漆舘たくみ

2017/09/03(最終更新日:2020/01/23)


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シソンヌ・じろうさん 撮影:井上依子

タレント観光協会」第4弾は、青森県弘前(ひろさき)市出身で、お笑いコンビ・シソンヌのじろうさん(39)。先週の前編に引き続き、同じ青森県出身の筆者に地元のよもやま話をたっぷり語ってもらいます。「魅力なんかねぇっちゃねえんだよな、きっと」(じろう)▶前編はこちら!「津軽弁、絶対に話すもんかと」芸人シソンヌ・じろうの地元愛とコンプレックス【前編】

青森県民は芸能人に向いてない?

-青森出身の芸能人の方って、お笑い芸人の方が非常に少ないですよね。じろう:少ないですねぇ。ある津軽出身の芸人の方なんかは自分が青森出身だってぜんぜん言わない。その辺のガードがすごく固くて、ぼくとも標準語でしか話しません。すごく変な感じです(笑)-県民性として、あまり向いていない部分がある?じろう:やっぱり青森県民の性格みたいなところがあるのかなぁ。暗いんですかね?雪が深いせいか、口を開けてしゃべらないって言いますよね。他県からは暗いイメージを持たれていると思います(笑)−コント中に大きな口を開けて声を張ることも多いと思いますが、最初は抵抗がありましたか。じろう:僕はNSC(養成所)に入る前にコント劇団をやっていたので、まだ恥ずかしいという思いは少なかったですね。-青森の人の性格はこんな感じだなと思われるところはありますか。じろう:どういうやつなんだろうなぁ…なんか、いん、陰湿…というか…?(笑)ちょっとひねくれているというか卑屈というか、太宰治とか寺山修司がそういう感じですよね。
太宰治の生家 出典元:アプティネット

太宰治の生家(五所川原市) 出典元:アプティネット

-これほど有名になると、地元に帰った時にうれしい言葉をもらうことも?じろう:正直、そこまで知られている感じはないんです。地元を歩いてるときは、本当に自分がお笑いをやっている感覚がなくて、ただの弘前市民として過ごしています。でも、市内の土手町(繁華街)を歩いていると声を掛けてくれる人がいてうれしいですよ。近所のおじさんおばさんに声を掛けてもらっているみたいな感じがして。-「テレビ見ているよ」とか?じろう:テレビね、向こうで見るとチャンネル3つしかないでしょう、日テレ系とTBS系とテレ朝系と。フジテレビは見れない。中学生まで2つしかなくてテレ朝系のテレビ局ができた時は嬉しかったです。チャンネル1個増えるというのは革命でしたね。

地元のイベントで満員の観客

-こういった地元のことを話してほしいという依頼は多いですか。じろう:何回か取材があった気がしますけど、やはり担当してくれる方は青森の方が多かったです(笑)キングオブコントで優勝した時のスポーツ紙の記者さんも、弘前の方がいらっしゃってくれました。ぼくは県外に出てもう21年目かな、高校を出てからなんで。だから超えちゃったんですよね、弘前にいた時間を。-21年間が経って変化を感じますか。じろう:弘前市内だと、土手町が静かになっていくのはさみしかったですね。ちょっと最近は、またお店ができてきているなぁという感じはします。一時期は、本当に「終わっちゃった感」があったんですけど、活気を取り戻しているかなと。子供のころよく行っていた「カルチュアロード」って土手町のイベントがあって、中高生ぐらいの時に廃れて、人があまりいなくなっていたんです。最近、そのイベントでシソンヌとしてライブを披露しに行ったんですが、めちゃくちゃお客さんが来てくれて。他のお店にもすごく人が出入りしていました。子供のころに好きだったイベントに人が増えたのは、うれしかったですね。-「故郷に錦を掲げられた」という感じでしょうか?じろう:そうですね。いつも「何かしたい」と思っています。地元の人が喜んでくれるなら何でもやりたいなって。

同郷意識は意外と薄い

-青森県出身の芸能人ですと、芸人の古坂大魔王さん(青森市)、俳優の新井浩文さん(弘前市)、松山ケンイチさん(むつ市)らがいらっしゃいます。コラボレーションしたいといった思いはありますか。じろう:うーん……やっぱりね、絶対に弘前と青森と八戸の人の関係性ってあるじゃないですか(笑)そこにあんまり同郷の意識って生まれないですよね。古坂さんも仕事で一度ご一緒した時にちょっとしゃべりましたが、その感じはしなかったですね。ああ、君も青森なんだって感じ。でも、(同じ弘前出身の)新井くんとロックバンドの「人間椅子」の和嶋慎治さんの2人とは仲が良いです。東京で、たまに青森県民会みたいなのがあるんです。芸能人じゃなくても、とにかく青森出身で知っている人をみんな呼んでっていう場なんですが、やっぱり弘前の人は弘前の人とって感じで、ちょっと分かれちゃいますね。-何人ほど集まるんでしょうか。じろう:この前は20人以上来ましたよ! みんななまってしゃべりましたね。何も知らないで来た人は新井浩文いるわ、松山ケンイチいるわで驚いていました(笑)
弘前ねぷた祭り 出典元:青森あぷてぃねっと

弘前ねぷた祭り 出典元:アプティネット

魅力なんかない

-では、最後に青森県の自慢を。ここはぜひ津軽と南部の垣根を取り払ってお願いします。じろう:はあ、自慢、なんですかねぇ……。ぼくはやっぱり「なんもなさ」が好きなんですよね、ずっと東京にいるんで。美術館だったり、白神山地だったりもちろん色々あるんですけど、田舎っぽさが好きで。でも、何もないは魅力じゃないもんなぁ。ベタですけど、桜とか? 桜は弘前城に限らず、青森県内どこもきれいだと思います。あとは、どうかなあ……魅力……魅力なんかねぇっちゃねえんだよな、きっと。俺がもう好きっていうだけで。青森県出身で青森が好きな方って多いと思うんですよ。ってことは、何かがあるってことだと思うんですよ。地元が好きじゃない人いますからね、なんでそんなに実家に帰るのって?それだけ皆が好きなんだから「何か」ありますっていう、もうそういうことなんじゃないですか(笑)
弘前城と桜 出典元:弘前観光コンベンション協会

弘前城と桜 出典元:弘前観光コンベンション協会

じろう:青森って、“故郷感”が強いと思うんです、もはや外国みたいな感じで。言葉なんかぜんぜん違って、もう外国語。本州のいちばん北でちょっと閉鎖的ですし、本当に今は出稼ぎとか留学中みたいな感覚が強いのかも。帰省でも「よし帰ろう」ってテンションを上げていかないと帰れじゃないですか。東京にいるのは、国境を越えて出てきているという感じなのかもしれません。-新幹線で3~4時間で戻れるようになった今でも、その感覚は変わりませんか。じろう:変わりませんね。結局、けっこう遠いですから(笑)-ありがとうございました。▶前編はこちら!「津軽弁、絶対に話すもんかと」芸人シソンヌ・じろうの地元愛とコンプレックス【前編】
【じろう】1978年7月、青森県弘前市出身。お笑いコンビ・シソンヌのボケ担当。2014年の第7回キングオブコント王者。コントで演じる「川嶋佳子」という熟女キャラが有名。広島東洋カープの熱烈なファンとしても知られる。公式Twitterは「@sissonne_jiro」。【青森県】人口約129万人(全国35位)、面積9644平方キロメートル(同8位)。リンゴ、にんにく、ごぼう、ながいもの収穫量、ヒラメの漁獲量、魚介類の消費量、高卒者就職率、現役幕内力士の数、年間降雪量などで全国1位。
【タレント観光協会】過去のインタビュー第1回:馬場ふみか(新潟県)−「新潟で育って良かった」日本酒片手に地元愛を語る第2回:はなわ(佐賀県)−「14年前は佐賀に迷惑かけた」自虐少なめで語る地元愛はなわさんとご家族 出典元:はなわさん公式ブログ第3回:スザンヌ(熊本県)−熊本地震で「ガッツがある県民性と分かった」第5回:ウーマンラッシュアワー村本大輔−「押し付けられても郷土愛は生まれない」村本流街おこし論村本大輔さん 撮影:井上依子

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